2021年7月に明らかとなった、伊豆急行の209系購入では、秋までに2編成の導入が明らかになっていました。
11月23日から24日にかけて、2編成目となるマリC601編成のうち4両が幕張から伊東まで甲種輸送されており、その後伊豆急行伊豆高原車両区へ輸送されるものとみられます。
209系の一部置き換えと伊豆急譲渡
JR東日本では、2021年3月のダイヤ改正で房総方面の普通列車の運用体系を大きく変更しています。
従来は京浜東北線から転用された209系2000,2100番台により運用されていましたが、鹿島線と内房線・外房線の南側のエリアを新型E131系での運用を基本とし、千葉近郊エリアでも6+4の10両運用が廃止となりました。
これにより、209系6両編成の運用が大きく減少・4両運用が増加する変化が生じており、6両編成6本が4両化されたほか、5編成程度の余剰が発生していました。
3編成が編成単位で除籍されており、4両化で余剰となった中間電動車とともに配給輸送される体制が組まれました。この配給輸送では209系10両貫通編成となり、一見すると京浜東北線時代のような組成でファンから注目されました。
これまで長野総合車両センターへ廃車目的の配給輸送がされた車両は30両です。
その後、7月6日から7日にかけて、C609編成が幕張から伊東へ甲種輸送されており、伊豆急行のリリースにより伊豆急行への209系譲渡が正式に示されました。
この際、「秋までに2編成」との報道もあり、今回の輸送により伊豆急へ譲渡された209系2100番台は2編成10両となりました。
習志野疎開が続いていたC601編成・JR線内輸送の様子
今回新たに譲渡となったのは、幕張車両センターに所属していた209系2100番台C601編成のうち1,2,3,6号車の4両です。
甲種輸送については前回と同様に幕張から蘇我まではEF210 164号機が牽引しています。蘇我から先も前回同様にEF65形の牽引ですが、横浜羽沢まではEF65 2070号機・横浜羽沢から伊東まではEF65 2090号機と合計3機のリレーとなりました。
京浜東北線時代はウラ25編成だったマリC601編成ですが、2100番台のうち6両編成では唯一の東急車輛製造(現:総合車両製作所横浜事業所)製となっており、奇しくも東急子会社で余生を送ることとなりました。
この編成はダイヤ改正時点で検査順序が近かった6両編成のうちの1本でしたが、5月26日〜7月6日と同月9日からしばらくの間は習志野運輸区(旧:習志野電車区)へ疎開が行われており、9月28日に返却回送が行われていました。今回の甲種輸送までの疎開の動きだったことが伺えます。
今回譲渡が行われたのは4両のみですが、余剰となった209系は6両編成だったため、今回の譲渡対象も6両編成を4両に縮めた上での譲渡となっています。
JR東日本千葉支社公式Twitterでその様子が理由をぼかしつつ公開されたほか、同日には複数のファンによってJRマーク剥離・自動連結器への交換が目撃されています。
今回は事前に譲渡対象が明らかとなっていた一方で、21年改正で余剰となった6両編成・中間電動車の除籍の動きが完結しており、幕張に残される格好となった中間電動車2両の処遇も注目されます。
しばらくの拠点だった幕張をゆっくりと去っていきました。
通い慣れた市原や木更津ともお別れ。
新たな湊町へ……。
国鉄色と菜の花カラーは近い色で似合います。
京浜東北線時代以来?神奈川生まれの電車が鶴見に帰ってきました。
伊豆急行では4両での運行が濃厚に
先に伊豆急行へ到着した元C609編成は、夏に伊豆急下田へ疎開ののち返却の動きがあった(過去記事)ほか、最近になって4号車・5号車の2両が車体帯や台車・パンタグラフを取り外した状態で伊豆高原車両区南側に留置されています。
その他の4両はこれまで1両ずつ建屋内へ取り込まれている姿が一巡確認されています。これらの動きでは車体帯剥離は行われておらず、4号車・5号車を外した4両での運用入りを目指していることが伺える状態でした。
その上で、今回の譲渡が6両編成ではなく4両となったことで、伊豆急行では4両2編成体制で運行されることが確実なものとなりました。
依然として形式名・車両デザインなどは依然として明らかにされていないものの、これまでの4ヶ月近く目立つ改造も見られず、209系2100番台の仕様が色濃く残ることとなりそうです。
ファンからは京浜東北線の209系に近づくのか、それとも長野総合車両センターの訓練機械(車籍を有さない訓練車)に近づくのか……といった推測が飛び交っているように、帯色の変化と運用体系が今後の最大の注目ポイントでしょうか。
元JR×元東急の併結!伊豆急行線内輸送の様子
前回輸送と酷似していたJR線内とは反対に、伊豆急行線内の輸送は異なる体制が組まれていたことが特筆されます。
元C609編成は伊東駅から伊豆高原駅まで自走回送(線路閉鎖)とされていましたが、今回の元C601編成については8000系6両の牽引となりました。
これまで8000系が牽引車として使用された事例と同様に、終電前に臨時回送で送り込まれ、深夜帯に線路閉鎖で運転される体制です。
前回の輸送や伊豆急下田への回送はいずれも自走で運転されたほか、伊豆高原車両区内の入換作業もスイッチャーで行われており、伊豆急8000系と元209系が併結したのは今回が初めての事例とみられます。
元JR東日本と元東急の車両が併結している姿は、東急資本ながらJR東日本と密接な関係を持つ、伊豆急行を象徴するシーンと言えそうです。
両形式は仕様が大きく異なるため、営業運転開始後も併結することは考えられません。万が一の故障車両救援や異常時訓練などで見られる可能性こそ否定できませんが、少なくとも非常に貴重な光景であること・現行の菜の花カラーでは最初で最後となることは想像に難くありません。
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