JR東日本の高崎エリア各路線では211系3000番台を運用しています。
2021年12月1日より、前面種別表示を使用した路線表示が突如として始まっており、沿線のファンを中心に注目を集めています。
高崎一筋の211系
211系は国鉄末期の1986年から運用を開始した車両で、このうち1000番台・3000番台は寒冷地仕様として高崎線・宇都宮線(投入当初は東北線と呼称)向けに5両固定編成で製造されました。将来を見据えて先頭電動車を含む構成とされたことが東海道線東京口向けとの大きな違いで、5両編成を3本繋げた15両での運用も行われていました。
この寒冷地仕様車は新製時点から多数が新前橋電車区に配置(E231系投入まで小山と分散配置)とされており、高崎車両センター※と名称を変えた現在まで約35年間、転出・転入・組換・減車とさまざまな動きこそあれど、新前橋を拠点とした運用が続けられています。
(※ 高崎車両センターは新前橋にあり、高崎の車両拠点は高崎車両センター高崎支所)
大きな動きはE231系・E233系の投入で2回あり、E231系の投入では小山に配置されていた編成も新前橋に集約された一方で、東海道線系統と交えた複雑なグリーン車の組み込みが行われたほか、一部の編成が幕張へ転出して新たな活躍を始めました。グリーン車を組み込んだ編成
E233系投入で211系は上野口から撤退し、1000番台を含む多くの編成が長野への転出されたものの、寒冷地仕様の半数程度が高崎に留まって107系・115系の代替をしています。この際には全ての編成が編成短縮とされていますが、こちらも廃車は中間付随車のみに留まっています。
突如始まった路線表示211系
2021年12月1日より、突如として高崎エリア各路線の211系が路線表示で運行される姿が目撃されています。事前の告知などはないものの、試験的なものなのか、今後はこちらが通常となるのかは記事公開日時点では明らかにされていません。
高崎車の前面種別表示器の各路線名は上野口時代から収録されていたものの、2001年から2004年の湘南新宿ライン運用(過去記事)を除いて種別表示が基本とされていました。
かつては上野発の下り列車などで高崎線・東北線表示を稀に見かけることができました。方向幕からLEDに改装した際にもそのまま「東北線」で収録されていたこと・前面の表示は側面とは別に設定をする必要があることなどもあり、車掌さんの裁量次第といった印象でした。
一部編成が短期間転用された千葉エリアでは、113系とともに前面に路線カラーの種別幕が用意されたものの、その後の長野・高崎では再び種別表示のみとされていました。
高崎車のについては前面・側面表示器ともに上野口時代からのものがそのまま使用されていましたが、107系の置き換えが行われた2017年3月改正と前後して路線カラー背景の側面方向幕に交換されており、高崎〜新前橋駅間で接続列車に乗り換える列車についてはその旨の記述が入るようになりました。
今回の前面種別表示器を使用した路線表示についても、側面方向幕と同様の乗り間違え防止と分かりやすさを目的としていることが想像されます。
高崎エリアでは上越線・吾妻線・両毛線・信越線と4路線の使用車両が全て211系となっており、高崎駅のホーム数の多さもあって複雑な印象です。211系の置き換えも遠くないなか、個別に設定が必要な手間をかけてまで使用を開始した関係者の努力は感心ですね。
利用者が前面表示器をどこまで見ているかは不明ですが、少なくともファン層にとってはかなり嬉しい変更です。
特に上野口時代から前面表示器が方向幕のままとされているA36編成の人気が更に上がりそうです。一方で、A36編成以外が搭載しているLED方式の表示器は撮影者泣かせな仕様で、シャッタースピードが1/100以下までしか写らない(走行している姿を一般的な設定で撮ると文字が読みにくくなる)ものです。
SLをはじめとする機関車牽引列車が注目されがちで、これらの乗車・撮影のために全国からファンが足を運ぶ群馬の各線ですが、引退もそう遠くないであろう211系もしっかり記録したいところです。
このほか、両毛線オリジナルデザインである矢絣(やがすり)柄の帯となっている211系に両毛線らしさが加わっています。両毛線での運用機会が多いようですが、カラーリング変更から現在まで上越線・吾妻線・信越線での運用実績もあり、この路線名表示のおかげで他路線で見かけるとより嬉しい車両となりました。
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