2024年3月のダイヤ改正で定期運用を離脱した255系。6月末までは3編成がE257系定期運用に充てられている一方で、7月以降の活躍の機会は大幅に減少します。
2024年6月4日、3月下旬から運用を離脱していた255系Be-05編成が京葉車両センターを旅立ちました。
6月末まで定期列車で運用中
2024年3月のダイヤ改正公表時点では、外房線特急「わかしお」と内房線特急「さざなみ」はE257系5両編成に統一することとされていましたが、ダイヤ改正直後の全車指定席化が利用者に浸透するまでの期間の措置として255系を活用した編成両数変更が実施されています。
この実施期間は春の臨時列車期間に相当する6月末までとされており、E257系の3運用相当を255系充当・1運用をE257系5両から2編成併結の10両とする措置となっていました。
2024年夏の臨時列車発表とその後の時刻表・座席発売状況からこの措置は予定通り終了し、255系の運用は最繁忙期土休日の1運用相当のみと活躍の場は大きく減少しており、去就が注目される存在です。
コロナ禍の減収減益を受けた設備投資抑制により特急形車両の采配に苦労している現状では、引き続き検査期限に余裕があり状態が比較的良好な編成を繁忙期用に残しておく動きが想像しやすいところです。
一方で、他エリアでの走行実績の乏しさなどを踏まえると、千葉エリア以外での活躍に留まりそうな印象もあり今後の活用が気になるところです。
輸送先は秋田?
今回配給輸送が実施された編成は、幕張車両センター所属の255系Be-05編成9両です。この編成は3月28日に京葉車両センターに回送されてEF81形との連結訓練を行い、その後も京葉車両センターに留まっていた編成で、運用離脱・最初の廃車対象と推測しやすい状態となっていました。
2024年6月4日から実施されている配給輸送では、京葉車両センターから京葉線・武蔵野線を経由し上越線方面に向かっています。
目的地は秋田総合車両センターと推測され、出発地・目的地ともややイレギュラーな選定となっているところが特徴的です。
所属区である幕張車両センターからではなく疎開先の京葉車両センターからの配給輸送とされているのは、幕張車両センター発着の配給輸送では新金線経由とする必要があり機回しが発生することが背景と推測されます。
同様の事例はE131系新製車の輸送先が京葉車両センターとされていた(過去記事)ものなどがある一方で、特殊な編成構成で自走回送がやや煩雑な209系2100番台混成10両は幕張車両センターから輸送とされた(過去記事)ものなどもあり、設定経緯によって使い分けられている印象です。
JR東日本の老朽車の解体は長野総合車両センターや郡山総合車両センターで実施される事例が多くなっていますが、秋田総合車両センターも近隣の車両や電気機関車などで少数ながら車両解体の実績があります。
255系は新製が東急車輛製造と近畿車輛、機器更新工事は大宮総合車両センターでの施工と東北エリアへの縁は一切ありません。外房・内房の海沿いを走っていた車両が日本海側の荒波をバックに輸送されていくシーンを拝みたいところですが、夜間帯の通過でしょうか。
現在は長野総合車両センターではE217系を、郡山総合車両センターでは205系を解体していますが、両所とも近年の車両導入ペース鈍化により解体ペースも抑えめな状態です。
解体場所が遠方とされた動きは215系を想起させられます。
215系の解体は2編成が青森改造センター(過去記事)・もう2編成が長野総合車両センター(過去記事)とされており、この事例と同様に255系の解体場所が秋田とされたのも社内全体での業務量調整といった意図が強そうです。
255系の置き換えは新製車による代替ではないため車庫内を大きく圧迫するようなものではなく、それどころか幕張車両センターは中央線E233系グリーン車の疎開場所に選定されているほどの余裕を持つ車両基地です。
まだ3編成が毎日稼働するなかで廃車が開始されるのはちょっと早めな印象もありますが、今回のBe-05編成も既に側面表示器が撤去されているなど、当面は残存する編成への部品供給の意図も考えられます。
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