【485系・宴】引退間近!?横軽越えも経験・お座敷電車の先駆け

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写真:E233系好きの中学生さま(@Daigo6511000)

JR東日本では初めてのお座敷「電車」として登場した485系改造のジョイフルトレイン「宴」に廃車・引退の噂が相次いでいます。

ここまでの活躍の経歴を振り返るとともに、今後の波動用輸送の形態を探ります。

宴登場の経緯

当時の東京圏の輸送を担っていたJR東日本東京地域本社ではお座敷客車として「なごやか」「江戸」という2編成を所有していました。

当時はお座敷列車がブームの真っ只中で新たなる増備編成として計画された車両がこの485系「宴」編成です。

JR東日本管内では初めてとなる電車改造のお座敷電車であり、これは交直流車両であることから非電化路線・ATC路線以外なら走行できるというデメリットの少なさと、客車列車に比べて高加減速・機関車交換不要というメリットの大きさから採用されています。

485系の走行機器はそのままに、車体を新製する形での改造となったことから、種車がボンネット型とは思えない新車同様の仕上がりとなっています。

この後に登場した直系の弟分である「華」編成や4両編成の「やまなみ」・「せせらぎ」編成、掘りごたつとボックスシート双方で使える「ニューなのはな」などの先駆けであるほか、彼らとは異なる前面デザインが特徴的です。

これは「宴」編成が宴の音読み=エンをキーワードに開発されたことと、彼らの共通デザインとなった先頭形状は209系の窓ガラスとの共通化で生まれたためであり、宴」編成の時点では前面ガラスの共通化の考慮はされていなかったことに起因します。

側面ドア窓についても円というコンセプトから楕円形のガラスとしています。

車両番号は「シルフィード」「リゾートエクスプレスゆう」の続番となっており、小山電車区・後の小山車両センター特有のモハユニット名を編成番号とする方式によりG4+G5編成を名乗っていました。

落成から小山一筋で活躍していたものの、2015年ダイヤ改正で小山車両センターに高崎車両センターからE233系が大量に集約された反動か、高崎車両センターに弟の「華」とともに転属、栃木の頭文字なのか高崎の旧G編成の略なのか、TG01編成とされました(同時に転属した「華」はTG02で、元々高崎配置の「リゾートやまどり」はYD01です)。

魅力的な宴会列車としての設備

宴はその名前のように、列車内で宴会をすることをテーマに開発されています。

当時流行りの車内でカラオケが出来る設備、冷蔵庫などの設備がありますが、どちらも団体列車の時にしか実績はなさそうです。

デッキに靴置き・傘立てがあって客室部は掘りごたつという一般的なお座敷列車の構成ですが、掘りごたつ部分には埋めることもできる昇降機構が備わっており、車内でプラレールで遊べるお座敷プラレール〇〇号など少ないながらも実績があります。

今時の観光列車では1人がけ〜4人がけという座席構成が流行りですが、あくまで団体客をメインターゲットとしたこの車両では6人がけの大きなテーブルが並んでおり、ツアーや臨時快速では乗り合わせた客同士が親しく話せるという点はこの世代のジョイフルトレインならではの魅力です。

なお、趣味的にはパンタグラフ下は屋根の高さの都合で構造が大きく異なっており、特徴的でした。

活動範囲が広い名車

デビュー当初には信越本線・横川駅〜軽井沢駅間の横軽超えを経験したことがある(6両・種車も485系なので協調ではない)ほか、当初の設計思想を超えてJR東海区間・名古屋方面への乗り入れも頻繁に行われていました。

485系の交直流どちらも走れる構造を生かして東北方面での活躍があったほか、改造前の485系と異なって中央本線での活躍も多く見られました。

特に中央線方面では、一般の乗客も使える臨時快速としての運用も多く実績があり、「華」とともに勝沼のぶどう狩りシーズンなどによく運行されてきましたので、狭小トンネル対応をして正解だったと言えるでしょう。

このほかにも、普段乗れない貨物線ばかりを走るツアーも各種催行されており、この宴編成も様々な貨物線を走行した実績があります。

登場から四半世紀近く、引退の噂

1994年(平成6年)の登場からまもなく四半世紀が経過します。

種車が485系の初期のボンネット車であることを考えると、走行機器を中心に老朽化していることは確実です。

先にジョイフルトレインとして改造された「シルフィード→NO.DO.KA.」「リゾートエクスプレスゆう」そして後輩である「ニューなのはな」が既に退役しており、高崎車両センターのほか2編成が検査を受けた一方で、「宴」も検査期限が迫っています。

最近の波動輸送は185系からE257系へ、交直流車両としては余裕のあるE653系の活躍が目立っており、485系を置き換えた651系さえも廃車が発生しています。

お座敷列車ブームも過ぎ去り、現在では個性的な観光列車・観光特急が多く登場しており、影が薄い存在である感じも否めません。

その特殊な用途がかえって他の用途で使えないということもネックでしょう。

車齢的にも、波動用車両の最近の動向からも引退・廃車の可能性は高く、今後の動向に引き続き注目です。

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