【置き場所不足?】田園都市線8500系8636F 東武南栗橋へ疎開か

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東急田園都市線では、老朽化した8500系を新型2020系へ代替が進められています。

このうち、田園都市線所属の8500系8636Fが2021年4月18日に長津田から東武鉄道の南栗橋へ臨時回送が実施され、動向が注目されています。

東急の車庫が一杯に……?

東急電鉄では、田園都市線で老朽化している8500系について、新型の2020系へ置き換える動きが続けられており、既に24編成の2020系が搬入済となっています。

東急電鉄で同時進行する車両・路線の改良の動きは他にもあり、東横線系統ではデジタル無線化工事、目黒線系統では相鉄直通・6両編成の8両化準備が進められています。

これらの動きでは、比較的近年に開発されて余力も大きい長津田検車区が活用されており、隣駅の恩田に隣接する長津田車両工場・東急テクノシステムと連携して、車両改造やその前後の車両留置が多く実施されています。

現在は3020系の8両化中間車の長期留置が目立ちますが、それ以前にも東横線・目黒線所属車両が組み替え・改造に関連する留置事例があります。

一方で、元住吉検車区では東横線所属車両・目黒線所属車両の日常的なメンテナンスを担当していますが、ここ15年程度で車両は増加傾向が続いています。

東横線複々線化事業として目黒線が武蔵小杉駅から日吉駅までの延伸で5080系増備・東京メトロ副都心線への直通開始に関連して一部の8両編成の10両化・東急新横浜線用の増備車となる3020系3編成の先行配置・目黒線奥沢駅構内配線改良(留置線の8両化)に伴う留置本数変更などの様々な要素がありました。

以上の結果として、東急電鉄全体として車両留置所の余裕が少なくなっている印象ですが、特に最近では2020系の2143F,2144Fが納車後デビュー前となっているなど、更に逼迫する要素が加わっています。

このため、今回の臨時回送は東急電鉄で長編成を留置出来る場所がなく、東武鉄道の車庫を借りる格好で対処することとなったことが推測しやすい状態です。

広告等がそのままの状態とされていることや、8636Fが検査順序からすぐの除籍が考えにくいことから、今回の疎開措置は一時的なものとなりそうです。

後に戻されるか、同所を出入りする定期運用を活用して車両入れ替えをするなどの動きが考えられます。

東急の疎開措置は過去にも

東急電鉄では過去にも様々な疎開措置を実施してきました。

最近の東急8500系代替については、東京メトロ鷺沼車両基地(鷺沼検車区)を使用する事例が発生しています。

比較的後年に建設された半蔵門線では車両基地用地の確保が難しかったことから、田園都市線の車両基地機能を長津田検車区に移転・その用地を当時の帝都高速度交通営団(営団地下鉄・現在の東京メトロ)が譲受することで誕生した半蔵門線(と後に日比谷線)の整備拠点とされた経緯があります。

この名残で現在でも本線の北側(上り線側)が東急電鉄の長津田検車区鷺沼車庫として大井町線所属車両を中心とした運用・南側(下り線側)が東京メトロ鷺沼車両基地としての運用となっていますが、近年の8500系の事例ではこのうち東京メトロの用地となる南側に疎開留置とされていました。

列車の設定としては東急線内完結ですが、こちらの事例についても他社用地へ車両の疎開留置を実施した事例と言えます。

しかし最近では、半蔵門線についても8000系の18000系による代替準備が進められており、既に18000系が2編成製造済となっています。

そのため、今回の事例については、従来のように鷺沼のメトロ用地に置かせてもらうことが困難となったことから、他の乗り入れ先であるトンネルを越えた先の東武鉄道で、比較的近年に建設されて用地が広大な南栗橋車両管区への留置が実現した……といった流れが考えやすいところでしょうか。

鷺沼の活用事例は過去にも東急8000系の世代交代で実例がありましたが、こちらは従来から東急用地となる北側(上り線側)の留置が基本だった模様です。

そして、東急の疎開措置を語る上で外せない事例としては、田園都市線の輸送力増強・混雑分散対策として実施された大井町線の溝の口駅延伸です。これに関連して大井町線の急行運行と6両編成(後に7両化)の専用形式6000系が導入されることとなりますが、デビューまでの期間に延伸区間の本線上となる二子新地駅へ留置する動きがありました。

この二子新地駅への留置はこの他にも、目黒線の日吉駅延伸に向けて5080系が増備された際の一時的に余剰となった目黒線系統の東急3000系の留置にも活用されていました。

東急電鉄沿線は比較的栄えている区間が多く、余裕を持った用地確保が困難なことは容易に想像がつくところです。

乗り入れ先を車両留置に活用する事例は相鉄かしわ台車両センターに停泊を多く設定したJR東日本の相鉄直通などにも例がありますが、特に近年は会社跨ぎのイレギュラーな運用体制・柔軟な車両采配が実施される事例も目立つ印象を受けます。

各社が互いに余裕のある用地を新たに確保するよりは、互いの用地に余裕がある時に車両留置場所を間借りする処置は合理的にも思えます。相互乗り入れが日常化した日本の鉄道ならではの柔軟な対処により、今後も面白い動きが登場することに期待が持てそうです。

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記事内の写真は、フォロワー東急南武沿線住民さま(@tokyunanbu8606)より掲載許諾を頂いています。

コメント

  1. イシロ より:

    現状の解体場所が何処なのかわからないですが、北館林で解体する、と変更すれば、
    自走でも送り込めるので、その準備かな?という邪推もできそうですが

  2. 東武蔵 より:

    >比較的後年に建設された半蔵門線では車両基地用地の確保が難しかったことから

    銀座線、丸ノ内線に次いで建設された歴日比谷線の竹ノ塚分室は東武から譲り受けたものですね。
    まあ編成両数の増加など輸送力増強でってことなんですが、元々、営団地下鉄では千住検車区の収容能力が小さいことを把握しており、
    将来は別な車両基地を確保する必要がありました