【定期券】払い戻し出来ない?チャージも使っちゃダメ!各社で異なる特例

スポンサーリンク

特別措置法に基づく緊急事態宣言に伴い、通勤・通学定期券の払い戻しが大きな問題となっています。

通勤定期券・通学定期券それぞれで扱いが違いますが、特に気をつけたいポイントを中心に、各社から相次いで発表されている定期券の払い戻しについて解説します。

記事内で何度も記していますが、特例を受ける場合はICカードのチャージ分・買い物を含めて一切使わないことが最重要ですので、くれぐれもご注意ください。

定期券の払い戻しについては、各鉄道会社によって詳細規則・特例扱いが異なっています。最新の公式発表に留意してください。公式発表を基に噛み砕いた解説をしていますが、当サイト記載の情報が事実と異なっていた場合を含め、当記事による損害賠償は致しかねます。また、駅職員などを責め立てるような行動はくれぐれもお控えください。

※ 筆者は鉄道業界歴がありますが、既に退職しています。内容でお気づきの点があれば、お気軽にコメント欄からご指摘をお願いします。

定期券窓口の現状

休校・在宅勤務などの影響で、通勤・通学定期券の払い戻しを予定している方も多くいらっしゃるかと思います。

既に定期券売り場に多くの利用者が殺到した結果、大手私鉄の駅を中心に払い戻しが一時的に中止となっています。

JR系はお金を持っている・私鉄はお金がない……ということではなく、新幹線・特急列車の切符発券などで取り扱い量が多いため、準備金=釣り銭・返金用の現金の額が元々多かったことが役立っているだけと推測できます。

本来であれば、駅の窓口は換金所ではなく、お金が入ってくる一方の場所です。

もちろん今回の自体に備えて準備金は増やされているかと思いますが、鉄道会社の予想以上に大量の払い戻しが集中してしまったということでしょう。

鉄道会社の経営が……という事態ではありませんので、基本的には焦ることではありません。

計算日が遡る・あくまで計算は通常の払い戻し規定

・特例が出ている会社で変化しているのは“払い戻しの計算日”

・それ以外は通常規則に準拠

チャージ分や物販などで使用したものも最終利用日にカウント

緊急事態宣言に伴う特例として、JRグループ・大手私鉄のそれぞれ一部で、定期券についても“ご利用になってない場合”の払い戻し計算を、宣言が発令した7日として計算する旨を掲載しています。

これについては、「払い戻しの申し出をした日=手続きをしに行った日を4/7だったことにして計算するよ!」といった趣旨のものであり、緊急事態だから特別・割安な払い戻しが出来ると言った趣旨の対応は現時点ではありません

通勤定期券では現時点で払い戻し起算日変更対象となっていない鉄道会社も多く、既に公式発表がある会社以外ではこの起算日特例が設定されない可能性もゼロとは言い切れません。

いずれにせよ、基本的な計算式は変わっておらず、使用開始から7日目までは日割り分と手数料を差し引いて払い戻し・長期間の定期の場合は1ヶ月単位で残っている分は払い戻し・それ以降は対象外……という鉄道会社の一般的な対応となります。

公式発表がない会社についても、今後同様の取り扱い発表がある可能性(払戻金不足で中止している鉄道会社など)もありますが、少なくともJRや大手私鉄の一部が既に発表しているように、ICカードのチャージ部分=区間外のみの利用・お買い物の利用であっても、利用歴があればその日が最終利用日とカウントされることが予想出来ます。

つまり、未発表の鉄道会社で今後同じような特例が発表されても、チャージ分を使用(定期区間外利用・物販など)している場合は、払い戻し期間の特例を受けられない可能性が極めて高いです。

そして、多くの方が使用している会社跨ぎの定期券ですが、これも従来同様に購入した鉄道会社での手続きとなります。これも経路によってはかなり面倒ですが、お金落とした会社からしかお金が返ってこないと考えれば仕方がない対応とも言えそうです。

通常規則通り、払い戻しで受けられる金額は下記の通りです。

定期券は3ヶ月・6ヶ月と長期間の方が割安になっているため、長期間の定期券の計算式は短期間の同じ区間の定期券との差額計算となり、少し複雑になります。

6ヶ月中5ヶ月使用すると返金額が異様に少なくなるといったややこしい計算です。

定期券の種類開始日から
7日以内
8日目
〜1ヶ月目
2ヶ月目3ヶ月目4ヶ月目5ヶ月目6ヶ月目
通勤1ヶ月購入金額
-日数×往復運賃
-手数料
返金なし
通勤3ヶ月購入金額
-日数×往復運賃
-手数料
購入金額
-1ヶ月分
-手数料
購入金額
-1ヶ月分×2
-手数料
返金なし
通勤6ヶ月購入金額
-日数×往復運賃
-手数料
購入金額
-1ヶ月分
-手数料
購入金額
-1ヶ月分×2
-手数料
購入金額
-3ヶ月分
-手数料
購入金額
-1ヶ月分
-3ヶ月分
-手数料
購入金額
-1ヶ月分×2
-3ヶ月分
-手数料
返金なし
通学1ヶ月購入金額
-日数×往復運賃
-手数料
返金なし
通学3ヶ月購入金額
-日数×往復運賃
-手数料
購入金額
-1ヶ月分
-手数料
購入金額
-1ヶ月分×2
-手数料
返金なし
通学6ヶ月購入金額
-日数×往復運賃
-手数料
購入金額
-1ヶ月分
-手数料
購入金額
-1ヶ月分×2
-手数料
購入金額
-3ヶ月分
-手数料
1ヶ月分×2
-手数料
購入金額
-1ヶ月分×2
-3ヶ月分
-手数料
返金なし

通学定期券も区分により異なる取り扱い

払い戻し起算日について詳しく記されているJR東日本・東京メトロなどでは、小学校・中学校・高等学校などの場合は起算日を2月28日・大学生などは通勤定期と同じ4月7日を起算日と公表しています。

通学定期券についても、未使用(ICカード付帯のチャージ分での乗車・物販利用)の場合に限られています。

会社によっても異なる取り扱い・未発表の会社もあります。

とりあえず持っているから私用でも使った方がいい……とはならないので、利用前に公式発表があるかどうかの確認をしておきたいところです。

払い戻しは後から出来るけども……おすすめ対処

今回の払い戻しの特例の恩恵を受けている方も多いと思います。

払い戻し自体は緊急事態宣言終了後1年間とかなりの猶予を設けていますが、うっかりタッチをしてしまった瞬間に払い戻しが出来なくなってしまいますので、定期券と紐付けされたSuica・PASMOなどの交通系電子マネー=ICカードは自宅に置いておくなどの対策が確実です。

先述の特例に関連して、新たにSuica・PASMOなどのICカード(異なる期間・用途のIC定期券)を別途新規購入・後日IC定期券とともに払い戻した場合、余計に買った分のICカードの払い戻し手数料は免除される特例も始まるようです(一部駅ではこういった案内が既にあったようですが、記事執筆時点では公式発表なし)

手数料が返ってこなかったとしても微々たる額(JR系ICカードは220円)ですし、うっかり使った場合の損失を考えると、予備のICカードを持っていない方は使い分けることを強くお勧めします。

裏技?捨てるよりはマシ?“区間変更”

既に使ってしまい、泣き寝入りが濃厚な状態という方も多いと思いますが、1つだけ裏技的な方法は一応存在します。

これは通常規則として、引越し・転勤などで定期区間を変更したい場合、10日刻みと手数料で差額返金を受けられるというものです。

正式な扱いに則れば、区間変更ではないものの、新しい区間の定期券を購入すると、古い区間の定期券の払戻額が通常の規則と異なるという計算が行われます。

これを生かし、その鉄道会社で最安値となっている区間に区間変更する方が返金額が大きい……というのが、裏技的な手法です。

本来なら泣き寝入りの残日数の場合はもちろん、6ヶ月定期の5ヶ月目=払い戻してもあまり返ってこない……という場合にも有効となる場合があります。

鉄道好きな方なら、乗車券は払い戻すより最短区間に区間を変更して捨てた方が安い……というルールが有名ですが、これの定期券版といった規約です。

ただし、この規則は転勤・転居を前提としたものと規約から読み取れる以上、通常の切符で認められた区間変更とは異なりますので、少しグレーゾーンです(鉄道会社ホームページでは特にこの背景について触れていない会社も多いので、白寄りのグレーといった印象です)。私個人としてはあまりおすすめできません。

通学定期券についても規則上で認められているものの、自宅最寄駅と学校最寄駅間の「乗車距離の短い経路」「定期運賃の低廉な経路」「著しく迂回とならない経路」のいずれかで発売されるというのが大前提のものですので、通学定期券の場合は区間変更手続きの適用は転校・転居をしない限り不可能と言っていいでしょう。

多くの鉄道会社でこれらの区間変更に類似した取り扱い対応していますが、この取り扱いは通常規則によるものですので、上記のような払い戻し起算日の特例には現時点で該当しません。窓口での払い戻し等の取り扱いが中止されていたとしても対応してもらえる可能性があるほか、完全に窓口が閉鎖されている場合も申告日の証明を駅員さんに記してもらう必要があるでしょう。

例えばあと10日だった定期券の払い戻しを今後特例で行うことは非常に考えにくいですが、もしこの手続きをし、後から上記特例範囲が広がった場合に損をする可能性もゼロとは言い切れません

末筆ながら……

このような状勢のなか、通勤時間帯については通常通りの本数を確保してくださっている鉄道会社各社ならびに関連会社でお勤めの職員の皆様に御礼申し上げます。

定期券の払い戻しで旅客とトラブルになることも容易に想像がつきますが、より円滑に進むよう、鉄道畑で育った端くれとして祈るばかりです。

関連記事はこちら

コメント