日本国内外で大きな話題となっている新型コロナウイルス。
空港アクセス特急の利用者減少など、鉄道会社各社にもその影響が出始めていましたが、遂に臨時列車の運休発表が始まりました。
運休となった臨時列車の経緯とともに、昨今の鉄道事業者の取り組みを紹介します。
臨時列車運休はイベント自粛の影響
現在のところ、一般公表された後に運休が発表された臨時列車として、JR東日本管内「2020 東金・九十九里波乗りハーフマラソン」(2/24)臨時普通列車 千葉駅→成東駅・東金駅→千葉駅のそれぞれ片道、「2020 かつうらビッグひな祭り」(2/29,3/1)臨時特急列車「かつうらひな祭り号」両国駅〜勝浦駅間 両日1往復となっています。
特急列車については既に指定席発売も多くされていた列車となります。
鉄道事業者の臨時列車の多くは行楽地などへの需要にあわせて設定されるものですが、マラソン大会・コンサート・スポーツ大会など、特定のイベントに参加するための臨時列車がある程度の割合を占めています。
現在のところ運休が報じられている列車は、これらのイベント自体の中止に伴うものとなっています。
JR各社であれば、春夏秋冬の季節臨時の調整は半年前から行われるほか、四半期ごとに季節の臨時列車としてプレスリリースを出すなど、事前に入念な準備を必要としています。
また、座席指定の列車は1ヶ月前から発売を行っています。
しかし、例外的な対応はそれなりに存在しており、臨時列車を増加させる例としては、指定席発売開始以降に予想を上回る発売があった場合の救済目的での設定です。
2012年末に笹子トンネル事故に伴う中央道不通のため、あずさ号増発・高尾〜大月駅間で臨時列車を増発したものが有名どころでしょうか。
一方、設定されていた臨時列車が取り消しとなる例も少なからず存在します。
イベント主催者の都合で運休となる例は決して珍しいものではなく、代表的なものとしては日本各地の花火大会臨時列車が挙げられます。
強風などの影響で花火大会が中止となった場合、臨時列車自体も運休とすることを事前に告知している例が一般的です。
これらの臨時列車の設定に際して、定期列車を巻き込んだ臨時ダイヤを組んでいる場合と、定期列車の合間に臨時列車を挟む場合があります。
臨時ダイヤを組んでいる場合は車両運用・乗務員繰りなどで大きな影響を与えるものの、定期列車の合間に増発するという大多数の事例では、車両運用を元どおりにする・予備交番の乗務員を予備に戻す……などの最小限の対応で済む事例が多いです。
また、先述の花火大会の事例とは異なり、随分前から運休をすることが決定していれば、優等・指定席列車についても返金対応などのトラブルなどが避けられますので、意味を成さない臨時列車は走らせない方がコストも抑えられます。
新型ウイルスが猛威をふるうなか、イベントを自粛する団体も妥当ですし、それに合わせた多客臨を取り消すのも至極当然の流れと言えそうです。
大阪メトロでは終電延長実験が見合わせに
このほか、大阪メトロ(旧:大阪市営地下鉄)では、先月に続いて終電延長の実証実験が本日21日に行われる予定でしたが、こちらも利用者数の観点から見合わせる格好となっています。
「深夜時間帯の利用者数が顕著に減少」と記載しており、直接的な新型コロナウイルスとの関係を明言していないものの、因果は明らかです。
同社では、ぶらりウォークイベントを感染拡大防止の観点で中止していることから、やはり影響を受けています。
今後も臨時列車の運休は相次ぐ?
鉄道会社の臨時列車には、イベントに向けて運行されるものの他にも、繁忙期の行楽需要に応える形で増発されるものや、閑散期の需要創出のために普段運行されない経路で設定されるものなどがあります。
今のところはイベントの中止に合わせたものばかりですが、今後はこういった鉄道会社が主導で設定している多数の臨時列車・定期列車増結などについても削減・運休が相次ぐかもしれません。
既にJR東海管内の東海道新幹線で8%・在来線特急で15%を産経新聞が報じていますが、空港アクセス路線・観光路線ではより大きな影響が出ていると考えて差し支えないでしょう。
以上を踏まえると、発売前の臨時列車については発売保留とする動きが今後出てくる可能性はかなり高そうです。
特に空港アクセス特急については、既に航空事業者が減便・機材の小型化をする動きがありますので、時間の問題でしょう。
外国人観光客の増加にあわせて全列車9両化・新型271系投入を行う関空特急“はるか”や全列車東京駅以東で12両化がされる“成田エクスプレス”などは、いきなり苦しいスタートとなりそうです。
ファンとしては臨時列車の運休は残念なところですが、そもそも不要な外出を控える風潮となっている昨今の情勢を考えるとやむなしでしょう。
各鉄道事業者では様々なアナウンスも
鉄道駅・列車内では日々多くの人が行き交うため、鉄道事業者も対応に敏感です。
各鉄道会社では、駅の電光掲示板・液晶ディスプレイ・ポスター掲示などあらゆる手段で感染拡大防止を声掛けしています。
なかには、咳エチケット・手洗いについて記したものもあり、今回の対策の力の入れようには驚かされるばかりです。
従来同様、運転士や車掌といった職員さんはマスクを着用して業務にあたっている光景が当たり前となっています。
ただ、今回の対応はこれに加えて、案内所や列車内アテンダントといった、従来ならマスクの着用が避けられてきた接客の色合いが強い職種の方々についても、マスクを着用している姿を見かけます。社内規定が変更されたものと考えられます。
日々さまざまな報道がされていますが、やはり感染力の高さ・潜伏期間の長さなどの面で従来のウイルスとは異なる対応に出る事業者が多いのも当然の動きでしょう。
早く事態が沈静化することを願って止みません。
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