【東海道・高崎・宇都宮】E233系3000番台〜少数派の魅力・今後に注目

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国鉄分割民営化以降の製造形式では最多数を誇るJR東日本・E233系。

後継のE235系が製造されていますが、まだまだ快適な新型車両というイメージが強いです。

各線区で活躍するE233系のうち、東海道線・高崎線・宇都宮線系統で活躍する3000番台には特殊な設計がいくつか見ることが出来ます。

路線ごとにカスタマイズ!E233系の魅力

前世代のE231系に続いて通勤型・近郊型の概念を覆していますが、E233系でも通勤用・近郊用・地下鉄直通用と幅広い用途で活躍できる車両となっています。

E233系は最初に中央線快速電車に投入されて以降、各路線に投入されており、圧倒的な車両数でJR東日本の“顔”として活躍しています。

番台区分運用線区運用開始年
0番台中央線快速・青梅線
五日市線・八高線・富士急行線
2006年※
2007年
1000番台京浜東北線・根岸線2007年
2000番台常磐線各駅停車・千代田線直通
小田急線直通
2009年
2016年
3000番台東海道線
高崎線・宇都宮線
JR東海 東海道本線直通
伊東線・湘南新宿ライン・上野東京ライン
2008年
2012年※
2014年
2015年※
5000番台京葉線・外房線・内房線
東金線直通
2010年
2011年
6000番台横浜線・根岸線直通2014年
7000番台埼京線・川越線・りんかい線直通
相鉄線直通
2013年
2019年
8000番台
8500番台
南武線
(8500番台:0番台改造編入N36編成)
2014年
2017年
※ 青梅線のうち青梅以北は翌2007年
宇都宮線のうち大宮以北は翌2013年
伊東線は2011年からも短期間使用されたものの、翌2012年改正で撤退

単一形式大量生産は趣味的に面白くない!という方もいらっしゃるかと思いますが、深堀りすると製造メーカーごとの違いのほか、路線ごとに様々なカスタマイズが施されています。

顔立ちや車体が異なる2000番台が目立ちますが、形式ごとに加減速性能や採用機器などに違いもあり、特に運用範囲が狭い横浜線・南武線向けは地域に根差した車両として工夫を感じます。

京葉線で5000番台が何らかの背景で製造数減少・209系500番台が残存していますが、原則的には形式統一大量製造・集中投入となっています。

しかしながら、3000番台については211系の代替などに留まり、多数派のE231系に混ざって運用されています。

細々としたデビューから一転

現在はE231系に混ざってたまにやってくる程度の布陣ですが、東海道線に投入された当初は1形式1編成の珍車でした。

これは、東海道線に一時的に転用されていたE217系3編成の一部を横須賀線系統に戻すための製造で、最小限の15両のみとなったことが背景です。

E217系同様にJR東海や伊東線に乗り入れず、増解結しない固定運用でひっそりとしたデビューとなりました。

同じ理由でもう15両だけ製造されたのち、211系を一掃すべく増備が本格化して現在に至っています。

この初期に投入された車両は当初から所属基地が国府津車両センターとなっていた一方で、211系が配置されていた高崎車両センター・田町車両センターに投入されていきました。

初期の2編成は編成構成を国府津車両センターのE231系に合わせた一方で、それ以降の本格増備では共通の構成とするため、編成構成とトイレの数の変更がされています。

そのため、現在でも2編成だけ異なる構成となっており、隠れた珍車となっています。

現在は211系代替分についても、上野東京ライン開業に合わせた運用整理でE231系に合わせて国府津車両センター・小山車両センターに転属しています。

上野東京ライン開業分以降の増備車は直接国府津・小山へ配属となったため、4つの基地に新製配置をするという珍しい動きとなっています。

ちょっと見劣り?昨今標準の液晶ディスプレイがない理由

通勤電車のドアの上には広告と列車案内の2画面の液晶ディスプレイ……という構成は、首都圏を中心に各社で導入が進められています。

JR東日本としては2世代前の通勤型電車・209系の試作車900番台で試験採用されたのち、前世代のE231系では山手線向けの500番台から採用されています。

E233系では0番台から全面的に採用……となるかと思われていましたが、この3000番台だけは前世代的な緑・赤・オレンジのLED表示器による案内となっています。

これは、2008年の1編成だけ投入した時点から、E231系となるべく仕様を揃えようとしたほか、将来的にE231系の併結運用を想定していたことが背景となっています。

併結するとなれば相手の車両との互換性が求められます。

特に車内案内についてはデータ受信・編成内で伝送する性能が求められるため、E231系にも対応させる場合は鴨居部(ドア上)のパネル交換だけでは済まず、大掛かりな改修工事となってしまいます。

また広告配信についても、そもそも数が少ない状態では広告を出す側・代理店側双方のメリットがありません(同じく数が少ない常磐線向け2000番台も当初は準備工事のみでした)。

メリットが薄いと考えられますので、3000番台でも引き続きLCDではなくLED案内の採用に至ったものと推測出来ます。

大量の行先コマンドがあるものの……

E233系3000番台では、他の番台同様にカラフルなフルカラーLEDを採用しており、湘南新宿ライン経由の列車は行先がオレンジ色・宇都宮線に向かう列車は緑色……など、複雑な運転体系でも分かりやすい案内がされています。

昨今の新型通勤電車では、行先と種別を個別に設定する方式の採用が多くなっており、JR車両でもE233系では原則この方式となっています。

同じく多彩な選択肢がある中央線快速電車や、相鉄線内の全ての種別・行先を網羅した埼京線についても、システム上は種別×行先で全ての表示が可能です。

これにより、ダイヤ乱れや臨時列車などのイレギュラー運行にも柔軟に対応出来たり、ダイヤ改正で新たな組み合わせができてもそのまま使えたりと使い勝手が良くなりました。

しかしながら、3000番台だけは従来同様に決まった種別+行先の一覧表から番号を選択する方式となっています。

ただでさえ経由や行先の数が多いこの系統ですので、100個もの対応表から目的の表示を探す必要があり、乗務員さん的には不便なことでしょう。

こちらについても、E231系との併結運転時に一括で表示設定が出来るようにする工夫だったものと考えられます。

E231系がこの方式だったため、E233系にはあるけどE231系にはない組み合わせ……などが発生することを防ぐこととなります。

また、互換性を持たせない場合は編成ごとに設定を変える必要があり、それはそれで不便です。日常的な増解結があるこの系統ですので、妥当な対応でしょうか。

気になる今後は?転用計画にも変化はある?

現在はE231系とともに共通運用入りを果たし、やっと本領を発揮出来ているE233系3000番台。

他路線では形式統一の威力を発揮していており、最初に投入された0番台も改造がされてまだまだ活躍が期待出来る一方で、野東京ライン・湘南新宿ライン系統には早くも置き換えの噂が絶えません

初出はかなり前の組合発表情報でしたが、E231系の常磐線向け車両(2016年に入場した編成)と、近郊型のうち経年車(2015年〜2017年初めに入場した編成)については、短編成化を見越して中間付随車(モーターなしの中間車)以外の機器更新とされており、2016年時点ではこのE231系を転用する動きが現実味を帯ていました。

横須賀線・総武線快速向けのE235系が前倒しで投入が報道された際にも、次の投入路線は東海道線・高崎線・宇都宮線系統と報道されており、投入順序変更こそあれど、やはり置き換えが進められる計画には今のところ変更はなさそうです。

E217系と異なり、E231系近郊型では東海道線向けで製造された車両にも半自動ドアスイッチなど耐寒性能があるので、地方転用自体は容易な車両です。

主要機器のシステムであるINTEROSとTIMSの互換自体は開発が進められているようですが、E231系互換のために前世代への対応をした3000番台との併結……ダウングレードした車両に合わせることは中長期的にはデメリットとも言えそうです(先述の液晶ディスプレイ非採用など)。

E235系に形式統一出来れば、混結対策のダウングレードの慣習を断ち切ることにもつながります。

当サイトでも注目度が高いE231系の転用ですが、昨今の深刻な収益悪化を考えると、長いスパンで計画が進められる鉄道車両製造には何らかの変化もありそうです。

東日本大震災でも車両投入が遅れたと言われていますが、今回の経営的なダメージは利用者が大幅減少している限りは続きますので、それ以上となるかもしれません。

鉄道車両製造は1〜2年単位で製造・発注していますので、横須賀線・総武線快速電車に投入されているE235系1000番台は予定通り投入される可能性が高そうですが、その後製造されるであろう投入路線の計画変更の可能性は十分考えられそうです。

更に計画変更で置き換えが更に数年遅れた場合、E231系は廃車・E233系は地方転用……といった動きに変わるかもしれません。

所要数も中途半端の3000番台。E235系との併結は実現するのか、転用されてしまうのか。はたまた登場時のような限定運用で不遇な最後となるのか。

暗い話題が続いていますが、このE233系3000番台も振り回されることとなるかもしれませんね。

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コメント

  1. KNT より:

    気になる今後は?転用計画にも変化はある?の欄にある上野東京ラインのところが赤字になってるんですが、上だけ黒字のままです。

    • KNT様

      日頃からのご愛読・そしてコメントありがとうございます。

      ご指摘ありがとうございます。
      コメントで頂戴しました色付けの件、修正させていただきました。

      今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。