【編成間の通り抜け不可】“修善寺踊り子”E257系2500番台・14両運行が開始

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2021年3月13日のダイヤ改正より、東海道〜伊豆方面の特急がE257系「踊り子号」・E261系「サフィール踊り子号」への置き換えが完了しました。

2020年3月のダイヤ改正から3編成・2021年2月10日から4編成体制で運行されていたE257系は、2000番台の基本13編成・2500番台の付属4編成体制となっています。

2018年度から少しずつ改造!踊り子号の世代交代

2020年3月改正では「スーパービュー踊り子」の251系と、土休日の臨時列車「マリンエクスプレス踊り子」のE259系を代替するため、新型の豪華特急「サフィール踊り子」定期1往復・臨時1往復と、それ以外の251系が担当していた平日2往復・土休日3往復はE257系2000番台の先行投入となっていました。

今回の2021年3月のダイヤ改正では、残されていた185系で運行されていた残り全列車がE257系での運用となりました。従来は185系で運行されていた修善寺駅発着列車も、土曜・日曜日の片道運行こそ廃止されているものの、平日2往復・土休日3往復がE257系での運行とされています。

これにより、185系を使用した踊り子号が見納めとなった一方で、これまで営業運転に使用されていなかった2000番台のNA-01,02,03,05,06,09,10,11,12編成の合計9本と2500番台のNC-31〜34編成の合計4本が相次いでデビュー。特に2500番台についてはこの区分自体が初めての営業運転となっています。

なお、車両の改造についてはかなり前から少しずつ実施されており、2018年6月末にE257系一部運用がE353系に代替されたことを皮切りに長野総合車両センター・秋田総合車両センターで実施されていました。2021年3月に最後のNC-34編成が出場し、全編成が出揃っています。

14両編成の1番列車を見る

3月13日のダイヤ改正より、修善寺発着の列車は平日2往復・土休日3往復に変更されています。

従来同様、東京駅9時発の「踊り子3号」3023Mが1番列車となりました。

前日の185系フィーバーとは打って変わって、乗車するファンが少し撮影をしている程度、昨年に続いて出発式もなく静かなスタートとなりました。

やはりファン目線で注目されるところは、今回のダイヤ改正で新たにデビューした2500番台の修善寺発着と、番台区分や前面形状が異なる連結面でしょうか。

従来の185系踊り子号では、熱海駅解結作業で修善寺編成が一旦後退するシーンが特徴的でした。今回のE257系では、そのまま下田編成が発車して解結となるようです。この辺りは今どきの列車になった……とも言えそうです。

このほか、東京駅をはじめとする特急停車駅では、水色のジャンパーを羽織ったJR東日本の子会社「JR東日本パーソネルサービス」派遣社員によるリーフレット配布・旅客案内が実施されていました。

求人情報を見る限り、平日の特急「湘南」停車駅でも実施される模様です。

2000番台と2500番台の車内の違い

今回改造を受けたE257系は、伊豆急下田駅発着の1〜9号車が中央線特急から、修善寺発着の10〜14号車が房総方面特急からの転用となっています。

種車としては前面形状の違いのほか、内装が大きく異なりました。転用にあたり、座席のモケット・荷物棚のカラーリング・カーテンなどの異なるカラーリングだった箇所のほとんどが統一されており、車両の違いは“間違い探し”に近い状態です。

現時点で明らかになっている違いとしては、ドアの化粧板の違いがあります。

0番台が赤色・500番台が白色のものを使用しており、こちらは交換の対象から外されているためそのまま残されています。

このほか、乗務員室・車内販売準備室のシートモケット・カーテンはそのまま使用されているため、改造前の仕様の違いが残されています。特に4号車の車掌室・車内販売準備室の“武田菱”仕様のカーテンは自身が中央線出身であることをひそかに主張している印象です。

2500番台の“新しい顔”は上り列車で

新たに登場した2500番台は熱海駅で増解結され、下りのJR東海管内熱海駅→修善寺駅・伊豆箱根鉄道駿豆線三島駅→修善寺駅と、上り列車の全区間で先頭に立ちます。

JR東日本管内では先代の185系同様に5両単独の定期運用はありません。

上り1番列車となった「踊り子8号」は、大雨のなか駆け抜けて行きました。

筆者個人としては配給輸送〜試運転を記録してきましたが、2000番台の方が整っている印象がありました。しかし、長編成の先頭に立ち大雨を切り裂く姿はなかなかカッコいいと思います。

14号車は増解結で使用しない前提で改造を受けていますが、連結器下部の電気連結器は撤去されていません。

JR東日本では一度電気連結器を設置した後に使用されない場合も残置するのが原則となっており、最近の事例では唯一常磐線から武蔵野線に転用されたE231系MU22編成についてもそのままとされています。

なお、従来日曜日に見ることが出来た、午前中に上る踊り子2号の修善寺発着が今回のダイヤ改正で終了したため、上り方が先頭に立つ踊り子号での活躍を撮影することは極めて困難です。

2500番台の活躍を記録する場合は熱海駅以西の下り単独走行か、順光時間帯に東海道線・貨物線を走行する新しい特急「湘南」が中心となりそうです。

9号車と10号車は通り抜け不可の理由は?

利用者目線でも特徴的な面として、9号車と10号車の連結面は、幌を繋いでいながら一般旅客の通り抜けは不可とされている点が挙げられます。

そもそも全車指定席で通り抜けの必要が薄いという意見もありますが、転用前はそれぞれ通り抜けが出来た場所であり、わざわざ締め切る必要性は皆無にも思えます。

筆者の推測となりますが、中間ドア扱いに関連した動きなのではないかと考えています。

新しい着席サービスでは従来に比べて車両人員を削減しており、少なくとも9両編成については1名乗務が始まる模様です。この際、途中停車駅では最後部以外の乗務員室でドア開閉操作・状態監視(ホーム上での接触がないか目視で確認する)を実施することが必要に応じて可能となっています。

この中間ドア扱いでは車掌がホームに降り立つことがないため、従来のホーム設置の発車メロディ操作が不可能です。このため、車掌がリモコンで発車メロディを扱える通信設備が各乗務員室付近のホーム屋根に追加されています。

これについて、中央線の事例では、当初設置された八王子支社管内では下り9号車・上りは運転台のある4号車とされていたものの、後に対応が進められた長野支社管内では3号車・4号車・9号車全てに対応設備を設けています。

増設された経緯は定かではありませんが、一般旅客が通行する運転席のない側でのドア扱いが保安上問題となることが容易に想像がつきます。そもそも中間ドア扱いが常磐線でなし崩しで始まったものであり、実運用を重ねる内に問題とされた可能性がありそうです。

またこのことから、隣接した運転台であってもリモコン操作が届かない設備となっていることも分かります。別の番線のメロディが反応して鳴ることがないように、通信可能距離が最小限とされたのかもしれません。

そして、中央線では特急の停止位置が9両・12両で揃えられていた(9両でも松本側に合わせて停車)一方で、東海道線ではこの施策が見送られました。

特急停車駅数が「踊り子」と「湘南」で非常に多いうえに14両での運行数が少なく、全ての乗務員室の場所に対応設備を設けるよりは、扱える乗務員室を限定することで、工事を簡略化した可能性が挙げられます(9号車の方だけ使用可能とする……など)。

一方で、車掌要員を削減する以上は両編成を乗務員が通り抜けする必要があります。

これらの事情を総合して、幌の接続は行って全列車で通り抜け可能な状態を確保しつつ、乗務員のみの通り抜けとして中間運転台は乗務員室として確保する……という変則的な体制が組まれたのではないでしょうか。

2019年製造のE261系「サフィール踊り子」では、特急車としては異例の乗降促進放送(車外スピーカー)が特徴的でした。JR東日本が今後開発する特急車についても、車掌減員対応でこの設備が一般化しそうです。

やはりネガティブな点も目立つ……

以前の記事でも記しているように、E257系は転用時期の遅れもあって決して車齢が若いとは言えない車両です。改造メニューもそこまで派手なものではなく、改造前から多かった雨漏りやトイレ詰まりなどのトラブルは改善していない印象は拭えません。

先ほどの運転台の写真でも、手前側のNC-33編成の通路が雨漏りしている状態が見られます。トイレについても、中央線時代に団体枠で発売されることが多く使用頻度が高かったと思われる、現在の2号車のトイレがよく故障しているのを見かけます。

既に置き換え時期が迫っている房総特急の255系・機器更新自体が見送りとなりそうなE257系500番台の房総特急、それ以上に経年車となっている高崎線特急651系1000番台・東武線直通特急253系1000番台辺りが次の置き換え対象となりそうですが、その次はE653系・E751系とともに機器更新を施工したE257系の東海道線が置き換え検討時期に差し掛かります。

これらの事情を考えると、決して長い活躍は期待出来なさそうです。ただし、昨今の大幅な減収で長期的には車両代替に遅れ・計画変更が出てくる可能性は否定出来ません。現状E235系投入とE233系転用が最優先課題となりそうです。

仮にE257系の代替が新造車となった場合は、かつての常磐線特急・中央線特急で見られた「フラッグシップの方が経年車」という逆転現象が生まれることとなります。

485系の雑多な改造車が晩年に注目されたように、編成によって細かい改造差がある点は趣味目線では面白いところです。筆者を含めてしばらくは「185系ロス」ではありますが、E257系も決して長い活躍が期待出来ないことから、しっかりと乗車・撮影を早めに楽しんでおきたいところです。

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コメント

  1. 佐藤C作 より:

    折角、185系からE257系への置き換えが完了したのに、記事の最後の部分はそれに水を差す様な気がして、文字通りもう何だか不愉快な気分がしました。
    けちを着ける記事は東洋経済エンラインの、鉄道最前線だけで充分です。

    • より交 より:

      開業と課題で、別々にエントリーを分けた方が読みやすいし研究しやすいですね。