2021年8月12日、臨時特急さざなみ91号より営業運転を開始しました。
行き先表示・内装など、意外な仕様で注目されています。
波動用の機器更新車初の営業運転
2021年5月に5000番台9両のOM-91編成(元:松本車両センターM-105編成)・5500番台5両のOM-52編成(元:幕張車両センターNB-09編成)が出場していますが、これまで団体臨時列車・臨時列車などの営業列車での運行はなく、8月12日の内房線臨時特急さざなみ91号が営業初列車となりました。
外からは大型荷物スペースが設置されているものの、座席やコンセントなどは改造前そのままの状態とされていることが確認されていました。
営業運転開始により具体的な車内の詳細が明らかになり、従来は水色・ピンク色の交互配置だった荷物棚が黒色に変更されていること・カーテンが武田菱模様ではない新品に交換されていることが確認されています。
運行の様子
さざなみ91号は、東京→京葉線→内房線→館山の経路で運転される特急列車です。
前日に幕張車両センターへ送り込まれていたOM-91編成は、幕張車両センター→外房線誉田駅→京葉線東京駅の経路で送り込み回送・館山駅→幕張車両センターで返却回送が運転されています。
送り込み(回9211M-回9212M)
短区間ながら外房線の蘇我以東にも入線
曇天ながら時折日差しも見えるスタート
本運転(9111M)
500番台同様のイラスト表示が追加され、写真映えが嬉しい貫通側の先頭車
2両編成が増えた君津以南を堂々の9両編成で走行
返却回送(回9114M)
伊豆以上に海沿いを多く走る内房線
前面表示は追加されたのに……
今回の運行で疑問に感じた方が多そうな点は、前面のヘッドマークを新調したにもかかわらず、側面表示や車内案内装置・自動放送などが動作していないことでしょうか。
東海道線特急に転用されたE257系2000番台・2500番台では、機器更新工事とともに車内案内装置・行先表示などを東海道線特急・中央線特急・房総特急で設定を切り替えられるようにしていると伺える状態でした。
しかし、設定画面を見る限り、2000番台では東海道線・中央線の選択コマンドがあるものの、2000番台では房総特急が選択できない状態とみられます(2500番台では未確認・乗車していた際にその画面を偶然見ただけなので、それ以上の詳細は不明です)。
2000番台のこの仕様を5000番台も踏襲していると仮定すると、線区設定に依らず設定が可能な前面表示器は使用出来て、その他の案内装置が使用出来ていないことの辻褄があいそうです。
仮に9両編成は東海道線・中央線の2種、5両編成は東海道線と房総特急の2種だと仮定すると、今回側面表示器などが使用されなかったことのほか、中央・房総双方で重複している特急富士回遊号の設定理由・ホリデー快速鎌倉が両者で使える東海道線特急に入れられたことなども納得がいくところです。
このほか、5000番台で3路線とも対応していたと仮定しても、乗務員が設定方法を知らない場合も考えられます。この場合は後日表示が掲出されるかもしれません。
千葉エリアの乗務員はE257系機器更新車を営業運転でこれまで扱ったことがありませんが、5000番台が出場してから東大宮から動いていませんので、訓練などはありませんでした。
会社の意向を想像すれば、確かに同一形式を日常的に扱っている千葉支社の乗務員に訓練する理由は乏しいようにも思えます。
この機器更新車で新たに追加された路線設定画面は特定条件下でしか操作が出来ず、走行中などは設定を変更することは出来ません。
幕張車両センターにデビュー前のE257系2000番台が疎開されていた時期こそありますが、デビュー前の2000番台では車内案内装置関連は未着手(新しいデータを入れていない=中央線の仕様)となっている事例が確認されています。OM-91編成が前日夕方に送り込まれたことを加味すると、訓練は一切していないものとみられます。
せっかくなら既存のデータを活用して車内外の案内表示器を動作できる状態にしておけば……とも思いますが、この辺りの中途半端さは波動用車という使途を考えると妥当なのかもしれません。
画像元ツイート紹介
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記事サムネイル・記事内掲載写真は、鉄道ファンの待合室公式LINEアカウントより投稿されたBOSO EXPRESS E257様の写真・筆者撮影写真です。画像投稿についての詳細はこちらから。
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