【相棒変えて“山登り”】スーパークモヤ試運転継続!E493系がEF64 1052号機を牽引

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2021年4月17日から18日にかけてE493系の中央線試運転が実施されました。

翌19日についても同様の動きがありましたが、牽引されるEF64形が差し替えられる意外な動きとなりました。

2機を送り込んで試運転

2021年初めに姿を現した車両牽引を主目的とした事業用電車E493系。

量産先行車となるオク01編成2両ですが、4月までは常磐線での単独走行で性能確認を目的とする試運転が続けられてきました。

5月前半には田端操車場〜水戸駅にてEF81形を牽引する試運転が6往復運行され、電車が機関車を牽引する特異な編成でファンの注目を集めていました。

17日からは走行路線を中央本線に移し、EF64形を勾配の多い同線で牽引する試運転が実施されています。

今回の試運転関係では、15日に1052号機を、16日に37号機を高崎から田端へ送り込んでおり、17~18日の往復では後から送り込まれた37号機・19日~の往復では先に送り込まれた1052号機が使用されるという少しややこしい動きとなっています。

一部で引退報道もあった37号機の中央線への“里帰り”に続き、続いて茶色に白帯の“くつろぎ”塗装を引き継いだシックな1052号機+派手なE493系という異色の編成が実現してファンを沸かせました。

無駄にも思える“差し替え”の理由

ファン目線では2種類の編成が楽しめるありがたい設定ですが、車両運用面では一見すると無駄が多いようにも感じます。

推測の域を出ませんが、筆者は“仕業検査”の都合で複雑な車両采配が行われたものと考えています。

JR東日本を含め、国鉄型電気機関車の仕業検査は3日(72時間)が上限とされており、それ以上連続で運用する場合はどこかで「仕業検査」を実施する必要が生じます。

一方のE493系については、209系以降の「新系列電車」で実施されている「新保全」または、E235系などの最新鋭の電車で始まっている「モニタリング保全」のいずれかに該当するものとみられます。

「新保全体系」の車両では仕業検査の上限は6日間とされています。

今回のE493系については、18日晩は田端操車場から尾久車両センターへ戻る動きはなく入換作業を終えています。

車両の詳細が未だ不明な点が多いものの、検査については「新系列」基準とされている可能性が高そうです。

72時間制約があるEF64形は所属区ではないものの、過去の実績から田端運転所または長野総合車両センターで仕業検査が可能であることが分かります。

今回の機関車の差し替えは、試験期間中は無動力扱いとされているEF64形を長野で検修線に入れ換え作業or深夜着で翌朝出発する合間に田端操車場から渡り線を介して尾久側にある田端運転所に取り込んで再度戻す……という煩雑な作業を避けたようにも思えます。

1往復目を後から送り込まれた37号機を使用したことも、高崎〜田端〜長野〜田端まで合理的に動かす(検査回数を最小限で済ませる)目的だとすれば納得です。

電気機関車の仕業検査都合の変わった運用では、都心から酒田までのEF81形使用の臨時工事列車(工臨)が、上りの高崎→新小岩操間だけ機関車をEF65形に付け替えてEF81形は検査後に田端へ戻る……など、過去にも面白い運用が組まれることがありました。

2往復目を担った1052号機は18日に送り込めば……という疑問こそ残りますが、復路の日程(長野からの戻りが翌日ではない場合など)から田端での検査が必要となること、“予備交番”と呼ばれる臨時列車担当乗務員の手配など、何らかの理由がありそうです。

このほか、そもそも無動力の車両は仕業検査が切れていても問題ないようにも思えますが、常磐線ではEF81形・中央線ではEF64形と“死重”も運用線区に合わせた車両とされていることから、被牽引車についてもE493系が車両不具合を起こした場合の“救援”を想定している可能性が高そうです。

ただの死重ではなく救援での使用を想定しているならば、検査切れ状態でぶら下げておくわけにもいきません。

今回の運行体系は様々な事情・背景があってのことと推察できますが、結果として塗色や形状の異なる2種類の編成が楽しめたことはファンにとって嬉しい話題となりました。

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