【GNSS試験車】八高線新車準備は順調?E493系がキハ110系を初牽引

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2024年5月より久留里線のキハE130系の入出場回送で運用を開始したE493系。

10両編成程度の牽引を想定して開発・量産されたものの、2両編成で1両編成を牽引するのみと寂しい状態が続いています。

2024年10月17日には同じく首都圏経由の気動車入出場回送として運転頻度が高い、ぐんま車両センターから郡山総合車両センターへの配給輸送に初めて充てられています。

慎重な動きを続けるE493系

機関車牽引列車の代替として、車両牽引用の事業用電車としてE493系が開発され、2021年に先行量産車が、2023年に量産車が落成しています。

試験ばかりが続く状態となっていましたが、5月17日に木更津から郡山へのキハE130-110号の入場回送を、6月4日に同車の出場回送を牽引する形で運用開始となりました。

一方で、同じ首都圏発着の気動車入出場においては、八高線用のキハ110系は10月3日の出場配給まで電気機関車での牽引が続いており、置き換え時期が注目されていました。

これまで多くのファンによってE493系は牽引能力が不足しているのではないかと指摘されている一方で、落成当初の試験でさえ電気機関車1〜2両程度の牽引実績があり、これらの列車のような気動車1〜2両が牽引能力の限界とは到底考えにくいものとなっています。

どんなに低く見積もっても連続勾配区間が少なく短編成だった205系3〜4両編成の廃車配給輸送の牽引は容易だったでしょうし、それ以外の慎重に運用入りとなっている事情がありそうです。

これまでの気動車牽引では電気指令式ブレーキを使用せずに自動空気ブレーキの接続で運転する体制となっている点が注目されます。

姉妹車両であるGV-E197系についても他形式牽引は客車の12系のみとなっており、E493系においても電気指令式2種・空気ブレーキ2種の運転モードのうち前者を使用した本線試運転が一切行われていません。

キハE130系やキハ110系は電気指令式ブレーキを採用している車両ながら、EF81形牽引時代と同じく自動空気ブレーキでの接続とされていることから、ブレーキ面での何らかの調整が残っているのかもしれません。

運転された列車を見る

6時33分ごろ上り・10時45分ごろ下り

今回運転されたのは、ぐんま車両センターから郡山総合車両センターまでの配給列車です。

八高線の気動車は従来から郡山総合車両センターで定期検査を実施しており、機関車牽引の配給輸送が実施されていました。

両毛線経由・黒磯駅へ交流電気機関車が入線可能だった時代は高崎車両センター高崎支所(現在のぐんま車両センター)のEF64形やEF65 501号機などと仙台車両センターのED75形のリレーとなっており、電気機関車のファンにとっては人気の列車となっていました。

双頭連結器を装備したEF81形の牽引となったのち、年月の運転からは他の配給列車と同様に機関車の付け替えを避けるために東北貨物線を南下・田端操車場を経由して常磐線・武蔵野線を経由する体系となりました。

今回は機関車牽引列車から電車牽引の列車へ置き換えがされていますが、E493系においても編成付け替えを避ける現行ルートが踏襲されています。

そもそも、ぐんま車両センターはGV-E197系の配置拠点であり、現状の輸送前後の回送や機回しを避けるための運転経路を考えると、GV-E197系のプッシュプルや自走回送とした方が合理的にも思える内容です。

キヤE195系導入に向けて首都圏でも内燃免許を取得した乗務員が増えている状況ですので、将来的には久留里線・八高線の入出場牽引のような任務はGV-E197系の担当に持ち替えたり、自走回送に改められる可能性も否定は出来ません。

E493系自体は当初計画より量産数を減らしたことが労組資料に記載されていました。

E493系が順調に長編成の列車牽引で忙しくなった暁には、2編成しか在籍しないE493系が長編成の電車牽引に特化することも容易に想像できますので、今後のE493系の運用状況には引き続き注目したいところです。

八高線HB-E220系(?)の動き

今回の被牽引車は八高線用の営業車ではなく、郡山総合車両センターに所属するキハ111-108・キハ112-108の2両です。

これまでGNSS(人工衛星を用いて現在位置を測位するシステム)と携帯電話の無線通信網を使用して踏切制御・列車制御システムのスリム化を目指す試験(JR東日本 PDF)に使用されていました。

この試験では当初は秋田のGV-E400系を使用して実施されており、当時の公表段階では2024年度の導入を目指すとされていました

二代目の試験車として郡山から車両を借り入れる体制が組まれていたことや、既存車の設備改造・他線区で見られる延命工事などの動きが見られないことから、ファンの間では八高線向け後継車への置き換えと同時にこの新システムに移行することが有力視されています。

メーカーのホームページに「HB-E220系」の名称が記載されたのち削除される・GV-E400系に類似しながら3扉となっている車両構体が川崎車両で目撃されるなど、断片的ながら八高線の世代交代の足音が聞こえてきました。

コロナ禍の設備投資抑制で導入時期が遅れていることを考えると、2024年度末時点で量産先行車2両1ペアが出場・2025年度に各種試験を実施して2026年度の途中から順次営業運転を開始、車両代替が完了した2026年度末にGNSSによる制御システムへ移行……などといったスケジュールが想像されます。

八高線用の21両が必ずしもそのまま淘汰されるとは限らず、キハ100系・キハ110系のグループ内での置き換えや、コロナ禍でしばらく動きがなかった「のってたのしい列車」の拡充などファンにとって面白い動きがあるかもしれません。

特に2024年にはひたちなか海浜鉄道がキハ100系3両を譲受することを公表し、既に1両が搬入済みとなっています。

JR東日本が大量に導入した車両という点で、同社の車両代替計画に左右される格好となるものの、中長期での部品供給への期待が持てる点では他社のディーゼルカー以上の安定性が期待出来ます。

既に山形鉄道フラワー長井線が5両の車両代替を検討していたり、会津鉄道と只見線で運用する「お座トロ展望列車」の置き換え検討が報じられるなどの話題があり、今後も他社への譲渡が見られるかもしれません。

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