【“レア塗装”見納めか】広島更新色(風)最後の生き残り!EF64 1046号機が入場

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JR貨物ではEF64形1000番台が多数活躍していますが、このうち3機のみに施された「広島更新色」の生き残りであった1046号機が定期検査のため大宮車両所へ入場しました。これにより、2006年に誕生した同色が姿を消すこととなりそうです。

JR貨物の1000番台の生い立ちを、広島更新色の15年を中心に振り返ります。

JR貨物に継承されたEF64形1000番台

原色のまま天寿を全うした1016号機。視認性向上のため高崎機はプレートの青色化がされている。

国鉄末期に製造されたEF64形1000番台は全部で53機が製造され、国鉄分割民営化では1002〜1028,1033〜1050号機の45機がJR貨物に継承・それ以外の1001,1029〜1032,1051〜1053号機の8機がJR東日本に継承されました。

JR貨物に継承された45機のうち、1046〜1050号機は岡山機関区に配置されて伯備線の貨物列車を単機牽引・それ以外の40機は高崎機関区に配置されて上越線の重連総括牽引を中心に首都圏各地で運用されていました。

伯備線貨物列車を牽引する1048号機。プレート青色化がされていない一方で、ホース類撤去が目立つ。

更新工事で様々なデザインが誕生

大宮車両所に入場中の1007号機。更新対象となるも、不運の事故廃車に。

JR貨物では、国鉄から継承した電気機関車各形式について、機器更新工事を順次施工しました。

車齢の浅いEF64形1000番台は他形式と比べて開始が遅く、高崎機関区所属機は2003年から大宮車両所で更新工事が進められました。

最初の更新対象となった1015号機はEF64形0番台・EF65形などと同様に、JR貨物標準塗装(ライトパープルベース+ディープブルーとスカイブルーのいわゆる3色更新色)に塗装されたものの、他形式との見分けがしにくくなったことから次の1009号機以降では青ベースで白色ストライプの塗色となりました。JRFマークがコンテナ等で使用されているJRFレッド(ワインレッド)となっている点も特徴的です。

最初の1009号機は塗り分けラインが異なった(フィルター上部に白色がない)ため、大宮では3種類の塗色が誕生しました。

転属(後述)後の1047号機。高崎機とデザインと色合いが異なる。

岡山機関区所属機の更新工事は2006年から開始されましたが、広島車両所では国鉄色の塗り分けより少し面積の少ない前面白色塗装+側面は白帯とロゴマーク+乗務員扉をからし色に塗装と印象が大きく異なるものとなりました。

EF64形・EF65形でも使用される塗料の違いによる色合いの違いがありましたが、EF64形1000番台についても青色が淡く、白色が青味がかったもので印象が異なりました。

この更新工事は一部の機関車には実施されず、高崎では1006,1012,1014,1016,1019,1040号機が、岡山では1048,1050号機は更新工事が施工されず終了し、以後の検査も“原色”維持で通過し注目されました。

更新対象から外され原色で全般検査を通過した1019号機

運用再編で愛知へ・関東運用進出

当時落成したての山手線E231系4600番台と離合

更新工事・EH200形の投入と並行して、2010年前後には電気機関車配置の集約が各形式で進められました。

従来はEF64形0番台が塩尻機関区(篠ノ井派出)・愛知機関区に配置されて中央線貨物列車を、1000番台は先述のように高崎機が上越線・岡山機が伯備線の貨物列車を担っていました。

2007年・2008年ダイヤ改正にて、中央東線の貨物列車は高崎機関区へ配置が続けられたEH200形に置き換えられ、塩尻機関区篠ノ井派出が無配置化・0番台の配置は愛知機関区のみとなりました。EH200形投入と関連して1000番台4機も愛知機関区へ転出しています。

2010年改正では上越線貨物列車がEH200形に置き換えられ、残りの1000番台も全て愛知機関区へ転属・集中配置となっています。

この時点では岡山出身の1000番台5機が空気元ダメ管・釣り合い管などの重連装備がないために設置まで引き続き伯備線運用に留まっていたほか、2011年3月改正からJR東海管内でATS-PTが使用開始となったことに先駆けて0番台が伯備線の単機牽引を開始し、同線が最後の活躍の場となるなどの動きがありました。

0番台や高崎出身の1000番台と入れ替わる格好で、岡山育ちの5機にも順次重連総括運転で必要なホース類が再整備され、高崎育ちの1000番台と運用が共通化・中部や関東で時折見かけることが出来るようになりました。

中央西線では新たに大宮更新+広島更新、原色+広島更新といった新たな重連が見られるようになり、ごく稀に広島更新色の重連も実現してファンを賑わせました。

大宮車両所でもデザインを継承

新たに登場した東海道線運用に就く1049号機

広島車両所での更新工事施工順に全般検査時期を迎えた岡山出身の3機ですが、最初の1047号機は2012年に大宮車両所で全般検査を受けた際に、大宮車両所で更新工事を受けた機関車と同一の塗色に変更されました。

しかし、2013年に同所で全般検査を受けた1049号機・1046号機は塗り分けパターンを広島更新色と同一のままで出場し、JR貨物・機関車のファンを沸かせました。

ただし、あくまで使用された塗料は大宮車両所のものとなっており、淡い色合いだった青色・青味がかった白色は継承されておらず、大宮更新色と近いものとなりました。

特徴的なデザインを最後まで維持し、関東・中部のファンを虜にした1046号機

原色化で消える更新色

久々に訪れた関東を走る最後の広島更新色

JR貨物では2017年より「JRF」や「JR FRIGHT」の独自ロゴマークの使用を取りやめており、その直後に検査を通過した機関車ではロゴマークがない状態で検査を出場しています。

同時期にEF64形やEF65形では未更新機の廃車が完遂しており、塗色による更新有無の判別が不要な状態となっていました。塗料の統一・塗装工程の簡略化などのメリットもあり、EF65 2139号機のリバイバルののちにEF64形1000番台・EF65形1000番台は全般検査施工時に順次原色化が進められています。

先に検査時期を迎えた1049号機は既に原色で全般検査を施工されており、最後の1046号機は長らく休車とされていました。

塗装の痛みが目立つ1046号機

2021年11月13日から16日にかけて、愛知機関区から大宮車両所へ無動力回送にて定期検査施工のため入場しました。

今回の全般検査入場により、2006年から長らく続く広島更新色デザインの機関車が見納めとなるものとみられます。もし例外的に更新色を維持した場合もロゴマークがない状態となるため、この機関車のデザインではかなり違和感が大きいものとなります。

“ロクヨンセン”置き換えも見え隠れ

愛知転属後も最近まで日常的に関東圏を走行していた1000番台

今回の入場でファンから人気だったデザインが1つ見納めとなり、今後は同様の経緯で広島更新色デザインを維持して大宮で検査を受けていたEF65 2127号機も同様に姿を消すこととなりそうです。それどころか、多数を占めていた更新色自体も徐々に数を減らしています。

塗装の種類こそ減少しているものの、日常的に原色機牽引の貨物列車を見ることが出来るようになりました。

ファンにとっては一喜一憂……といった状態でしたが、2021年3月のダイヤ改正では、中央東線貨物列車から撤退後に東海道本線経由で設定されていた関東を出入りする運用が全てなくなり、活躍の場を大きく狭めました

国鉄型他形式に比べて若いことから、これまで廃車解体は機器更新対象から外れた機関車・事故起因など少数に留まっていましたが、いよいよ本格的な置き換えが進行するものとみられます。

既にJR貨物では、民営化後に投入された電気機関車の淘汰も進行しています。

ED79形50番台が北海道新幹線開通を前に消滅しており、EF66形100番台の廃車もEF210形300番台の投入で本格化しています。EF81形450,500番台もEF510形300番台の投入で国鉄機と同時進行で代替することが確実な状態です。

EF64形1000番台についても、今後は平坦線区の運用を既存形式へ持ち替え、余剰分の廃車が進行することが想像出来ます。

これに加えて、JR貨物では新たに中央西線の代替機関車の検討が開始されている状態です。

重連総括というEF64形の本来の姿を最後まで残していた同線ですが、EH200形やその後継機の投入によりその牙城が崩されることとなりそうです。1000番台は中央西線での運用開始時点でほとんどが更新機だったため、原色重連が日常となっている今が一番ファンにとって魅力的な環境と言えそうです。

この置き換えが進行した場合、単純に考えれば単機牽引の山岳機という明確な代替機がない伯備線が最後の楽園でしょうか。

塗色の違いを気にしている時期ではなく、撮れる時に撮っておくのがベストと言えそうです。

画像元ツイート紹介

記事内掲載写真のうち、11月16日に運転された入場のための単機回送の様子は、フォロワーの通勤特快//なんぴょん様(Twitterブログ)より掲載許諾をいただいています。

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