【形式消滅か】最後の215系!NL-2編成が長野へ配給輸送〜有料撮影会も開催

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2021年3月に定期運用を離脱し、5月より廃車の動きが進んでいた215系。

これまで4編成中3編成が配給輸送されていましたが、2021年7月7日から8日にかけて、最後のNL-2編成が国府津車両センターから長野総合車両センターへ配給輸送が実施されました。

これにより、到着後の長野で除籍が行われた場合、215系は形式消滅となります。

2編成ずつ異なる“最期の地”

東海道線の着席整理制列車「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」が運行を終了し、全車指定席の新しい特急「湘南」となった2021年3月のダイヤ改正にて、215系は定期運用を終了しました。

翌週から平塚駅・湯河原駅構内への疎開回送・返却回送が頻繁に運行され、去就が注目されていました。

その後の215系の廃車の動きでは、5月に輸送されたNL-3編成・NL-4編成が盛岡車両センター青森派出所に輸送されたのち、併設されているJR東日本テクノロジー青森改造センターで解体作業が進められています。

一方で、6月に輸送されたNL-1編成は長野総合車両センターへ搬入されており、同所構内で解体作業を実施するものと見られます。

最後まで残されていたNL-2編成についてもEF64形の牽引で長野へ向かうこととなり、2編成ずつ異なる場所で解体されることとなりそうです。

4編成40両という小所帯に加え、普段は朝晩のライナー列車のみと地味で不運な存在だった215系ですが、最期の動きはファンから大きく注目されるものとなりました。

長野ではしばらく留置?

今回の配給輸送を以て首都圏から姿を消した215系は、車籍が抜かれた時点で形式消滅となります。

ただし、青森では到着後すぐに解体作業が始まった一方で、前回輸送されたNL-1編成ですが、長野総合車両センターへ到着後、北長野駅寄りの電留線へ移動している姿が確認されています。

最近では東海道線転用を控えたE257系の長期間の留置に使用された実績がある留置線です。

そのため、除籍されたか否かは不明ながら、当面は編成を組んだまま留置されている姿を見ることは可能な状態です。

現在は185系の解体が進行している長野総合車両センターですが、ダイヤ改正前に検査期限を迎えたまま廃車とされた波動用のOM03編成、踊り子号の10両編成ではA3編成(過去記事)・A6編成(過去記事)、7両編成ではOM09編成(過去記事)が搬入済となっているものの、それ以外にも多くの車両が都心部で順番待ちをしている格好です。

解体作業もある程度進行しているものの、検査期限調整のために意図的に留置されていると見られるE217系を含め、依然としてJR東日本管内各地に解体待ちの車両が残されている状態です。

2021年度下半期には相模線へE131系が投入される(過去記事)ことで、国府津車両センター所属の205系の解体または譲渡の動きもあり、今後も遅くないペースで解体対象の車両が発生することとなりそうです。

相模線の世代交代が開始されるまでに185系・215系の解体をなるべく進めたいところかと思いますが、ひとまず今回の輸送を以て国府津車両センターでは運用がない留置車両がE217系の疎開車両のみとなり、受け入れ体制は整いつつあると言えそうです。

今後も期待できる?有料撮影会での最後

今回輸送されたNL-2編成について特筆される点として、最近のJR東日本で実施されている人数限定の有料撮影会が今回の配給輸送に関連して実施されたことが挙げられます。

JR東日本では最近、アプリ「tabica」を使用してファン層をメインターゲットとした有料・少人数のイベントを開催しています。

横須賀色となったE231系マト139編成の展示にあわせた松戸車両センター見学、田端運転所での電気機関車展示、E235系F-13編成の到着にあわせた鎌倉車両センター見学、今後予定されている東京総合車両センターでのクモヤ143系の展示と、東京支社・横浜支社管内で様々な催しが行われています。

特にクモヤ143系の展示では、パンタグラフの上昇など車両の展示形態の明細が事前に示されており、ファン層を強く意識していることが伺えます。

また、田端運転所の展示でも、残存する5機のEF65形を機番順としたり、エンド(機関車の向き)も揃えられるなど、プロ目線とファン目線を融合した嬉しい内容です。

一方で、今回の国府津車両センターの215系撮影会では、発表時点では主役である215系のパンタグラフ降下・ライト点灯なしとされたほか、前回までの4000円台から8000円とされて値段と内容のミスマッチに対して否定的な声が相次いでいました。

しかし、実際に7日に行われた車両展示では、パンタグラフを降下した状態のなかでも電源供給を行い、前面方向幕や列車番号表示・前照灯や後部標識灯の点灯が行われていました。

このほか、サプライズのつもりなのか、日程とイベント時刻からファン層なら分かるよね?というメッセージだったのかは不明ながらも、EF64形電気機関車と連結して長野への配給輸送をする準備の流れが披露されることとなりました。

参加されたファンから「値段に見合うよう工夫した」という関係者からのメッセージがあったことにも触れられており、(後者は事前に企画されていた内容かと思いますが)実際に行われたメニューは金額だけでは測れない嬉しい内容だったと言えると思います。

少人数かつ高い値段であっても、魅力的なイベントならいくら払ってでも参加したいという声は以前からファンの間でたびたび話題となっていましたので、最近のこの体系のイベントは事業者がファン層の期待に応えつつ、鉄道事業者も収益面でメリットがありそうです。

特に、撮影会という多くの鉄道ファンを取り込める看板を用意しつつ、体験型のイベントをきっかけに鉄道事業者の様々な事業へ興味を持ってもらい、新たな楽しみ方を見つける……というアプローチは、鉄道事業者・鉄道趣味双方の将来性にも期待できる素敵な試みと言えるのではないでしょうか。

鉄道趣味のジャンルは本当に幅広く、乗り鉄・撮り鉄のような人口の多いジャンルが目立つものの、車両の構造や技術、信号や保安装置などの電気的な方面、車両運用や乗務員采配、ダイヤ、関連事業や子会社の動向など、研究対象は本当に様々です。同じ鉄道趣味のなかでも新たな分野に興味を持てる機会にもなりそうです。

従来の一般公開イベントとは趣旨が異なることで、JR東日本も各部署が手探りでイベントを企画している印象です。SNSの評判などもしっかりフィードバックするあたり伸びしろは多そうですので、今後の展開にも期待したいところです。

今回の事前の下馬評は辛辣なものが多く担当者の心中を想像すると胸が痛みますが、あれをやってくれるなら高くても参加したい……という建設的な意見自体はお互いの利益となるかもしれません。

関連記事:215系の他編成の動き

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