JR東日本管内で車内サービスを提供するJR東日本サービスクリエーションでは、中央線快速電車でのグリーン車営業開始に先駆ける形で「立川グリーンアテンダントセンター」を開設することが採用情報から明らかになっています。
車両の動きは賑やかになっていますが、どのようなサービス体系となるのか・サービス開始時期はいつになるのかが未公表で楽しみなポイントです。
増備が続くグリーン車
中央線快速電車のグリーン車導入計画は2015年2月に公表された(外部PDF)ものですが、2017年3月に「サービス開始時期を数年程度延期」(外部PDF)、2018年4月には2023年度末のサービス開始に向けて準備を進める(外部PDF)としたのち、2022年4月に二度目の延期が公表(外部PDF)されており、現時点では2024年度末以降とされています。
駅設備の改良に加えて車両の量産も進められており、既に58編成の導入対象のうち40編成分のグリーン車が落成済みとなっています。
既に豊田車両センターには大量のグリーン車が組み込みに向けて待機している状態で、置ききれないことから一部が国府津車両センター・幕張車両センターに留置されている状態です。
労組資料から秋ごろの組み込みが示唆されている(前回記事)など、2025年3月改正までにサービス開始となる動きが想像しやすい状態となっています。
2024年度に入ってから更新されたJR東日本サービスクリエーションの採用情報ページでは、「中央線快速線等のグリーン車導入時には、新たに立川にもグリーンアテンダントセンターが開設される予定」(外部リンク)といった記載が確認できます。
普通列車グリーン車アテンダントの乗務拠点は国府津GACが大船GACに吸収された動きや、会社自体が分割再編された動きはあるものの、親会社で進行しているような拠点の大規模な再編は特段行われてきませんでした。
今回は純粋にサービス拡大による新設で、2007年3月改正での常磐線グリーン車連結に向けた土浦グリーンアテンダントセンター開設以来、およそ18年ぶりの動きとみられます。
中央線快速電車でのグリーン車導入にあたっては、八王子か立川かのどちらかが想像されるところでしたが、青梅線も多数の列車が営業列車になること・利用の多い区間を優先的にアテンダント乗車区間にしたいことなどの事情を考えると、中央線と青梅線の分岐駅である立川に拠点設置という方策は非常に合理的な印象を受けます。
新設される立川GACが単独で中央線全列車を担当するのか、これまで上野東京ラインや湘南新宿ラインを担ってきた東京GACや新宿GACもこれに加わり、エリア全体でアテンダント行路を見直す体制となるのかは採用情報だけでは読み取れません。
なおこの募集ページ記載の乗務エリアには、実態としては乗務行路設定がないであろうJR東海管内の熱海駅〜沼津駅間や、今や普通列車グリーン車のサービス範囲外となっている宇都宮線の宇都宮駅〜黒磯駅間が残されているなど、不思議な点もあります。
昨今の状勢だと業務簡略化も……?
普通列車グリーン車を巡っては、深刻な要員不足が以前から指摘されています。
これまでも契約社員の正社員化などの待遇改善が行われていますが、2000年代のサービス開始以降、年々末端区間のアテンダント乗車なしの列車が増え続けている状態です。
特に東海道線・横須賀線を担う東京GAC・大船GACあたりが数年前からずっと足りない状態が続いているのか、2020年以降は東京〜横浜駅間のような都市部でもアテンダントの乗車がない列車が散発している状態です。
最近では新卒採用時期を迎えて多少の改善があったのか、料金値上げで待遇改善でもしたのか、はたまたダイヤ改正に合わせて東京・新宿GAC担当の北側の行路を削って南側に振ったのかは定かではないものの、多少は改善されている印象です。
筆者も昨日は新人指導中のアテンダントさんの列車でしたので、応援の気持ちでお買い物をしておきました。
業務内容についても見直している印象で、以前は2駅間に1回くらいの高頻度で巡回に回っていたものの、こちらも働き方改革と言わんばかりに最近ではどの線区でも巡回頻度は主要駅発車後などに絞っていることが推測される状態です。
既存のGACも人員不足に苦しんでいることが想像しやすいなか、昨今の労働者不足が叫ばれる社会情勢下で大規模な新規採用をどのような手段で実現するのかも気になるところです。
中央線快速電車特有の事情として、上り東京駅到着前にはアテンダントが簡単な清掃作業(カーテン上げやくず物回収など)をすることも折り返し時間短縮のための業務として想像しやすく、現状以上の業務負荷軽減を考えるのであればグリーン料金収受に特化し、重量のあるカゴを持って巡回するスタイルの車内販売を実施しない方策(注文があったら席に商品を届ける方式・車内販売自体をしない)なども考えられます。
親会社であるJR東日本が車掌要員削減のために短区間で特急料金を払わぬ旅客が生じることを多少諦めているように、ただでさえ人手不足が深刻な現状では中央線快速電車のグリーン車も人的コストがなるべくかからぬ内容となりそうです。
具体的なサービス開始発表まで詳細を待つこととなりそうですが、まずは幾度もの延期と計画変更を経て念願のサービス開始となる中央線快速電車へのグリーン車サービス開始が楽しみです。
Special Thanks
本記事掲載の豊田車両センターの写真は、FreedomTrainで豊田ウォッチを連載されている羽沢さん(Twitter:@Hazawa1205)から掲載許諾をいただいています。
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