中央線臨時特急【はまかいじ】運行終了へ~歴史・189系での運転も?

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画像提供:あるふぉ様

以前から噂にはなっていましたが、2019年春の臨時列車発表で、横浜駅から横浜線・中央本線・篠ノ井線を185系で運行する臨時特急はまかいじ号の運行終了・廃止が決定的となりました。

臨時特急としてはずいぶんと長い歴史がありながらもあっさりと廃止されてしまった経緯、過去の使用車両やダイヤの変化などを振り返り、これまでの活躍の軌跡を記事にまとめます。

2往復運行も実施・183,189系での運行も

はまかいじ号が登場したのは1994年春の臨時列車からです。

最初の数年は名前の通りかいじ号らしく甲府駅発着となったものの、同年夏には小淵沢駅まで、2年後の1996年冬の上諏訪駅を経て、夏には現在と同様に横浜方面~横浜線・中央本線・篠ノ井線~松本駅を結ぶ週末の臨時特急となりました。

また、現在のはまかいじ号の運行形態につながるはまかいじ1,4号に加え、信州・甲州の沿線民向けに横浜駅やみなとみらい地区へのアクセス列車としてはまかいじ2,3号が運行されていました。

この当時は千葉発着の定期あずさ号も朝の下り・夜の上りという現在の設定に加えて朝の上り・夕方の下りの2往復体制での運行でしたから、妥当なダイヤとして計画されたものと思われます。

使用される車両は横浜線・東神奈川駅~横浜駅間のATC対応の改造が施されました。

横浜発着の運用であるはまかいじ1,4号には、当時の田町電車区に所属していた踊り子号用7両編成7編成のうちB3~5編成の3編成を改造して使用しました。

これが現在まで一貫してはまかいじ号を担当する編成となり、この改造がのちの運命を左右することとなりました。

一方、松本発着の運用であるはまかいじ2,3号には、おはようライナー・ホームライナー・信越本線普通列車妙高号として使用するためにあさま号撤退後も残存していた183・189系長野車6両編成を使用することになりました。

田町車が3編成用意したこととは対照的に、長野車では1編成のみに改造を施工となり、N101編成が抜擢されています。

磯子駅・鎌倉駅発着も運行~しかし1往復体制に戻る

横浜方面への需要開拓が使命だったはまかいじ2,3号は、みなとみらいや元町・中華街などへのアクセスを狙った磯子行き、更には鎌倉観光にも活用できるように鎌倉駅発着も運行された実績があります。

運行開始から3年目、松本駅発着となった翌年である1999年~2001年夏までは磯子駅発着、2001年秋~2002年秋には鎌倉駅発着での運行がされています。

どんどん運行区間を延長していましたが、それだけ需要獲得に苦心したということでもあり、日中の千葉発着のあずさ号のようにあっさりと削減されてしまいました。

現在の中央線特急ではかいじ186号が甲府8時台→新宿10時台というダイヤで土曜日に設定されているのみとなっている朝の上り臨時列車ですが、2019年以降は臨時列車再編により土休日日中の臨時列車が増える見込みです(ターゲットの半数は都心方面住民といった時刻にもなっている気もしますが)。

他路線でも伊豆方面アクセスではなく地元利用を意識したスーパービュー踊り子11号(東京15:30発)などが臨時化されるなど、都心からの需要以外の特急列車はどんどん縮小の傾向となっていましたので、都心利用者に比べて需要が少ない以上、仕方ないといえば仕方ないのかもしれませんね。

所属区の変更と複雑な回送経路・そして減車

品川駅周辺の再開発に伴う田町車両センター閉鎖をうけ、185系は大宮総合車両センター東大宮派出→センターに転属しています。

転属後はOM編成との共通運用化などがされるものの、はまかいじ号はATCの関係でB3~B5編成が続投されていました。

また、従来は桜木町折り返しで京浜東北線で品川駅発着というシンプルな回送経路でしたが、転属後の回送先は大宮。

上野東京ライン開通までは湘南新宿ラインなどを、開通後は上野東京ライン、貨物線の高島線などを走行しています(毎年のようにダイヤが変わっているので、正確な年度ごとの変化をご存知でしたらコメント欄にてご教授ください)。

2014年は逗子駅停泊という特に不思議な運用が組まれて話題となりました。

運転前日 東大宮操→新宿→逗子

当日の朝 逗子→品鶴線→品川→品鶴線→高島線→磯子→横浜

当日の夜 横浜→根岸線・横須賀線→逗子

    →連泊時 逗子→横須賀→鎌倉退避→大船→逗子

    →返却時 逗子→新宿→東大宮操

また、町田駅でスマートホームドア設置に合わせて4番線→3番線に変更という、はまかいじ号の未来を暗示する修正などもありました。

2017年改正では、土日の間など、翌日に引き続き運用される場合は橋本駅への留置に変更されており、車内整備のためかいったん東神奈川に入庫する点が大きな特徴となり、曜日によって経路・回送先が異なる複雑なダイヤとなりました。

このほか、2013年には工事運休のため豊田入出区、2015年には京浜東北線の大幅なダイヤ乱れのために下りだけ全区間回送といった珍事も。

車両面では、B編成が波動用に組み替えられる際にB3~B5編成は全て6両編成となってはまかいじ号も6両化しています。

すっかりおなじみとなったストライプ色ですが、はまかいじ号は湘南ブロックの時期が長かったので、貴重な組み合わせ(6両化後は初)となります。

運行終了の理由は?ギリギリまで選択に迫られた運行継続の方法

はまかいじ号は、他の中央線臨時特急が運行されていない閑散期であっても冬場を除いてほとんどの週末に運行される臨時特急でした。

一定の乗り通し需要があることや、横浜駅や町田駅などから特急列車に乗ってもらうことによる運賃増、八王子以東の中央快速線のダイヤ制約にとらわれずに需要がピークの時間帯に運行されていたことなどのさまざまなメリットが運行するJR東日本側にもあったことでしょう。

先述のように送り込み・返却の回送列車の走行経路も複雑化・支社跨ぎも増えている(八王子支社・長野支社だけではなく、横浜支社・東京支社・大宮支社)うえ、波動用編成1運用を常に土日に持っていかれるというデメリットを克服してでも頻繁に運行を続けていたことが何よりの証です。

そのようななかで、時代の流れから横浜駅3,4番線にホームドア設置が決まり、対応させるにも週末1往復しか来ない老朽化が進む185系に何十年と使うホームドアの寸法を合わせるか、E257系にATC装置搭載+ホームドア位置調整をするか……という投資がかかる状況になったことから、はまかいじ号の運行終了が噂されるようになってきました。

横浜線内にE257系の停止位置目標が設置されたことからE257系5両編成での運行継続も噂されたものの、やはりATCとホームドアがネックとなっており、修学旅行等の臨時列車の運行のみに留まっています。

そして、2019年1月3日、上りのはまかいじ号にて八王子運輸区から乗車記念証の配布、追って発表された春の臨時列車のプレスリリースからははまかいじ号の文字は消えてしまいました。

はまかいじ号が人気の時期である春に設定されなかったことは、運行終了を決定づけるものとなってしまいました。

折しもこのダイヤ改正では全席指定席化や定期列車のE353系統一が既に報じられており、

今後復活の可能性はE257系の転用改造の過程で踊り子号付属編成・波動・はまかいじ号兼用車としてゼロとは言い切れませんが、ホームドア対応・ATC対応をせずに運行終了している以上、可能性は限りなく低いものと思われます。

趣味的にははまかいじ・富士回遊でE257系5+5両とかやってくれたら面白いし便利だと思うので、JRさんぜひ…!

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