【青砥脱線事故】北総7818編成は6両化・京成返却〜印旛で作業進む

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2020年6月に青砥駅構内で脱線事故を起こしたのち現在まで運用を離脱している7818編成ですが、8両中6両が帯色を剥離するなど、リース元の京成電鉄への返却が想像できる変化が見られるようになってきました。

近年の車両動向をおさらいしつつ、今後の京成電鉄の車両の動きを考えます。

青砥脱線事故とその後の経過

青砥駅構内脱線事故は、2020年6月12日に京成電鉄青砥駅構内で発生した事故で、当該車両は京成電鉄が所有・北総鉄道へリースが行われている7818編成(京成での番号は3748編成)でした。

その後の調査により、脱線した7812号車の台車に亀裂が入っていることが確認されています。住友SUミンデン台車の軸梁が破断する事故は東武東上線中板橋駅脱線事故などで多く発生しているものの、採用事例が多いために目立っている印象もあり、本事故は調査中のものとなっていて過去の台車損傷と関連があるか否かは不明です。

事故後は最寄りの高砂車庫へ取り込まれていましたが、2020年8月22日の終電後、事故車を仮台車に振り替えた上で北総鉄道の印旛車両基地へ深夜回送されていました。

当該車を含む2両を廃車で京成返却か〜作業が進む

印旛車両基地にて帯剥離が確認されている7818編成(敷地外から撮影)

最近の変化として、7818編成のうち6両については、従来の北総帯を剥離した状態となっています。

帯剥がし作業の6両を対象にしているのとは対照に、脱線当該の7812と、編成構成上6両で運行する際に余剰となる7814の2両は北総帯のままとなっています。過去には8両編成のまま2両だけが北総帯を残して編成を組む姿が確認されていましたが、21日現在はこの2両が脱車されて6両編成となっていました。

これらの動きから、7818編成のうち6両が京成への返却対象であることが確認できます。

9月15日発売の鉄道ダイヤ情報2021年10月号で、リース返却の旨が記載済だった模様です。

このほか、7815に連結位置変更・パンタグラフの増設が行われている模様です。従来運転されている3700形6両編成の仕様に揃える改造と見られますが、筆者が見た限りはその様子を確認できませんでした。

引き続き現時点では車号の変更・帯の貼り付けは行われていませんので、元番号への復帰となるのか、現行の6両編成に合わせた番号とされるのかが注目ポイントとなりそうです(従来の6両編成では末尾4,5が欠番)。

代替車が必要……

これまでの北総鉄道の布陣は、7300形の自社所有2編成・リース(7800形)3編成、7500形3編成。千葉ニュータウン鉄道所有の9100形3編成と9200形1編成・リースの9800形1編成の合計13編成体制です。

13編成中1編成が欠けるとなると代替の車両投入が必要にも思えますが、北総鉄道では長年11編成体制だったところを無線機更新(IR→デジタルSR)のために編成数を増加させている経緯があります。

そのため、車両不足に陥ることは現在までありませんでしたが、引き続きこの工事を完遂させるためには再び13編成体制としなければ改造のための運用離脱が困難となります。

現状としては宗吾車両基地で3788編成が入場中となっており、これまでのリース対象が3700形のうち前面形状が7300形と同様の前期〜中期のことを考えると、この編成がリース対象とされている可能性が考えられるため注目されます。単純に考えれば7838編成となりそうです。

将来的には再び1編成が京成に戻る動きとなりそうですが、現在の3100形の投入ペースでは3500形の運用が残っていることが想像できるため、大きな問題とはならなさそうです。

京成電鉄復帰後も珍しい編成に

新製時から6両なのは“3800顔“の2編成のみ

京成電鉄への復籍が確実な動向となった7818編成。単純に考えれば、京成時代の元番号となる3748編成となるものと考えられます。

京成3700形としては編成が投入されたうち、2編成(3828,3838)は新製時より6両編成として投入された車両です。そのため、京成3700形としては3編成目の6両編成が誕生することとなります。

しかし、京成3700形は製造途上で前面形状が見直されており、既存の6両編成はいずれも後期に製造されたグループです。3800形などと通称されますが、3808編成・3818編成が旧来の形状であるため正しい表現ではありません。

このまま6両編成で京成に復帰すると、この顔立ちでは初めての6両編成が誕生することになります。

今後この“3800顔”の編成を交えた更なる組成変更が行われて仕様を揃える可能性自体は否定出来ませんが、どちらにしても異端の編成となることは確実な動向です。

8両編成が不足気味?

SA色のまま運用される3054編成と、塗装変更を済ませている3052編成

京成電鉄では2021年度に2編成の3100形(3150番台)の投入が計画されており、このうち先に落成した3156編成は営業運転を開始しました。

成田スカイアクセス線では開業以来3000形7次車(いわゆる3050形)が6編成6運用体制となっており、検査時などは京成色の3000形(開業当初は1編成のみだったため、3700形も)の代走という体制が採られていました。

2019年に登場した新形式・3100形2編成の営業運転開始とともに、成田スカイアクセス線の使用車両は6編成体制から7編成体制とされ、誤乗防止のため既存車両を含めて帯色をオレンジに変更されています。

そして、3100形の投入により余剰となった3050番台の編成は、番号が小さい編成から順次3000形のカラーに変更した上で本線に転用・本線の経年車を玉突きで置き換える動きが続いていました。

2021年度も同様の動きが予想され、順番通り3054編成が本線へ……という動きですが、従来編成とは異なりオレンジ色での営業運転復帰となりました。

3788編成・3858編成が宗吾車両基地へ入場しており(3858編成は21日に出場)、8両編成の運用上の余裕があまりない状態であったことが背景と想像できます。

通常の帯色変更とは異なり、新旧デザインで帯の場所も異なることから入念な車体洗浄を行うこと・前面FRP部分への塗装や切り抜きナンバーの貼り付けなども行うことから、単なる帯色変更に比べると運用離脱が複数日に跨る作業となることが想像できます。

オレンジ色へのカラーリング変更が誤乗防止であったことを考えると、この姿は一時的なものとなりそうで、まもなく見納めとなりそうです。

基本的に従来から本線運用を避けていたものの、2011年の震災後節電ダイヤでは日常的に本線を走行していた3050形

置き換えが確実な3400形・3688編成

他社でもチョッパ制御車両の置き換えを急いでいる動きがあり、京成も同様の動きとなることが濃厚になってきました。継続使用される車両のVVVF化を行って在来車の部品を確保する事例(東武鉄道10030型など)・優先順位の都合で旧来の抵抗制御車両の方が長生きしてしまう事例(JR西日本103系など)と各社とも先行して置き換えたい意向が伺えます。

京成電鉄では4両編成が3500形とVVVFインバータ化されている3668編成・6両編成が3000形と2編成の3700形が活躍しているほか、3688編成が6両化とファイヤーレッド帯のリバイバルカラーをして活躍をしています。

3600形については他の6両編成と比較して車両性能面での課題があるのか、運用が限定的なものとなっています。

京成3600形は同時期に製造された初代AE形と共通の部品が多く使用されており、AE形の部品を流用する格好で製造された3400形にも継承されています。

現在は3400形の廃車が進められている上、現在進められている無線機更新(SR無線設置改造)や非常用避難はしご設置も行われていません。他形式の動きを加味すると、近年のうちに両形式は置き換え対象であると考えて間違いない状態です。

車齢としては古い3500形がSR無線設置を進めるなど当面の継続使用が確実な動向ですので明暗が分かれてきました。

3400形・3600形3688編成の活躍が残り僅かであることは以前から言われていましたが、特に7818編成→3748編成の営業運転復帰が済めば、6両編成の3688編成はすぐの引退となりそうです。風前の灯火となった都営5300形ともども、乗車・撮影を早めに楽しんでおきたい車両です。

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