【ダイヤ改正2022】常磐線特急「ときわ」2.5往復削減〜車両運用減少も注目

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JR東日本では2021年12月17日、新幹線と在来線の大規模な運転本数見直しを発表しており、在来線特急についても従来の輸送体系を刷新するものとなっています。

このうち常磐線特急「ひたち」「ときわ」では、短区間列車を中心に2.5往復の運転削減が実施されています。

常磐線特急:土浦「ときわ」など削減

常磐線特急は、上野東京ライン開業による品川駅発着中心のダイヤ・全車指定席に改められた際に愛称が変更されており、速達型・遠距離向けの「スーパーひたち」が「ひたち」に、停車型・中距離向けの「フレッシュひたち」が「ときわ」に愛称が変更されました。

旧愛称時代はいわき駅発着の「フレッシュひたち」や、水戸以南にも停車駅が多い「スーパーひたち」があるなど複雑な体系でしたが、現在は「ひたち」がいわきまたは仙台発着・「ときわ」は高萩以南発着となってある程度整理されています。2015年のダイヤ改正から現在まで、「ひたち」15往復30列車・「ときわ」20.5往復41列車です。

2022年のダイヤ改正では、「ときわ」の下り3本・上り2本が廃止され、「ひたち」15往復30列車・「ときわ」18往復36列車体制に改められます。

列車名始発駅時刻終着駅時刻備考
2073Mときわ73号上野18:15土浦19:07土浦着後水戸へ回送
2077Mときわ77号上野19:15土浦20:10土浦停泊:翌ときわ52号
2081Mときわ81号上野20:15勝田21:47
上り列車名始発駅時刻終着駅時刻備考
2056Mときわ56号勝田6:01上野7:42平日のみ運転
56Mときわ60号勝田7:00上野8:43
66Mときわ66号勝田9:04品川10:45土休日のみ運転

従来運転されていた平日のみ・土休日のみ運転の列車が廃止されているほか、30分に1本のダイヤの補完として設定されていた、夕ラッシュの上野駅毎時15分発が廃止されています。利用者が多そうな時間帯に切り込む格好となっている一方で、遠方利用者にとっては等間隔のダイヤが崩されることはなく影響は最小限に抑えられている印象です。

深夜の下り・早朝の上りを除き「ひたち」「ときわ」が交互に発着する運転体系となっており、ダイヤ構成としては非常に美しい印象を受けます。

従来の土浦→勝田・勝田→上野で運転されていた定期回送も削減することが可能であることが推測でき、従来金曜日に運転されていた定期回送を活用した「ときわ96号」の設定も無くなりそうです。

列車名始発駅時刻終着駅時刻備考
63Mときわ63号品川13:15高萩15:22勝田止まりに
82Mときわ82号高萩16:16品川18:23勝田始発に
89Mときわ89号品川22:15勝田23:58土浦止まりに

区間短縮では、「ときわ63号〜82号」の1往復が高萩発着から勝田発着へ改められています。「ときわ」の高萩発着は朝の上り・朝1番と夕方〜夜間の下りのみが残る格好となりますが、いずれも需要が大きい時間帯として妥当です。この1往復は前後列車は勝田駅発着でしたので、消えるべくして消えた……といった印象も受けます。

「ときわ89号」は勝田から土浦行きに変更されています。深夜帯の鉄道利用者数が減少傾向であること・最終便は利便性のため勝田行きを維持すること・翌朝の土浦始発「ときわ52号」の停泊車両を維持することなどを総合的に考えると、こちらも自然な変更です。

近距離便が削減されている一方で、輸送力が過剰となることを前提として2020年3月ダイヤ改正で運転を開始した“仙台ひたち”(過去記事)については、本改正では運転本数維持とされています。

列車名始発駅時刻終着駅時刻備考
55Mときわ55号上野9:30勝田10:53品川始発に
82Mときわ52号土浦6:06上野7:05品川行きに

今回のダイヤ改正では他路線でも朝夕ラッシュ時間帯の特急列車の都心側の始終着が延長されており、常磐線特急では朝ラッシュ終わりの下り「ときわ55号」・朝ラッシュ序盤の上り「ときわ52号」の1往復が品川発着に延長されています。上野駅発着の列車は平日の「ときわ53号」・「ひたち5号」・「ときわ54号」の3列車を残すのみとなり、土休日は全ての列車が品川駅発着となります。

経緯については「利便性向上」と抽象的ですが、各路線の普通列車が減少したことでダイヤ設定に余裕が生まれたことが背景と推察できます。

常磐線特急は上野駅16番線・17番線発着のイメージが未だ強いという方も多いかと思いますが、今回改正で土休日には見られなくなり、平日も本数が大幅に減少します。

1運用程度の削減が可能?

E657系は10両19編成が配置されており、“仙台ひたち”設定で2編成が増備された2020年改正以降、定期運用は平日・土休日とも17運用構成となっていました。

現行運用では、上野東京ライン乗り入れ有無が平日・土休日で異なることにより、「ひたち5号・16号」の前後運用が平日・土休日で異なる……という差異が特徴的でした。

ダイヤ改正後もこの始発駅の違いが残る一方で、これに繋がる平日の上野行き「ときわ56号」が今回廃止されており、朝晩の運用繋がりは大きく変わりそうです。

また、夜の下り・朝の上りが削減されていることと、平日の上野駅始発に充てる車両が1本不足することから、車両停泊についても都内側で増加することが想像できます。従来は品川(東京総合車両センター田町センター)に2編成が停泊するのみですが、品川・尾久・上野のいずれかで停泊車両が1編成程度増やされそうです。

両者の課題を解決するならば、品川に3本停泊とし、「ひたち5号」充当車両は平日のみ早朝に尾久経由で上野へ回送(または土休日のみ尾久から品川へ回送)……とするのが合理的でしょうか。

ピーク時間帯だった朝晩の列車が削減されているため、車両の所要数削減が1〜2本程度見込まれます

E657系の他路線への転出は考えにくい一方で、勝田車両センターに所属してイベント用で運用されているE653系K70編成の代替ができるようになります。

新潟エリアでも1編成の運用削減が行われている(過去記事)ことを考えると、E653系で高崎車両センターの485系2編成(“華”・“リゾートやまどり”)の置き換えが可能になる……という、ファン目線ではかなり厳しい展開も想像されます。

一方で、デビューから現在までほとんど設定されてこなかった、E657系の常磐線以外での臨時列車などに期待が持てそうです。昨今のJR東日本では臨時列車を快速から特急に格上げする傾向も見られ、10両編成という使い勝手の良さを活かした様々な列車に期待したいところです。

地理歴史小噺:「常盤(ときわ)」と「常磐(じょうばん)」と「ひたち・ときわ」

常磐線の名称で使用される「常磐(じょうばん)」は、常陸(ひたち)と磐城(いわき)の2つの国の総称で、現在の茨城県の大部分と福島県の東側約半分(浜通り・中通り)を指す名称とされています。

地名としての「日立」の語源は、1889年の明治の大合併で誕生した日立村で、ここに出来た日立鉱山・日立製作所の知名度が高くなり、その後の合併で日立市が誕生した……とやや複雑な経緯です。その日立村は水戸黄門として知られる徳川光圀が領内の神峰神社について「朝日の立ち上がる様は領内随一」とした言い伝えと国名の語呂を合わせて誕生したとする説が有力です。

常磐線特急「ひたち」の愛称は国名の方の「常陸」ですが、特急「ときわ」の語源は常陸と磐城の総称ですので、運転範囲と愛称が逆転している状態となっています。

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