JR西日本の床下塗装の動き
国鉄時代は全国一律で床下機器=黒色塗装でしたが、国鉄分割民営化後、JR各社で登場する新形式では床下塗装を一部私鉄のようにグレーで施工する例が各地で散見されるようになりました。
既存の国鉄形式の床下塗装グレー化を真っ先に行ったのは、合理化大好きなJR東海で、他社同形式より早く引退した103系・113系・115系といった形式や、119系ではリバイバル塗装でも容赦なく床下機器はグレーで塗装されていました。
JR東日本でも郡山で検査を受ける交直流電車を中心に広まりましたが、こちらは他区所には波及していない点・新製車ではダークグレーの標準的な塗装となっているなど独自色が強い内容です。
JR西日本で最初に国鉄車の床下グレー塗装を行ったのは幡生で、こちらは電気機関車にも波及していた点が特筆される一方で、こちらも工場独自のメニューとなっていました。
そのため、網干で検査を受ける岡山車=カフェオレ塗装は床下黒色・幡生で検査を受ける広島・下関車=ミルクオレ塗装は床下グレー塗装という図式が山陽本線では基本形で、塗色変更=いわゆる末期色塗装が行われた後もこの違いが続いていました。
近年網干で施工されている床下グレー塗装ですが、こちらはすべての定期検査で施工されているものではなく、更新工事などと同時に施工されている点が特筆されます。
定期検査では床下機器を塗装しない例も多く存在しており、今後は近畿地区の電車の床下塗装の頻度・色合いに変化が生まれそうです。
床下塗装グレー化のメリットとは?
先述のように、塗装頻度を下げており、これにより経費削減を狙っていることは想像ができます。
同業他社でも検査時に床下塗装をしない例は一部私鉄に存在しているように、塗装をしなければならない理由はありません。
各種機器のオーバーホールをする際に鉄粉付着が作業効率を下げること、外観上の美しさなど塗装するメリットもたくさん存在することから、現在も多くの鉄道会社が定期検査ごとに綺麗な塗装を行っています。
そのようななかで塗装頻度を下げる以上、保守時に機器の状態を見やすくするという観点で、明るい色の塗装を施しておくということが一定のメリットとなることでしょう。
床下機器塗装を省略する大方針の上で、車両の保守部門のデメリットを減らすための施策と考えることができそうです。
これは従来の幡生で行われていたことですが、従来の国鉄車を含めた全形式の床下塗装を同一色とすることによる塗料の経費節減という副次的効果もありそうです。
今後は全編成に展開か
今回の吹田工場施工編成での床下グレー化は113系C10編成に続く動きとなります。
これにより、従来から国鉄車・電気機関車もグレー塗装をしていた幡生、最近床下グレー化を始めた網干などと合わせて、今後の検査ではJR西日本の全工場で電車の床下グレー化が進められるものと推測できます。
まだ登場していない国鉄生まれの各型式にも波及する可能性が考えられるほか、床下塗装グレー化後は塗装を全定期検査で施工しない可能性も高くなってきましたので、既存の塗装・検査明けの記録はこまめにしていきたいところですね。
特にスカート強化がされている205系などは違和感満載の形式になりそうで、撮り鉄・模型鉄にとっては新たな悩みとなりそうです。
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画像元ツイート紹介
今回の画像はトrマス様(@m_syunei)より、出場回送の遅延により偶然発生したビフォーアフターの貴重な画像をお借りしました。
末筆ながら御礼申し上げます。
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