
E233系投入から15年が経過した京葉線。209系500番台の“ケヨ34”編成が今なお京葉線系統での運用されています。
千葉エリアを巡っては複数線区のE233系転用が労組資料で示されている状態で、京葉線車両を巻き込む動きとなるのか否かも注目されている状況となりました。
2025年6月13日、ケヨ34編成が東京総合車両センターを従来通りの姿で出場し、京葉車両センターへ回送されています。
孤独な活躍が続く

京葉線では201系・205系・209系を代替するためにE233系250両を投入する計画が2009年に公表(JR東 PDF)され、2010年から2011年にかけて5000番台として新製されたものの、10両固定編成20本・6+4両の分割対応編成4ペアの240両の新製に留まりました。
この経緯は現在も公表されておらず、E331系の本格運用を見込んでいた・上野東京ライン開業後のE233系転用を見込んでいた・リーマンショック〜東日本大震災の減収減益による計画変更などさまざまな憶測が今もなおファンの間で飛び交っています。
史実としては、E233系投入以前から運用されていた車両のうち、209系500番台4編成はケヨ31〜33編成が武蔵野線へ転用された一方で、ケヨ34編成のみが京葉線で続投となりました。
1形式1編成配置という保守効率としては好ましいと言えない状態が続いていますが、武蔵野線用に209系が多数配置されている環境もあってか、今日までこの状況は変動していません。
2020年の通勤需要減少を受けて2022年3月改正で減便・波紋を呼んだ快速取りやめをした2024年3月改正などを経た現在も、車両配置数の割に運用数は余裕がある状態が続いています。
一番大規模な検査を通過

鉄道車両のうち「電車」は4年に一度の重要部検査・8年に一度の全般検査を実施することが省令で定められていますが、JR東日本の新系列電車(209系以降を指す)では、走行距離に応じて定期検査を実施する「新保全体系」にて保守が実施されています。
重要部検査・全般検査の項目を細分化し、60万km毎に実施する「指定保全」・120万km毎に実施する「装置保全」・240万km毎に実施する「車体保全」の3段階としています。
今回、ケヨ34編成は最も検査項目の多い「車体保全」を通過したものとみられており、東京総合車両センターへの入場前に剥がれかかっていた側面帯・色褪せていた前面帯なども部分的な補修ながら綺麗な状態となりました。
屋根周りや車輪、連結器なども綺麗になり、車体の汚れこそ残っているもののしばらくは小綺麗な姿で活躍が見られそうです。
一番大規模な検査を通過したことから、少なくとも向こう数年はこのケヨ34編成を使用する前提であることが読み取れます。
なお、他社でも見られがちな検査期限とともに置き換えという対応はJR東日本でもこれまで見られたもので、直近だとE217系の置き換え順序は走行距離を基に計画されたことが想像しやすい内容でした。
ケヨ34編成が待ち受ける未来は?
JR東日本ではこれまでも埼京線205系・仙石線103系など1編成のみが置き換えを免れ活用される事例がありましたが、ケヨ34編成の在籍期間はそれらの事例を遥かに凌駕する長期間となっています。
鉄道車両として半生とも言える15年弱、見かけたらラッキーな存在としてファンから親しまれている車両としてファンから親しまれてきました。
先述の通り検査周期・項目が異なるほか、武蔵野線転用編成で実施された自動放送装置搭載が行われていないなど、引き続き今後の処遇が気になる車両であることには変わりありません。
E233系で押し出して廃車

2024年度末に示された労働組合資料により、2025年度にE233系の一部について「千葉」への転用改造を実施する計画があることが判明している状態です。
中央線用の車両が配置されている豊田車両センターから2編成・京浜東北線用の車両が配置されているさいたま車両センターから2編成が「千葉地区」に転用されることが読み取れる一方で、その配置区所や運用体系についてはどのようなものとなるのかは不明瞭なままです。
現在は早朝・深夜に実施されている京葉線車両の外房・内房線での間合い運用を増加させる計画だとすると、京葉線車両の運用や配置数を見直す一環ででケヨ34編成を置き換える動きが生じても不思議ではありません。
しかし、既に転用対象であろう0番台のH49編成・T71編成ともに運用を離脱している状況で、もしケヨ34編成が代替対象に含まれているのであれば、今回の車体保全はせずに予備車として残留・E233系転入を以って廃車とする方が自然にも見えます。
武蔵野線への転用

都内の通勤ラッシュ需要は2020年に大きく減少し完全な回復には至っていないものの、近年の首都圏JR線で混雑が顕著な路線の1つが武蔵野線です。
沿線の宅地開発が進んでいることや、混雑する東京メトロ東西線のバイパス路線となる位置を走行している立地、8両編成という設備側の制約などの複数要因がありますが、開業から現在まで増発を繰り返してきました。
特に同時期開業の京葉線内において、東京駅や新木場駅で発着時の状況を京葉線列車と比較すると、武蔵野線列車の混雑は明らかです。
近年では京葉線用の10両編成を使用した西船橋駅発着列車が増強されるなどの工夫も見られますが、依然として労組資料にて夕ラッシュの混雑状況が深刻であることが触れられている通り、抜本的な解決には至っていません。
武蔵野線用車両の配置数は開業以降増加の一途を辿っており、過去には205系の追加配置・205系代替時も配置増などが実施された歴史があります。
向こう数年で車両数を増やして武蔵野線の輸送状況改善を急ぐのであれば、先述のE233系転用によりケヨ34編成を武蔵野線に転用することが最も手っ取り早いでしょう。
一方で、仮に武蔵野線転用を見込んでいるのであれば、中間付随車2両を車体保全をしたのちに廃車することとなりますので、今回の車体保全実施は武蔵野線転用を否定する要素ともなりそうです。
当面は続投

現状として最も考えやすいのは京葉線での続投です。
先述の通り2025年度はE233系の転用が確定している状況ではあるものの、ケヨ34編成の代替について明言されていないどころか、労組資料では当面残置が想像しやすい内容にもなっていました。
209系0番台に機器更新工事をした2000・2100番台と、新製・機器更新ともに5年以上新しい状態のケヨ34編成のどちらの代替を優先するかで考えれば、前者であることは想像に難くありません。
既に京葉線車両の運用には余裕がある状態で、仮に直接代替・減車が生じる武蔵野線転用を見込んでいるのであれば、最も規模が大きい車体保全施工前に動きが生じるはずです。
なお、首都圏各線区で実施されているホームドア設置・ワンマン化において、京葉線と武蔵野線では車両・地上設備に変化が見られない状態です。
車両経年・システムの違い・他線区の余剰や車両改造の状況などから、209系500番台にこれらの対応改造を実施することはやや考えにくく、武蔵野線転用・京葉線残留どちらにおいても長い活躍が約束されているとは言い難い状況であることには変わりありません。
元々人気の高い車両ゆえ、引退の噂が立つ頃には今以上にファンからの注目が集まることが想像しやすい車両です。検査明けの綺麗な今のうちに乗車・撮影を楽しんでおきたいところです。








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