【名鉄】2扉一般車最後の生き残り 5300系・5700系が全車引退へ

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昨今ではステンレスの通勤型車両も多く見掛けるようになった名古屋鉄道。

最新の9500系が営業運転を開始した一方で、名鉄では長い歴史となっていた2扉通勤車が全車両引退となりました。

2019年初めには8編成が残存していましたが、本日12月23日に5305Fが廃車回送により形式消滅となります。

名鉄の急行用車両として登場

“スーパーロマンスカー (Super Romance Car) ”として急行用に5000系・5200系を導入してきた名鉄では、彼らの冷房化をする代わりに機器流用の新造車両によるサービス向上が図られることとなりました。

1986年に登場したのが“ニュースーパーロマンスカー (New Super Romance Car)”の愛称を付けられた5300系・5700系です。

最近の名鉄車両では2両編成・4両編成で形式名が分けられるのが一般的ですが、この2形式は機器流用車が5300系・新造車が5700系となっています。

現役の1000系と1030系・1800系と1850系に似た付番ですね。

2扉クロスシートという名鉄の急行用車両としての用途はそのままに、冷房車としての製造されています。

7000系パノラマカーの後輩車両ということもあり、運転席の反対側の全面窓を大きくした独特の全面形状、運転台直後にも前面展望に配慮したクロスシートが2列設置されるなど、ファンからの人気もあった車両です。

前面展望を意識した車両の直系としては1000系「パノラマsuper」のイメージが強いですが、7000系以降に製造されたこの車両にもそのDNAは引き継がれています。

2009年から2011年に一部車両が置き換えられたほか、2017年から置き換えが再開、最後まで残存していた編成についても、新型車両9500系のデビューを待って急速に引退が進められました。

自慢の2扉クロスシートが仇に

同世代の車両としては、5700系より10年先輩である6000系列が1976年から1992年まで仕様変更をしつつ増備、現在もその多くが活躍を続けています。

先に淘汰となった背景は、やはり2扉クロスシートという通勤の混雑に不向きな設備でしょう。

5500系・7000系列引退後は他形式と共通運用を組むことが出来ずにいました。

晩年は河和線の全車一般車特急に専属として充てられており、他にない設備を持つ5300系・5700系ならではの運用となっていました。

一方で、それ以外は普通列車で細々と動く程度の地味な存在にもなってしまいました。

2019年現在では、これらの運用も3扉ロングシート車両に置き換えられていますので、5300系・5700系に続く2扉車は特別車を除いて登場することはありませんでした。

一方で、多くを占めていた5300系は床下機器流用で登場していたこと、後継の1000系列でも既に多くの廃車が生まれていること、最初の廃車からは長く残っていたことを考えると、その特殊性の割には長生きできたとも捉えることができますね。

名鉄の急行型車両の雰囲気を現代まで残していた5300系・5700系。

パノラマカーに代表されている長年続いてきた2扉クロスシート車の消滅・高性能電車グループとなるSR系の全車引退は、名鉄の歴史の中でも大きな出来事と言えるでしょう。

なお、9500系のデビュー・5300系と5700系の引退について、ヘッドマーク掲出やイベントの実施は皆無でした。

7000系パノラマカーの華々しい最後を知っているファンからは残念がる声も大きいですが、昨今の名鉄ではこれらのイベントを避ける傾向にあるようです。

このほか、12月に大急ぎで除籍・引退となったのも、固定資産税関連で年内に処分したいという他社でもあるような税金関連の都合でしょうか。

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写真:写真ACより

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