【“4社目”はどこ?】日比谷線03系130Fも北陸鉄道譲渡か〜松任へ陸送

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東京メトロ日比谷線で長らく活躍したのち、熊本電鉄・北陸鉄道・長野電鉄に譲渡されて“第二の車生”を歩み始めている03系。

譲渡待ちの車両が東西線深川検車区行徳分室に留置されていましたが、このうち03-130Fの先頭車2両が2021年6月7日深夜から9日深夜(8〜10日)にトレーラーによる輸送(陸送)でJR西日本金沢総合車両所松任本所へ輸送されました。

冷房機器やアンテナなどを撤去しており、一見すると“解体搬出”のような外観で注目されていましたが、この編成は解体ではなく譲渡改造のためとみられます。

東京メトロでは車体表記とは別に2桁の編成番号が付与されており、03系は末尾2桁で示す表記が内部で使用されています。記事内ではファン層で一般的な03-1**Fの表記を基に記しています。

経路も改造もまちまち!各地へ旅立つ03系

東京メトロでは、日比谷線・東武スカイツリーライン(伊勢崎線)系統の世代交代を進め、現在は全ての車両が20m級7両の新造車両に代替されました。

置き換えられた03系は5扉車組み込み編成が全車解体となった一方で、全車3扉編成の両先頭車を中心に地方私鉄への譲渡が実現しています。

既に熊本電鉄・北陸鉄道・長野電鉄への譲渡が実施されており、各社期待の新形式として“第二の車生”を歩み始めました。

熊本電鉄向けは西日本鉄道筑紫車両基地で西鉄エンジニアリングが、北陸鉄道向けはJR西日本金沢総合車両所松任本所構内でJR西日本テクノス・メトロ車両が、長野電鉄向けは東京メトロ千住検車区内でメトロ車両がそれぞれ改造を手掛けており、路線によって外観も異なっている点も魅力的です。

2020年度までに熊本電鉄で2両3編成・北陸鉄道で2両2編成・長野電鉄で3両3編成が入籍しています。

2021年6月7日深夜から9日深夜の輸送では、一時保管に使用されていた東京メトロ東西線の深川検車区行徳分室から、JR西日本金沢総合車両所松任本所までトレーラーにより輸送されました。

今後は金沢総合車両所松任本所構内にて北陸鉄道浅野川線向けの転用改造を受け、内灘まで再度陸送されるものと推測できます。

今回の輸送ですが、これまでの北陸鉄道向けの03系2編成はJR貨物による甲種輸送で実施されましたので、新たな動きとなります。長野電鉄向けについても2019年度は鉄路・2020年度は陸路となっており、北陸鉄道向けについても鉄路・陸路双方が実施されることとなりました。

輸送に際して屋根上クーラーキセが外されていたこと、丸ノ内線用02系の解体が富山県で実施されたことなどから解体を心配する声も多くありましたが、今回の130Fについては無事の様子です。屋根上機器の撤去は熊本電鉄への航送でも見られ、あくまで輸送経路上の都合と考えられます。

今後も長野電鉄・北陸鉄道ともにあと2編成ずつの譲渡が予定されており、これらの輸送がそれぞれ1回の甲種輸送なのか、都度陸送となるのかが気になるところです。

03系の転用の動き

編成譲渡・疎開対象廃車回送留置先搬入〜搬出譲渡先
101F03-102,03-202,
03-802
2019/10/9新木場2019/11〜保存?
102F03-102,03-702,
03-802
2020/2/19千住2020/2〜保存?
104F03-104,03-204,
03-804
2019/6/21千住2019/6
〜2020/1
甲種輸送
長野電鉄①
105F03-105,03-205,
03-805
2019/9/17千住2020/2
〜2021/3
陸送
長野電鉄③
106F03-106,03-206,
03-806
2019/8/19行徳2019/8〜長電か
107F03-107,03-207,
03-807
2019/10/27千住2019/11〜長電か
108F03-108,03-208,
03-808
2019/7/31千住2019/8
〜2020/2
甲種輸送
長野電鉄②
129F03-129,03-8292019/3/15行徳2019/3
〜2019/7
甲種輸送
北陸鉄道②
130F03-130,03-8302019/1/28行徳2018/10
〜2021/6
陸送
北陸鉄道③
131F03-131,03-8312018/7/30行徳2018/8
〜2019/7
熊本電鉄①
132F03-132,03-8322018/12/11行徳2018/12
〜2020/9
熊本電鉄③
133F03-133,03-8332019/1/28行徳2019/1〜
134F03-134,03-8342018/11/6行徳2018/11〜
135F03-135,03-235,
03-635,03-835
2019/4/26行徳2019/5〜
136F03-136,03-236,
03-636,03-836
2019/7/31千住2020/3〜
137F03-137,03-8372018/5/21千住2018/7
〜2019/7
熊本電鉄②
139F03-139,03-8392019/5/15行徳2019/5
〜2019/7
甲種輸送
北陸鉄道①
140F03-140,03-8402017/9/13千住2017/9〜
141F03-141,03-8412017/10/17千住2017/10〜

“4社目”はどこの会社?

03系を巡る動きとして、保管されている車両の数が譲渡が公表されている車両数と合致しない点がここ数年ファンの間で様々な憶測を呼んでいます。編成数・車両数ともに譲渡を前提とした車両保管数が明らかに超過しており、“第四”の譲渡先の計画があることは間違いないでしょう。

長野電鉄では03系→3000系は3両5編成の導入とされており、既に譲渡済の車両同様に車齢が高いながら機器更新を施工している初期車グループからあと2編成が譲渡されると考えられます。編成番号がM1=104F・M2=105F・M5=108Fとなっており、欠番の状況からM3=106F・M4=107Fが譲渡対象と考えて差し支えなさそうです。

北陸鉄道では、2023年までに5編成として8000系(元京王3000系)の代替を進めることとしています。これまで搬入済となっているのは2編成ですので、あと2両3編成が納入されることとなります。今回の130Fに加えてあと2編成が松任で改造ののち内灘へ向かうこととなります。

熊本電鉄では03系→03型の導入数は2020年度までに3編成と報じられており、譲渡の動きは完結していると考えて差し支えなさそうです。2021年2月の熊本電鉄の発表についても「03形の最終増備車」とされている上、静岡鉄道1000形の導入も計画されており、これ以上の譲渡は考えにくい動静です。

130F搬出後は2両4編成(133,134,140,141)・3両2編成(101,102)・4両2編成(135,136)が残存しており、北陸鉄道の2編成を差し引くと、最大で6編成程度が譲渡される計画がある……またはあったことが伺えます。

このうち、102Fのみ保管されている中間車がパンタ無し車両である03-702号となっているほか、03系は台車や走行機器が初期車と後期車で大きく異なること、101Fは新木場CRへ輸送されており近年の他形式の動向から保存が濃厚であることを考えると、101Fと102Fは譲渡対象ではない可能性が高そうです。

これらの編成を除外すると、3両4編成または2両2編成+4両2編成の導入の計画を見て取れます。

18m級4両固定編成を配置している地方私鉄は見られないので、3両4編成の譲渡が見込める事業者を考えます。いずれも現在の状況から考える推測ですので、関係各社への問合せはご遠慮ください。

ファンの噂が飛び交った伊豆箱根鉄道

2019年ごろに03系の譲渡の噂が飛び交った際、ファンから頻繁に言われていたのは伊豆箱根鉄道です。同社では駿豆線(三島〜修善寺)が20m級3両・大雄山線(小田原〜大雄山)が18m級3両となっています。

車体長から考えやすい大雄山線については、3000系3両7編成のうち1編成は鋼製・それ以外はステンレスとなっており、03系と世代が近い後期製造の2編成を除いた代替と考えることも出来そうです。ただし、伊豆箱根鉄道の世代交代は経年40年程度で実施されており、初期車以外は少し早い印象も受けます。

また、現時点でVVVFインバータ制御車両が導入できる環境は2019年ごろに変電所設備更新を実施した駿豆線にしかなさそうです。駿豆線では西武新101系を譲受した1300系3編成のほか、5000系7編成のうち初期に製造された鋼製車体の車両4編成が経年35年〜45年となっています。このうち、03系の車両数だけで追えば5000系の鋼製車と合致します。

これまで20m級車両を導入していたことから一見すると考えにくいようにも思えますが、伊豆箱根鉄道では3000系導入まで小型車両が混在・大雄山線への転出入なども実施されており、将来的なメリットを考えて再度18m級車両の導入が実施されても不思議ではありません。

JR東海への直通運転の夢が途絶えた今、20m級車両である必要性が以前よりは薄れています。将来的に駿豆線・大雄山線の車両が共通化された方が予備車両数削減などで効率が良い……といった判断であれば駿豆線で導入計画があったとしても肯けます。

これまで自社発注車両かグループの西武鉄道譲渡車両のいずれかとなっていましたが、西武鉄道で目ぼしい車両の引退がない状況です。

他の3両編成の地方私鉄

3両編成以上の編成を運用している事業者はあまり多くなく、1,067mmの直流電化路線では福島交通(福島県)・豊橋鉄道(愛知県)・秩父鉄道(埼玉県)・三岐鉄道(三重県)・伊予鉄道(愛媛県)が挙げられます。

福島交通では同じく日比谷線方面で活躍した東急1000系を譲受し代替したばかりです。同世代車両で形式統一がされたばかりで、“再会”は考えにくいところです。

秩父鉄道では都営6000形譲りの5000系3両が置き換え時期にも思えます。過去に18m級の東急7000系を導入した実績がありますが、10年にも満たず除籍とされた苦い経験があります。これまで譲受された東急8500系・8090系との部品共用、東急8500系の廃車が進行している状況を考えると、こちらの導入の方が適任に思えます。特に2両でも3両でも編成が組める点は秩父鉄道にとって大きな強みです。

豊橋鉄道は元東急7000系を譲受して1800系として運用しており、置き換えが検討されても不思議ではない時期です。ただし、3両10編成の布陣を満たすには中途半端で、グループの名鉄から適当な車両が出るのを待つ方が適当にも思えます。

三岐鉄道は長年西武鉄道の車両譲受となっており、経年車も多く存在します。秩父鉄道同様に太平洋セメント傘下で西武鉄道との交流が深いことが背景と推察できますが、こちらも西武鉄道で目ぼしい車両の出物がない状態です。18m級車両を選択するメリットが乏しい印象です。

伊予鉄道では、同じ日比谷線系統で活躍した東武20000系によく似た自社発注車610系が運行されています。京王5000系を譲受した700系の世代交代時期にも思え、現存車両の2両7編成+単行4両で2両・3両・4両での運行を代替する車両としては適任ながら両数が少し足りない印象です。全車両解体された編成を含めれば700系の代替が出来た両数ゆえに、現時点では考えにくいところでしょうか。

どこの会社も一長一短な事情が見られ、消去法でも一番可能性が高そうなのは伊豆箱根鉄道にも思えます。同時期に引退した東武20000系のアルピコ交通譲渡と考えられる車両導入が当初予定から遅れた(関連記事)ように、“第四”の譲渡先についても車両が解体されない限り、計画が中止されたか否かは断定しにくいところです。

もし計画が中止とされていた場合には明るみに出ることはなさそうですが、各地で活躍する03系を見かけた際には“第四の譲渡先”の計画があることを思い出しつつ、今後の動向をゆっくりと見守りたいですね。

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本記事内掲載写真は、ゆう鐵さま(@yu1220_681_683)より掲載許諾をいただいています。

コメント

  1. なにぬねの より:

    三岐鉄道は西武の傘下ではない気がします。間違えていたらすみません。

    • なにぬねの様

      コメントありがとうございます。
      近江鉄道の資本関係とごっちゃになっておりました。
      三岐鉄道は秩父鉄道同様に太平洋セメントが筆頭株主ですね。訂正させていただきました。

      鉄道ファンの待合室