113系の初期車に様々な改造を施して活躍する、JR西日本の415系800番台。
車齢50年を超えるなか、413系とともに活躍が続いていました。
そんな彼らですが、ついに置き換え車両の投入がリリースされています。
複雑な歴史で生まれた415系800番台
415系は常磐線・九州地区のイメージが強い国鉄近郊型電車ですが、七尾線に投入された800番台は登場経緯が全く異なります。
これは、七尾線電化に際して113系初期車へ交直流機器を搭載した車両です。
この交直流機器は485系余剰車から行われ、彼らは北近畿地区の特急列車に転用されました。
“113+485=415+183”という偶然の形式変更でファンには知られていますね。
113系ですが、特に初期車だった車両が多く選定されています。
これは、改造種車を福知山線で耐寒改造(半自動ドア機能設置・ベンチレーター改装等)を施していた800番台12両を中心に選定したためです。
0番台ベースの改造も21両行われ、3両11編成・計33両の布陣となりました。
様々なリニューアルが施されているものの、非ユニットサッシの窓形状などに面影が見られます。
本来の415系は4両編成以上しか組成しないため「クモハ」はこの番台区分にのみ存在します。
415系の先頭付随車についても基本形式ではステンレス製の1500番台を含めてクハ411形とされていましたので、この番台特有のもの……と記したいところですが、常磐線の伝説の2階建車両であるクハ415-1901といった例が存在しています。
そして、C02編成に連結されているモハ414-802はモハ112-12として1964年7月に製造されて今年で55年もの月日活躍しています。JRの電車では現役最古の車両となります。
415系800番台編成表(残存車のみ)
クハ415 | モハ414 | クモハ415 | |
C02 | 802 | 802 | 802 |
種車 | Tc111-342 | M’112-12 | Mc113-808 (M113-160) |
C03 | 803 | 803 | 803 |
種車 | Tc111-382 | M’112-66 | Mc113-810 (M113-115) |
C05 | 805 | 805 | 805 |
種車 | Tc111-340 | M’112-111 | Mc113-801 (M113-135) |
C06 | 806 | 806 | 806 |
種車 | Tc111-339 | M’112-31 | Mc113-811 (M113-145) |
C07 | 807 | 807 | 807 |
種車 | Tc111-360 | M’112-30 | Mc113-812 (M113-148) |
C08 | 808 | 808 | 808 |
種車 | Tc111-338 | M’112-164 | Mc113-805 (M113-163) |
C09 | 809 | 809 | 809 |
種車 | Tc111-458 | M’112-168 | Mc113-806 (M113-175) |
C10 | 810 | 810 | 810 |
種車 | Tc111-417 | M’112-15 | Mc113-813 (M113-219) |
C11 | 811 | 811 | 811 |
種車 | Tc111-352 | M’112-18 | Mc113-814 (M113-230) |
残存している413系も個性的な存在
国鉄急行型使用の交直流線区について、車両更新と短編成・高頻度・等間隔の運行へのダイヤ改正に合わせて登場したのが413系・717系で、北陸本線には413系が製造されました。
国鉄急行型のなかでも比較的初期に製造されていた451,471系を中心に改造されていますが、453,473系をベースに改造した車両も存在します(B11編成が該当・主電動機の違いから100番台に)。
更に、B04編成・B11編成についてはクハ412形を作成せずに中間車改造のクハ455形を連結しており、国鉄急行型らしい側面形状を保つ最後の生き残りとなっています。
北陸新幹線金沢延伸に伴う北陸本線第三セクター移管に際し、B01〜B03,B07,B10の5編成はあいの風とやま鉄道へ譲渡されています。
残されたB05,B06,B08,B09編成と、クハ455形組み込みのB04,B11編成の6編成は、JR西日本金沢地区で進んでいた青色への単色化が中断されて七尾線の輪島塗モチーフの赤色単色に順次塗り替えが進みました。
475系などの国鉄急行型が521系で一掃されるなか、それより古い主電動機を活用した413系たちは元気に走行していました。
413系編成表(JR西日本残存車のみ)
クハ412 | モハ412 | モハ413 | |
B05 | 5 | 5 | 5 |
種車 | Tc451-32 | M’470-13 | Mc471-13 |
B06 | 6 | 6 | 6 |
種車 | Tc451-40 | M’470-6 | Mc471-6 |
B08 | 8 | 8 | 8 |
種車 | T451-2 | M’470-15 | Mc471-15 |
B10 | 10 | 10 | 10 |
種車 | Tc451-35 | M’470-4 | Mc471-4 |
クハ455 | モハ412 | モハ413 | |
B04 | 701 | 4 | 4 |
種車 | T455-1 | M’470-7 | Mc571-7 |
B11 | 702 | 101 | 101 |
種車 | T455-6 | M’472-1 | Mc473-1 |
置き換えは521系だが、マイナーチェンジも
今回投入される521系は2両×15編成、合計30両となります。
475系などの急行型の置き換えでは、ドア数・立ち席スペース増加で収容力が向上するために多くの減車が行われた金沢地区。
置き換え対象となるのは415系800番台3両9編成のほか、413系(クハ455形を含む)3両6編成となることから、今回についても編成数はそのままで両数が純減となります。
もちろん、最混雑列車については既存の521系との予備車共通化による運用捻出で増結、などの何らかの施策が施されるところかと推察できるものの、今回は置き換え対象と比べて収容力の劇的な改善もないため運用開始後には反感も買いそうな方法です。
今回の置き換えが達成すると、金沢地区の普通列車は気動車列車を除いて521系がほとんどとなります(あいの風とやま鉄道で413系が健在ですが、こちらも2022年度までに置き換えが進む予定です)。
すでにあいの風とやま鉄道色・IRいしかわ鉄道色・JR西日本色とカラフルな521系が活躍していますが、今回の521系は赤系統の塗色ですので、同系のなかでは目立つ存在となりそうです。
ファンとしては、青+赤の混色編成での運用がどれくらいの頻度で行われるかが注目点でしょうか。運用が完全に分離されたとしても、代走での運用の可能性は十分に考えられます。
(画像/JR西日本プレスリリースより)
コメント
413系は現在も朝時間帯に北陸本線での運用が少数存在しています。
北陸本線三セク移管も絡むので、この運用分を差し引いて30両分になったかと推測してます。
それでもやはり減車は確実でしょうかねぇ。