【高野線】南海電気鉄道8300系が高野線にも進出・今後も増備継続へ

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2015年に南海線・空港線にデビューした8300系が高野線にも進出しており、2020年は高野線にとって大激動の年になりそうです。

沿線のファンの方には既に見慣れた存在ですが、高野線向けの製造編成ならではの特徴も魅力的です。

南海8300系の概要とともに、高野線の将来を考察します。

南海電鉄のニューホープ、8300系とは

8300系は南海の次世代を担う車両として2015年にデビューし、「省エネルギー化」「安全・サービスの向上」「車両メンテナンスの向上」を目標とした車両です。

ベースは2008年にデビューした8000系ですが、車両先頭部や内装は一新。LED灯具などの省エネルギーを意識した新しい機械も採用されています。

車体はステンレス製ですが、先頭部分は従来車のFRP製から普通鋼製に変更されました。

前面デザインについても8000系を基本としていますが、スカート(排障器)の形状や帯の配置が異なります。側面では新たに取り入れた張り上げ屋根が特徴です。

この側面形状についても、南海が長年取引をしてきた東急車輛製造(現;総合車両製作所=J-TREC)から脱却、地元の近畿車両に製造メーカーが変わったことが背景にあります。

この近畿車両によるスポット溶接とレーザー連続の溶接構造は、同じ関西圏のJR西日本・321系以降で採用される、関西圏ではお馴染みですね。

車内はロングシートとなっており、各車両に優先座席と車椅子スペースが設置されました。ドア間の窓はガラス半分が固定窓、その他の窓は一段下降式で、ドア窓はUVカットペアグリーンガラスを採用しました。

他社の最新車両でも採用されている座席端にある大型の仕切りも設置しました(1次車・3次車)。

ドア上に設置された車内案内表示機は4カ国語(日本語・英語・中国語・韓国語)対応となっており、関西空港へのアクセス「空港急行」を担当する車両としてふさわしい設備といえるでしょう。

8300系の走行機器はVVVFインバータ制御で、営業最高速度は110km/hです。また、狭軌(1067mm)の鉄道車両としては初となる全閉内扇形誘導電動機を採用しました。これはモーターを密閉した上で冷却をする画期的な機械で、モーターを密閉することにより騒音の削減を実現しました。空調設備やパンタグラフは8000系のものを踏襲しています。

デビュー以来、4両編成から8両編成まで自在に両数を変えられることから、南海線・空港線で「急行」「空港急行」から「普通」まで様々な種別を担当しています。

一方、特急「サザン」の座席指定車に使用されている12000系と併結可能な設計ですが、未だに12000系との併結運用の実績はないようです。

2019年11月22日、車内をマイナーチェンジした3次車が高野線にデビュー。橋本~極楽橋間の急勾配には対応していないため、橋本までの運行となります。他車と同じく泉北高速鉄道線(中百舌鳥~和泉中央)にも乗り入れます。

高野線8300系の活躍ぶりは? 

8300系のベースとなった8000系も高野線には投入されておらず、8000系・8300系顔は高野線では初となります。

筆者が乗車した当日は、泉北高速鉄道直通の「区間急行」を担当していました。

8000系と比べると、スカートは異なりますが同一車両のように見えます。

この8000系・8300系顔が次世代の南海通勤電車の顔となります。

車内は南海線系統と異なり、座席やつり革が9000系「マイトレイン」仕様になっています。利用客と共にデザイン設計を行ったことで話題となった9000系「マイトレイン」ですが、今後の新車にも反映されるのでしょうか。

2次車では大型仕切りが廃止されていたので、車内レイアウトの変遷にも注目したいところです。走行音は在来車と比べれば「少しは小さいかな」という程度でした。

既に異形式併結運転も始まっており、8300系と1000系50番台との併結運行があった模様です。1000系50番台は1編成4両しかないレアな存在。

今後も増備の進展によって、様々な組み合わせで走行する姿を見ることが出来そうです。

今後の高野線はどうなるの?

2018年2月に南海電鉄が発表した新中期経営計画「共創136計画」によりますと、2023年度までに高野線6000系全車(72両)の取替が目指されています。

6000系は南海初の20m高性能通勤電車として1962年(昭和37年)にデビューした車両。20mの鉄道車両では初となるステンレスを採用したことでも知られています。

デビュー以来、高野線や泉北高速鉄道で活躍し、最近まで全車両が元気に活躍していました。

6000系全車を取り替える方針から、今後も8300系の増備が続くことが予想されます。

南海線・空港線と同様に橋本以南の高野線や泉北高速鉄道においても優等列車から各駅停車まで幅広く活躍することでしょう。運用で注目するとすれば8300系の増備に伴い、1974年製の6200系列も置き換え対象になるかという点です。

かつて、南海電鉄では南海線は普通鋼の車両、高野線はステンレス製の車両と明確に区分されていました。8300系の投入方針を見ると、南海線系統と高野山系統で車両の共通化が進んでいることがわかります。

8300系の増備に伴い、6000系の廃車が始まっている模様です。

8300系だけでなく6000系の記録もしっかり行っておきたいですね。

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