【新天地はどこ?】E127系0番台 新潟エリアでの定期運用が終了に

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JR東日本の2022年3月ダイヤ改正では、新潟エリアでファン人気の熱かった115系に加え、2編成がひっそりと活躍していたE127系についても定期運用が終了となっています。

機器更新をしてから日が浅く、何らかの転用が実施されることは想像に難くないため、ファンの間で話題となっています。

トキ鉄譲渡で孤独に……新潟のE127系

E127系は新潟エリアに0番台が13編成26両・松本エリアに100番台が12編成24両新造されました。当時両エリアに残存していた急行形電車使用の普通列車を代替しつつ、2両ワンマン運転も可能な構成とされています。

このうち新潟車両センター所属車両は2両編成から6両編成まで柔軟に増解結して運用されており、比較的近距離の列車を中心に活躍していました。V1〜V13編成のうち、V3編成は2008年の踏切事故で大きく損傷して除籍されています。

2015年3月の北陸新幹線開業では信越本線の長野〜直江津間が第三セクターによる経営分離が行われることとなり、このうち新潟県側のえちごトキめき鉄道への譲渡車両はE127系10編成となりました。V1編成からV11編成までが譲渡対象とされ、溢れたV12,V13編成は越後線・弥彦線などの2両運用で活躍していました。

2021年3月にE129系の増備車がE127系の運用を代走する格好で営業運転を開始しました。11日夕方に駅などの案内で115系のラストランが公表されるも、E127系については特段触れられていませんでした。

しかし3月12日になってすぐ、JR東日本のホームページ内の「列車カタログ」のE127系での紹介から越後線・弥彦線の記述が削除されました(外部リンク)。

同時に115系のページ削除と同時に実施されているほか、前年には去就が明言されていなかった215系のページ削除も日跨ぎすぐに削除されるなどの近年の事例から、事実上「越後線・弥彦線での定期運用終了」を示しています。

ただし、この修正では両路線からの撤退のみが読み取れるため、0番台が区分消滅とされるのか、他路線へ転用されるのかなどの詳細は不明なままです。

機器更新工事から僅か4年

北陸新幹線開業と第三セクター化の影響を受けたのは、新潟車両センターに所属する他の形式も同様です。

新潟車両センター所属の115系・E127系は2015年3月まで長野総合車両センターで定期検査を受けていましたが、信越本線の長野〜直江津間が第三セクターに移譲されたため、それ以降は115系の定期検査は大宮総合車両センターで実施していました。

代替で投入された E129系については、重要部検査に相当する指定保全は部品を送る体制で新潟車両センターで実施し、全般検査に近い項目の装置保全・将来的な車体保全は大宮総合車両センターで実施する体制とされています。E129系が2014年の投入ながら昨年初めて大宮を訪れたのもこれが経緯です。

そして、E127系0番台のうちえちごトキめき鉄道に譲渡されてET127系となった10編成については、引き続きしなの鉄道北しなの線を回送して長野総合車両センターでメンテナンスを受ける体制とされています。

処遇が不明だったV12編成・V13編成については、2017年にEF64形の牽引で新潟から首都圏経由で長野総合車両センターへ配給輸送することで前回の保全が実施されています。ただし、この2017年の入場は機器更新工事が同時施工とされていたため、唯一E127系の同工事実績がある同センターで実施する体制が組まれたとも考えられます。

E127系は同時期に新造された209系などと一部部品が共通化されていますが、それでも搭載機器は独自のものも存在します。

今回の定期運用終了は前回の入場から4年半程度が経過しており、弥彦線の固定運用の走行距離の短さを差し引いても検査時期が近い状態と考えられます。転用前に検査を実施する可能性が高い状態で、この入場先が両編成の今後を示すヒントとなるかもしれません。

転用先はどこへ?

先述の通り、JR東日本に残されたE127系0番台は2両編成2本のみとなっており、転用をするにも用途が極めて限定的です。

ファンの間では松本地区・南武支線・えちごトキめき鉄道の名前が挙がっており、車両の特殊性を考えてもこの3つのうちのいずれかが実現しそうです。

廃車

まずは昨今の状勢による減車減便傾向で余剰と判断され、廃車となる展開が考えられます。

しかし、機器更新からまだ5年弱という状態で、機器更新で新たに搭載した機器は減価償却さえままならない状態と推察できます。

首都圏各地でも在来車の運用減少分は予備車増加に充てる方針が示されている路線が多いことからも、新潟エリアだけ従来以上に予備車を削ってまで配置数削減・形式統一を進めるメリットが乏しいと言わざるをえません。何らかの活用をする前提の動きと考える方が自然です。

松本地区への転用

松本エリアには弟分のE127系100番台が12編成24両配置されており、朝夕時間帯は2編成併結の4両編成として・日中時間帯と大糸線の信濃大町〜南小谷間,辰野支線では2両編成のワンマンカーとして活躍をしています。

2022年3月のダイヤ改正では、夕方時間帯に運転されている大糸線 松本駅〜有明駅間往復の短距離列車や夜間の篠ノ井線の区間列車が211系からE127系に持ち替えを実施してワンマン運転列車が増加しています。

一見すると所要が増加しているようにも見えますが、従来夕夜間帯は松本車両センターに留置されている運用があったため、運用数自体の増加はないものと考えられます。

そのため、仮にE127系が2編成転入してくる場合は、211系の運用の一部が更に代替されることとなりそうです。両形式間の運用持ち替えは過去事例でも珍しいものではないため、松本地区へ転用される場合は既に車両運用構成の準備がされていそうです。

車両設備面としては、新潟に新製された0番台はオールロングシート・現在松本エリアで活躍している100番台は一部がボックスシートといった差異がありますが、これは211系でボックスシート車とロングシート編成が共通運用されていることを考えれば特段影響はなさそうです。100番台は大糸線向けの車両として新造された経緯で特殊な座席配置をしているため、むしろ篠ノ井線や辰野支線運用では重宝されそうです。

その他の差異としては、トイレ設備がバリアフリー非対応となっている違いがあるなど、同一形式ながら差異は比較的多くなっています。併結改造や仕様統一をしない場合、ほぼ独立している辰野支線での1運用+共通の単独運用を担う体制とすることも可能に思えます。

このほか先述の通り、本形式の定期検査を担ってきた長野支社管内に配置出来ることも大きなメリットとなりそうです。

南武支線への転用

ファンの間で話題の路線としては、南武支線が挙げられます。

南武支線の205系は労組資料にてSIVを中心とした故障が度々指摘されていました。2021年10月22日には鎌倉車両センター中原支所からの送り込み回送が南武線上で立ち往生し、大きな輸送障害となりました。

2022年3月のダイヤ改正では、中原支所構内の入換車としての役割を鶴見線用の205系に置き換える動き・乗務員行路の見直しも生じています。

205系の南武支線への転用は、補助電源装置非搭載の電動車ユニットの先頭車化とされたため、従来車のMGではなく武蔵野線転用車と同様にSIVとされた歴史を有します。

これらの改造から既に20年もの年月が経過しており、同時期に新造されたE231系初期車は機器更新工事を済ませて久しいですが、205系については再更新をしていません。

これらの事情から、南武支線用の205系を大急ぎで置き換えたいという意向があっても不思議ではありません。

一方で、現在の南武支線は3編成配置(歴史的経緯でワ1,2,4の3編成)・2運用構成となっています。1運用は朝ラッシュのみの運用ですが、単純に置き換えるには予備車が不在となるため1編成が不足することとなります。

最近登場した燃料電池ハイブリッド試験車FV-E991系を実証実験がてら使用する展開も考えられますが、落成時点の報道で営業運転で使用する予定がないことを公表しており、こちらはすぐに実現するとは考えにくいところです。

このほか、単純に朝ラッシュのみの運用を削減することも考えられます。片道8分程度ですので、すぐに折り返しをするダイヤ構成とすると毎時3本程度は維持できそうです。しかし、通勤時間帯は最大で毎時5本運転されている路線であるほか、3扉車で乗降時間が伸びる・トイレ部分がデットスペースとなるなど、一筋縄にはいかない印象です。

中原支所に過去配置されていた209系2200番台と世代こそ近いですが、鶴見線の205系の今後(E131系新製投入以外の代替方法が考えられない)としても、保守形式数増加の煩雑さが残ります。

もしE127系2編成が転入する場合、FV-E991系が営業列車に充てられる段階まで試験が進むまで予備車として比較的状態が良い205系1編成を残存させる……あたりが現実的でしょうか。

実現するとファンにとって面白い展開ですが、クリアすべき課題も非常に多い印象です。

えちごトキめき鉄道への譲渡

何らかの理由でえちごトキめき鉄道が追加の車両を欲している場合は、同社への譲渡が発生することも考えられます。

しかしながら、えちごトキめき鉄道も2022年3月改正は減車が実施されており、朝夕の増結削減で余裕が生じる状態です。

また、ET127系には特急「しらゆき」の精算運用として信越本線の長岡〜直江津間の定期運用がありますが、こちらも115系で運転されていた“新井快速”・「しらゆき」各1往復が削減されており、むしろ精算運用としての車両数も抑えることが可能な状態です。

これらの状況を踏まえると、昨今の厳しい状況下でえちごトキめき鉄道があえてE127系を購入することはなさそうです。

最近何かと話題の大糸北線を同社が管轄する場合はET122系の妙高はねうまライン運用の削減・北越急行との統合が実施される場合の運用都合など、特殊な外部要因が起きる場合はこの限りではありませんが、それにしても現時点で車両導入をするとは考えにくいと言わざるをえません。

このほか、増備が続くしなの鉄道SR1系の製造数見直しが公表されており、同社への譲渡という可能性もゼロとは言い切れません。車両購入費用の抑制には大きく貢献しそうで、試運転で100番台の入線実績もありますが、SR1系と併結不可・将来的な代替時にも別形式を購入する必要が生じるなどのデメリットも目立ちます。

今後のヒントは乏しい

比較的容易に推測が出来た115系の淘汰とは異なり、E127系0番台の新潟エリア撤退は噂話さえほとんど出ぬまま運用終了となりました。突然の引退に驚きの声も多く聞かれます。

選択肢はかなり絞られる車両ですが、新たな活用先の候補となりうる路線でも現時点でそれらしい動きがない以上、車両や転属先の動向を見守るほかなさそうです。

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コメント

  1. リニモ1号 より:

    むしろ長野転用はあり得る展開ではないでしょうか。
    例えば辰野支線はロングシート車の方が都合がいいでしょうし。