【大阪メトロ】万博見据えた“宇宙船”新型400系・新区分30000A系を中央線に投入

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Osaka Metroは2025年に開催される大阪・関西万博に向け、従来運行されている中央線のメインアクセスルートとして期待されている中央線について、「新型車両400系と新造車両30000A系を中央線に導入します」(外部リンク)として、400系23編成・30000A系10編成の投入を明らかにしました。

特に400系は従来の鉄道車両のイメージを覆す斬新なデザインで、注目される存在となりそうです。

Osaka Metro 中央線と万博輸送

Osaka Metro 中央線は、大阪市住之江区のコスモスクエア駅から東大阪市長田駅までを結ぶ路線で、長田駅からは近鉄けいはんな線に直通して学研奈良登美ヶ丘(がっけんならとみがおか)駅までを東西に結ぶ路線です。

2025年に開催されることが決まった大阪・関西万博開催地の夢洲(ゆめしま)へのアクセス路線が検討されていますが、この中で最有力となっているのがこの中央線をコスモスクエア駅から夢洲まで3km延伸する計画です。

JR桜島線・京阪中之島線なども検討対象とされていましたが、万博誘致に向けて2000年から鉄道事業許可を持つ大阪港トランスポートシステム(OTS)の計画が2021年夏の政府内会議にも継承されており、2024年度末に開業することが濃厚な状態となっています。

中央線使用車両は1984年から1989年に導入されたアルミ製の20系15編成(試作車のみ廃車済)と、90年代前半に導入された24系5編成(転用による増減多数)が運用されています。

個性的な400系のデザイン

同社としては30000系以来12年ぶりの新形式の車両となる400系は、2023年4月からの運行開始予定とされています。23編成が導入予定とされており、従来の中央線20系15編成+24系5編成と比較して3編成増加です。

「乗って楽しい」を形にしたデザインと示されているように、個性的な前面・側面形状とされていることが印象的です。一般的な鉄道車両と比較して、ドア窓が縦方向に大きく、側面窓が縦方向に短い、極めて特殊な設計とされています。

従来の号線色(路線カラー)は他の事業者でも一部で採用されるように、ホームドアを意識した横帯からドア部への縦帯となっています。最近では車椅子・ベビーカーのスペース案内を車体デザインに織り込むことが流行りとなっていますが、この400系では縦帯自体を青色としていて印象的です。

最近運行が始まった大阪シティバス・オンデマンドバスとの外観も暗示させているとのことで、本気度の高い車両となっています。

内装では、壁面と床面を明るい白基調としつつ、座席は1人区画ごとに色が異なるカラフルなものとされています。背もたれもハイバックタイプで、座り心地にも期待が持てそうです。窓の特異な形状はこれに合わせたものだとすれば納得です。

また、1編成に1両をクロスシートとされています。ドア間3列・1人がけとなっており、地下鉄路線としてはかなり異質の設計です。惜しむべくは、ロングシートに合わせた窓形状で眺望が期待できないことですが、トンネルを走行することがメインの路線ですので実利用では気にならないでしょうか。

外装・内装ともに非常に強い拘りを感じさせられる車両です。

このほか、近年製造されている鉄道車両としては一般的な低床化・バリアフリー設備強化・液晶ディスプレイによる案内装置(従来のワイド液晶ではなく2画面タイプ)なども完備しています。空調装置もAI技術採用・2024年度の自動運転実証実験に向けた機能準備など、見た目だけではない近未来設備も注目です。

水玉模様が可愛らしい30000A系

鉄道車両の歴史において、同一線区・同一用途向けに2形式を並行投入する事例は非常に少なく、同時に発表されたことも特徴的です。30000A系のデビューは2022年7月予定とされており、400系よりも先に姿を現すこととなりそうです。

400系23編成は中央線向けの新型車両としての位置付けですが、30000A系10編成については万博開催期間中の輸送力増強を目的としており、終了後の谷町線への転用とされています。

谷町線は30系の代替で30000系が6両編成13本運用されている路線です。万博終了後の中央線が400系に揃えられ、既存の30000系投入線区(御堂筋線・谷町線)のうち編成構成が同一である谷町線に転用することが狙いであると伺えます。

従来の30000系と比較すると、外観・内装デザインが大きく変化している点が特徴的です。

中央線の路線カラー(大阪メトロの呼称は号線色)の緑色はドット模様で取り入れつつ、従来の30000系の帯部分には未来社会を表すゴールド帯があしらわれています。ドット模様はこのグリーンのほか、ホワイト・アースグレイです。

中央線と乗り入れ先の近鉄では地上区間も走行しますので、ファン層だけでなく一般利用者にとっても非常に目立つ存在となりそうです。

内装についてもこれまでの製造車両とは大きく異なり、外装同様にスパークルドットを床面・ドア・座席仕切りにも採用しており、座席もゴールドとグリーンの外装と揃えられています。

短期間で転用することを前提としている車両では中途半端にされがちな点も含めしっかりと作られており、本気度が高い車両となっています。

中央線の24系も転用へ……

ファン層にとっての関心ごととしては、既存車の動向が複雑となることが挙げられます。

Osaka Metroの路線のうち、標準軌・第三軌条方式を採用している車両は、緑木検車場で検査を行う5路線(御堂筋線10両編成・谷町線6両編成・四つ橋線6両編成・中央線6両編成・千日前線4両編成)です。

谷町線では22系と30000系が運用されていますが、30000A系が転入することで27編成在籍する22系に単純に考えても10編成程度の廃車が発生することが想像できます。経年差やリニューアル状況で路線間の転用を行うことを差し引いても、少なくとも万博終了後に21系〜25系に廃車が発生することが確実な情勢となりました。

21系〜25系では、御堂筋線21系・中央線24系・千日前線25系のリニューアルが完遂した一方で、谷町線22系・四つ橋線23系にはリニューアル工事未施工のままとされている編成が多く残存しており、30000A系転用後に廃車となる編成はこれらの編成のいずれかと考えるのが自然でしょうか。

これに加え、400系・30000A系の投入により、中央線の24系(5編成)についても他路線への転用が示されています。

経年車は御堂筋線の10系・中央線の20系程度で、後者は400系・30000A系投入の時点で淘汰されることとなります。

残される車両は御堂筋線の10A系ですが、同線向けの30000系の増備により既に4編成程度と非常に数を減らしています。24系などの6両編成から21系10両編成への転用改造を行うのか、彼らは30000系の量産で置き換えを完遂するのかが1つの注目ポイントとなりそうです。

運転台撤去などの複雑な改造を避けて考えれば6両5編成から10両2編成が作れそうですが、一部廃車を伴うこととなります。リニューアルを済ませている24系5編成はそのまま転用し、リニューアル工事未施工の谷町線22系・四つ橋線23系を転用する動きがあるかもしれません。

また、御堂筋線は引き続き30000系新造で代替する前提で考えれば、谷町線か四つ橋線で同形式間の置き換えが行われることとなります。

いずれにしても複雑な動きとなることは確実で、しばらくは大阪の地下から目が離せません。

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