【JR九州 筑肥線か】りんかい線70-000形の先頭車が東京港へ

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東京臨海高速鉄道は2025年から2027年にかけて、既存の70-000形を71-000形に置き換える方針を明らかにしています。

8編成のうち最初に運用を離脱したZ8編成ですが、中間車は解体場所へ搬出された一方で、先頭車2両が東京港フェリーターミナル(有明埠頭)へ陸送が実施されています。

状況から新門司港までフェリーにて輸送されるものとみられ、JR九州への譲渡と考えて間違いなさそうな動向です。

2025年から2027年にかけて代替

東京臨海高速鉄道は開業時より、JR東日本209系に準拠した70-000形(ななまんがた)電車を使用しており、JR東日本車両と同様に機器更新工事も施工されていました。

2023年11月、「りんかい線に新型車両71-000形を導入します」(東臨PDF)として、新型71-000形への置き換えを公表、2024年11月に1編成目となるZ11編成が総合車両製作所(J-TREC)新津事業所を出場。デビューに向けた準備が進められています。

有価証券報告書から2025年度末までに4編成の導入となることも明らかとなっており、2025年度は3編成の導入が見込まれます。

第一編成の営業運転開始は2025年下半期ともう少し先ですが、70-000形のうちZ8編成が営業運転を離脱し、2025年5月には中間車が千葉県内の解体場所へ搬出される動きが続いていました。

そして、残されたZ8編成の先頭車2両については、5月27日深夜(28日未明)に東京港フェリーターミナルまで陸送が実施されています。

対岸の公園から撮影しています

記事公開時点では、東京港フェリーターミナルに滞泊中の「フェリーどうご」の右側にて、70-000形先頭車2両を積載したトレーラーが船舶への積載を待っている状況です。

ブルーシートで全面的に覆われていますが、手前側の車両の左側(トレーラーの後部側)に、70-000形特有の丸みを帯びた前面形状が見て取れます。

フェリーの名称は道後温泉でお馴染みの愛媛県「どうご」でみかん色の帯となっていますが、本船は「りつりん」「しまんと」「びさん」とともにオーシャン東九フェリーが所有し、東京港〜徳島港〜新門司港間で運航されています。

途中で寄港する徳島は電化路線がないことから、状況的には交流電化が大勢の九州へ向かうことが確実視される状態となりました。

九州の直流電化路線のうち、西日本鉄道は車体長19.5mとなっており、こちらでないことは想像に難くありません。

熊本電気鉄道についても、20m級の車両である6000形(元・東京都交通局6000形)の導入実績があるものの、東京メトロ01系・03系や静岡鉄道1000形の導入により置き換えが進んでいます。

6000形は1編成が残存しているものの、2024年11月までとされていた赤帯期間後には運用されていない状況に加え、2025年改正に運転士不足による減便もあったなかで1編成のみ20m級の車両を維持・降圧や電装といった大規模改造を含む投資は考えにくい状況です。

これらの状況から、消去法でJR九州に譲渡され、筑肥線で使用されている103系1500番台の代替となることが極めて濃厚な状況となっています。

JR九州への譲渡が事実であれば、第三セクター出身の電車がJR2社に譲渡されるという、極めて異例な出来ごととなります。

JR九州〜筑肥線103系代替か

撮影;ホームドア(FreedomTrainライター)

JR九州の筑肥線では福岡市営地下鉄に直通する運転体系のため、直流電化が採用されています。

当初は103系1500番台6両編成9本が投入されたものの、輸送密度が大きく異なる筑前前原駅〜唐津・西唐津駅間で使用するために4編成が3両編成8本に改造されています。

この3両編成は2編成併結で6両編成運用に充てる・筑前前原駅での増解結といった運用もされるなど柔軟に運用されていましたが、2015年には305系6両編成6本が新製され、同数の103系を代替。現在103系は3両編成5本が残存し、筑前前原駅以西でのみ使用されています。

筑前前原駅から西唐津までの直流電化自体が車庫用地の都合で実施された色合いが強く、この区間の後継車両として新製車両を開発・投入しても採算性が極めて低いことは想像に難くなく、他社の直流電化車両を譲受して運用することが想像しやすい環境となっていました。

伊豆急3000系と同様に4両編成としつつ、ワンマン対応改造を施す動きが想像しやすい状況です。

一方で、今回は先頭車のみが輸送されている点も興味を惹くところで、中間車の電装品を移植した2両ワンマン車を用意する大改造もあり得るところです。

必ずしも今回の先頭車のみ輸送=2両編成化とは断定出来ず、経年ベースでは新製・機器更新時期がわずかに新しいZ9編成・Z10編成などの電動車を使用することが考えられます。

特に、70-000形の検査順序・71-000形の投入ペースを考えると、Z9編成・Z10編成も2025年度内の置き換え対象となっていることが想像され、今回は意図的に先頭車のみを抽出したものとも考えられます。

103系5編成の同数代替となれば、Z6,Z7編成も同様に先頭車のみ・Z9,Z10編成のうち5ユニット……といったような布陣となりそうです。

このほか、209系とほぼ同一形式と見做せる強みから、トイレ設置済みの209系2100番台の電動車と組み合わせる動きもあり得そうです。

手狭な印象を受ける東臨運輸区

譲渡元である東京臨海高速鉄道りんかい線の車両基地である東臨運輸区は、これまで10両編成8本体制で、留置能力は縦列・各種検査線を含めて9本分とあまり余裕のない環境です。

70-000形にはJR東日本の川越車両センターで滞泊する運用がある一方で、JR東日本のE233系にも同数の東臨運輸区滞泊運用もあるなど、余裕が乏しい環境です。

ここにデビュー前の71-000形1編成を抱えているため9線を使い切る状況ですので、次の71-000形が届く前にZ8編成の搬出を終わらせたかった環境なども想像されます。

なお、303系・305系の定期検査は福岡市交通局の姪浜車両基地にて実施する体制となっていますが、103系の後継を305系ベースとせず、設計思想が異なり2編成併結での6両運用も不可能な車両で代替するとなると、引き続き機関車牽引で小倉工場へ運び込む検査体制は解消出来ない点がデメリットでしょうか。

JR九州では2021年にDD200形700番台を導入(過去記事)している通り、機関車牽引列車は削減はしても淘汰をする意志がないためそこまで重要視する課題とはならなさそうです。

むしろ、VVVFインバーター制御の近代的な電車となることで、他社で見られる部品単位で工場に運び、所属基地で重要部検査を実施する体制とするだけでも車両代替の大きなメリットとなりそうです。

撮影;ふぺ(FreedomTrainライター)

JR九州は5月28日に、国鉄復刻カラー2編成目が登場することを公表(JR九州 PDF)しています。

他社でもリバイバルは引退前の集客目的で実施されがちですので、これも匂わせ要素と言えるかもしれません。

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コメント

  1.   より:

    >この区間の後継車両として新製車両を開発・投入しても採算性が極めて低い
    短編成化した305系やYC1系といった既存車両ならあり得そうですが

    •   より:

      筑前前原にホームドアがあるのでYC1系だと厳しいですね。
      筑前前原あたりで系統分断ならあり得そうですが。
      でも新車投入よりりんかい線の中古車導入の方がトータルコスト的に有利と言うことでしょう。
      305系も303系も、地下鉄内ワンマン対応ATO付きですし、唐津までの6両ワンマンも対応しているのでわざわざ短編成化しないでしょう(した場合は別に新車が必要になる=二重投資になる)