【突然のさようなら】85年の歴史に終止符・前日発表の札沼線部分廃止

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2020年5月6日運行終了・7日付での廃止が決定していた札沼線(愛称;学園都市線)の北海道医療大学〜新十津川間ですが、2度の前倒しの末、17日に急遽運行を終了することとなりました。

突然の廃止にファンからも驚きの声が上がっています。

南北で運命を分けた札沼線

今回廃止になった区間は、桑園駅と新十津川を結ぶ営業キロ76.5kmのうち、北海道医療大学~新十津川間の47.6kmです。

この札沼線ですが、南北で輸送密度が大きく異なる路線として知られていました。

南西側の桑園駅〜北海道医療大学・石狩当別駅発着の列車は沿線に大学があるなど通勤・通学需要も多く、本数・両数ともに非常に多く設定されていました。

キハ40系列のほか、50系51形客車を改造したキハ141系列が混結・長編成にて走行する非電化路線として注目されていました。

桑園駅から隣の札幌駅を始終着駅として運転されていましたが、更に電化・一部複線化工事が進められ、2012年に全列車電車化が実施されるなどテコ入れが進んでいます。

一方、北東側の北海道医療大学駅〜新十津川駅間は戦時中に“不要不急線”として営業休止していた区間(石狩当別〜石狩沼田)を含みますが、1946年に再開以降も利用者数に悩まされることとなります。

更に北東側に線路が伸びており、留萌本線の石狩沼田駅まで繋がっていて両端に乗り換え駅があった路線でしたが、利用者数から1972年に廃止。

それ以降も利用者数が改善することはなく、最近では2016年に減便・「当社単独では維持することが困難な線区」として挙げられていました。

以降度重なる議論がJR北海道と沿線自治体で続けられ、2018年末に鉄道事業廃止届を提出。

最終運行はゴールデンウィークの5月6日に予定されており、引退間際の需要を汲むべく、増結・増発・GW期間中の全列車指定席化と大胆な計画が練られていました。

道外からも多くのファンが訪れるビックイベントとなるところでしたが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国へ変更。

多くの利用者・ファンが集中することを避けるべく、急遽4月17日の朝を以て運行終了・以降を営業休止としています。

この発表は前日の20時台となっており、羽田から新千歳への最終便乗車・翌朝1番飛行機でもアクセス不可能という絶妙な時間帯に公表され、多くのファンの注目を集めることとなりました。

なぜ新十津川駅は日本一早い終電になったのか

今回廃止となる終点駅・新十津川駅ですが、“日本一早い終電”として知られていました。

この体系となったのは意外と最近で、2016年のダイヤ改正のことでした。

北海道医療大学~新十津川間では従来、上り7本・下り8本の列車が運転されており、上下3列車ずつが終点の新十津川駅まで乗り入れていました。

この2016年改正では、末端の浦臼~新十津川間について、12~13時台に運行する5427D~5428D・18~19時台に運行する5433D~5434Dの2往復が廃止。

石狩当別と新十津川を結ぶ列車はこの改正により一日一往復のみとなりました。

2015年末時点での日本一の終電は阪堺電気軌道上町線の住吉公園駅(大阪市住吉区)でした。

8時24分発という早さで一時ブームになりましたが、こちらは2016年1月31日で廃止となっています。

廃止区間の今後

廃線翌日にバス運行を開始……というイメージもありますが、今回の廃止区間のバス運行は4月1日に開始されています。運行終了前倒しはこれがあったから実施出来たとも言えそうです。

駅とバス停はほぼ同じで、石狩当別駅南口~月形駅(往復5便)と月方駅~浦臼駅(往復9便)の区間をトヨタハイエースと日野自動車で運行しています。

愛称を“とーべる号”として、車体にはご当地キャラクターが描かれています。

新十津川駅は公園として開発が進られるとともに、廃線になった石狩月形~豊ヶ岡〜札比内駅の約7.2kmをレールバイク(「軌道自転車」を改造したもの)として整備を行い、地域発展につなげていく取り組みも行われる予定です。

実際に訪れた時の様子

昨年の3月に、今回廃止になった区間に訪れました。             

北海道医療大学前は、病院と駅が隣接していて、改札を抜けるとすぐ病院という面白い駅でした。反対側には、田畑が広がり北海道らしい雄大な景色を堪能しました。

札沼線を駆け抜けるキハ40には、何かさみしげな雰囲気が感じられました。

1年前であるにもかかわらずたくさんの人が乗車していました。SNS上では、今回の廃止について、人はそれほど乗っていなかったとのコメントが見受けられました。

石狩月形駅での列車交換は貴重なものとなりました。ここでは、40分程度停車し新十津川駅へ向け出発しました。

豊ヶ岡駅で乗降客が見られず、平均乗降数の少なさに驚きを感じました。また、駅が板で作られており仮乗降場のような雰囲気ある駅舎でした。

新十津川駅の駅舎は1931年に建てられたもので、90年の歴史の重みが感じられます。

新十津川駅では、「駅長犬のララ」は、私が訪れた時はいませんでしたが、記念到達証や、地元の人々の歓迎を受けました。たくさんの人の沿線の暮らしを支えてきた鉄道の厚みが伝わってきました。

新十津川駅からは、バスに乗り滝川へ向かい、北海道の旅をつづけました。

記念入場券の販売など

昨年12月から廃止の予定であった5月7日まで「乗って、買って、集めて。札沼線を楽しもう」キャンペーンが行われています。

札沼線(石狩当別~新十津川間)各駅のカードがついた記念入場券と、沿線地域である、当別町、月形町、浦臼町、新十津川町の対象のお店で買い物ができる割引券がセットになっていて、各駅で200円で販売していました。

現在は石狩当別駅と桑園駅で販売しているほか、特別措置として、4月末まで郵送での販売も行っています。

廃止間際のお祭り需要という最後の稼ぎ期も残念に終わってしまった沿線自治体・JR北海道。

今後もバス転換・廃線跡の活用など、札沼線と町の発展がどのように進むのか末永く見守っていきたいですね。

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