【JR東】車内販売の商品大幅減少・狙いは車掌業務の委託!?・車内販売の歴史

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写真:読者提供/許可を得て撮影

JR東日本プレスリリースにて車内販売維持列車についても商品の大幅削減が発表されています。

お弁当やアイスクリームといった、手間がかかるものの売上になる商品を削っている点が特徴で、ダイヤ改正以降のメニューは普通列車グリーン車にコーヒー販売が付加された程度となっています。

いわゆる「黒字路線」でも商品が大幅に削られた経緯と、JR東日本とその子会社NREが描く将来の列車乗務員構成について、独自取材を含めて解説していきます。

以前からのJR東日本の思惑や動きは過去記事でも解説していますので、まだお読みでない方はそちらもどうぞ。

公式のプレス内容の解説

これは他のサイト等でも触れられている内容ですが、車内販売の売り上げは右肩下がりとなっており、これは大きい駅ではエキナカビジネスなどが充実しているうえ、中小駅でも駅前にコンビニが出店するなど、車内販売会社用語でいう「持ち込み客」の増加が背景にあります。

東京駅のグランスタに代表されるエキナカの充実で最近では乗車前の買い物自体が旅行の醍醐味ともなっています。

その一方で、車内販売会社では各社とも利用減少を食い止めるため、独自ブランド商品の開発や地域色の強い商品を取り入れたり、反対に自社製造の商品を投入することでの利益確保など様々な努力が続けられていました。

車内販売利用減少は止む無しではない!?

便利な世の中になっていくはずなのに、列車に飛び乗っても食事などの飲食が出来なくなってきているという現状はなんとも皮肉であり、これは車販会社とその親会社である鉄道事業者による怠慢だと筆者は考えています。

例えば東京~山形・新庄駅間を走る山形新幹線。

途中の米沢駅にて『牛肉どまん中』をはじめとする米沢牛を使用した弁当が人気のため、到着前に予約を取って米沢駅発車後に売って回るという販売法で人気がありました。

山形新幹線の片道平均の売上は7万円台という数字が出回っていますが、これはコーヒーなら200杯以上・お茶のペットボトルなら500本近くに相当する売上であり、他路線の販売ではまず出せない魅力的な数字です。

途中駅の味覚は、乗り通しをする多くの利用者にとって車内でしか楽しめないので魅力的です。

東京方面~長野を結ぶあさま号も、新幹線開業前は機関車連結作業の時間を活用した駅弁販売が横川駅が賑わっていました。

新幹線開業後も車内販売での取り扱いはつづき、北陸新幹線開業後も軽井沢駅停車の一部便で行っているようです。

こういったビジネスを各路線で頑張っていたらどうでしょうか。

中央線特急あずさ号ならば小淵沢駅・丸政の「元気甲斐」のほか、「高原野菜とカツのお弁当」などの有名駅弁、伊豆方面踊り子号なら伊東・祇園のいなり寿司など、途中駅でしか手に入らない人気商品は、売り方次第で売り上げに大きく貢献したはずです。

新幹線は走行距離が長いため、沿線の名物の品数は在来線特急の桁違いです。

山形新幹線のお弁当販売が大きく売り上げに貢献していた一方で、こういった成功例を他の路線に展開していかなかった体質にも問題があると感じます。

車内販売の利用が多い最近の『黒字路線』といえば、山形新幹線以外にも在来線で唯一停車駅数が多い便でも営業が続く中央線特急や、車掌委託業務があるおかげで5人乗務をしていたスーパービュー踊り子号などの例があり、それぞれ他路線・他営業所のノウハウを共有していく体制がなかったのではないでしょうか。

販売技術のあるベテラン社員が愛想を尽かして退職が続き、乗務員確保を維持できなかった例としては、2019年(平成31年)3月ダイヤ改正で車内販売の定期列車営業がそれと言えるでしょう。

JR北海道が掲載していたプレスリリースは現状の乗務員人数がここ数年で半数程度になっていますが、これは行路を減らす→売れない→やりがいがない→退職という流れであり、車内販売会社の退職者は会社の現状を見限り、非常に未練を持って辞めている例も多いです。

車内販売の停滞は歴史と親会社の体質にも問題あり

上記に加えて、筆者は経営合理化のためにJR子会社が沿線の企業を車内販売から追い出したことが今の衰退につながっていると考えます。

ご存知ない方も多いと思いますが、黎明期の車内販売は鉄道系企業ではなく地元の駅弁屋などが参入した事例が多く、それらをJR発足後に買収しています(国鉄が国営故に輸送以外にあまり手を広げられなかったため)。

現在だと、上越新幹線とき号全列車を担当しているNRE新潟が独自色の強い商品展開をしていたり、中央線特急がかいじ号まで車内販売を維持されているのも、あずさ号やあさま号が別会社であり独自の販売技術を持っていたりと今でもその歴史が垣間見れます。

地元色の強い商品ラインナップから、各線区で画一的・合理的な商品展開へと改められてしまい、高いけど魅力的な商品からただ高いだけの商品へとなり下がってしまったと言えるでしょう。

そして、この名残としての最大の弊害は列車内で売り上げを出したら出店代として親会社に利益の一部を収めよ』というシステムが構築されていることです。

現在では車内販売=車内サービスの一環という捉え方が利用者側からは一般的ななか、驚くことにJR子会社となった今でもJRグループではこのシステムが残存しています。

列車のブランド力を上げてくれてありがとうとJRがお金を払って然るべき現状、未だにこんな愚かなことをしていたら、当然車内販売会社は苦しい動きを強いられます。

また、JR子会社という弊害として、「天下り」受け入れによる人件費増大も挙げられます。

JR子会社では、管理職がJR本体の50代の元現業管理職という例が非常に多いです。

列車の運行やそのパイプは確かに有力ですが、車内販売の重要性・売上確保のノウハウを何も知らないおじさんがあれこれと物事を決めていてはいつまで経っても売上は増やせないでしょう。

そういった意味では、JR東日本子会社であるNREを金沢へ迎え入れたJR西日本は苦しい状況でも車内サービスを考えているともいえるでしょう。

自社でJR西日本フードサービスネットという車内販売などを手掛ける子会社をもちつつ、北陸新幹線の末端線区だけでは採算が取れるか心配→ならばやりたがっているJR東の子会社を受け入れよう……という姿勢は素直に評価されるべきです(この経緯が結果としてNREも北陸新幹線の品数を減らせなかった理由になっていそうですね)。


大幅カット・狙いは車掌委託業務か?

以上の経緯を踏まえても、どうしても今回の発表には裏があると感じるのが年間で数十万円の車内販売利用をしてきた私の率直な感想です。

そもそも売上が減少しているのに、売り上げに大きく貢献している食事やアイス・おみやげ品の販売を削減して、客単価の低い商品のみを維持して車内販売を続ける必要性を一切感じられません

ダイヤ改正以降の販売ラインナップとしては、コーヒーの他はペットボトル類・缶のアルコール類・お菓子おつまみ類・日持ちするパン類となります。

ここで筆者はすぐに気づきましたが、このラインナップは「普通列車グリーン車とのメニュー統合」です(ワゴンでないと販売できないコーヒーを除く)。

普通列車グリーン車では車掌委託業務であるグリーン券販売の合間……という建前で、上記の車内販売が実施されています。

いままでは同社内では列車サービス部・グリーンアテンダント部と部署が大きく異なっていたため、取り扱い商品についてもそれぞれの特徴が大きく出ていました。

自社製造商品(過去の有名なものだとほたて貝柱など)を除いた商品は異なるものが多いです。

特筆されるものとしては、普通列車グリーン車ではビールがスーパードライ・一番搾りとなっている一方で、新幹線・在来線特急では月替わりでビールが2グレード(普通のビールとプレミアムビール)設定されていました。

従来は異なる両部署でしたが、今回の商品・営業路線改定から、組織変更を含めた大きな動きがあるものと推測されます。

特に普通列車グリーン車側に内容を寄せているように、今後は車掌委託業務をメインの収入源としていくことが狙いと考えているのではないでしょうか。

JR東日本の新幹線では、公式に乗務員削減を目指す旨が公表されているだけではなく、在来線特急では全席指定席化にあわせて車掌1名化を目指していることが労働組合により発表されています。

これらの動きと、JR東海・西日本・九州で実施されている車掌業務のパーサー・客室乗務員への委託の流れを鑑みると、JR東日本管内でもこれらの方向へのシフトを目指していると考えていることが推測できるでしょう。

現在はトレインスイート四季島を担当している「びゅうトラベルサービス」・新幹線と特急を担当している「NRE列車サービス部」・普通列車グリーン車を担当している「NRE・グリーンアテンダント部」とJR東日本グループの車内サービス部門は会社や部署が異なっていましたが、NRE管内2部署は既に「アテンダント部」へ近年再編が行われた過去もあります。

更なる今後の動きにも注目が集まります。

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