【東武】御年39歳!原形維持で頑張る珍車・東上線9000系9101F

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10年以上ファンから置き換えの噂が絶えない珍車、東武東上線9000系の量産先行車・9101Fが運用復帰しました。

9000系本来の原形を維持してファンからの人気が高く、しぶとい活躍を続ける異端児です。

見どころと共に、今後の動向を考えます。

原形維持・随所が異なる異端児

東武9000系は営団(当時)有楽町線直通用に1981年(昭和56年)に登場した形式ですが、実際の直通運転開始は1987年の営団成増駅〜和光市駅開業の6年先の出来事となります。

乗務員訓練などを柔軟に行うため1編成が先行量産となりましたが、東武鉄道として初めてとなる10両固定編成・私鉄の103系と呼ばれるほど製造された8000系以来の新形式となっただけでなく、採用されたものもコルゲート板付きの軽量ステンレス車体・一段下降窓・自動式の方向幕、走行機器類も一新されています。

特に側面方向幕については、乗り入れ先の有楽町線7000系同様に車端部とされましたが、種別も一体表示となっています。

東武鉄道でその後しばらく続くロイヤルマルーンの帯を使用した初めての車両……と思われがちですが、あくまで1720系・5700系といった優等形式を継承したものとされています。

その後は8000系・地上用のステンレス車10000系の製造が続けられたのち、1987年に地下鉄直通運転開始にあわせ、9102Fから9107Fまで6編成が追加で製造されることとなりますが、量産車では方向幕を車体中央部に変更・ドア間隔を8000系由来のものから直通先の規格へ変更(ドア間隔4,680mm→4800mm・車端部座席が4名→3名に)されています。

このほかにも走行装置類や内装などが大きく変更されています。

9101Fは量産車からしばらく経過した1997年夏には走行機器類を量産車同等品に交換する改造こそ施していますが、外観上の特徴となる方向幕などの大半はそのままとなっていました。8000系同等品のドア開閉音もそのままです。

9000系はビートプレス構体の9108F・VVVFインバーター制御の9050型が登場して全10編成の所帯で有楽町線・新線にて活躍をしていました。

9000系量産車は方向幕の位置が他形式同様の配置となっています。

リニューアル対象から外されるも……

10編成体制で活躍していた9000系列ですが、2008年6月の副都心線開業とその後の東横線直通を見越した改造に併せてリニューアル工事を施工することとなりました。

この際、車両の仕様が大きく異なる以上にドアの位置が異なる9101Fは直通運転の対象から外されることとなり、あわせてリニューアルも後回しにされることとなりました。

その後は10000系列や50000系列、そして後に転入してくる30000系とともに池袋口の運用で活躍することとなりました。

8000系後期車と製造時期が変わらないことから廃車となる説・10000系のリニューアルとともにいずれ施工される説などファンの間では様々な推測が飛び交いましたが、結局それから10年以上が経過した現在までそのままの外観を維持して営業運転に使用されてきました。

なお、デッドマン装置類設置改造・保安装置改修・種別幕交換など東上線全体で行われた大規模改修の度に引退の噂も出ましたが、全ての改造が施工されています。

運転台周りはツーハンドルで非常用扉オフセットという9000系独自の配置であるほか、側面の方向幕は量産車〜10000系列に比べて一回り小さい独自のものとなっており、いわゆる1点ものの部品が多くなっています。

故障と見られる運用離脱をする頻度も高くなっており(ただし、東武鉄道は元々余裕を持って車両配置をしており、運用離脱自体が他社に比べると多い印象ですが)、老朽化を心配するファンの声は絶えません。

いつ置き換えられても不思議ではない車両となっているものの、東上線でリニューアルがされていない10000系4編成共々、具体的な代替車両が登場するまでは安泰という見方もあります。

最近は専門職も!?

東上線(池袋口)で最高齢の“おじいちゃん”ですが、最近は新たな活躍を始めています。

これは、東上線各駅で進展しているホームドア設置のため、このホームドアを輸送する任務に専属的に登板しています。

最近の複数回の輸送で毎回9101Fが使用されており、何らかの事情で都合がいいものと推測できます。

ドアの位置が8000系水準なのが都合が良いのか、輸送時にホームドアを緊締する手摺りの形状がたまたまホームドア輸送に適しているのか、はたまた廃車が一番近い車両だから万が一傷つけてもいいからか……。

理由は一切明らかにされていないものの、東上線の進化に大きな貢献をしてくれている編成です。

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