東武鉄道では、日比谷線直通列車の置き換えのために新型車両70000系を製造・2019年度で置き換えを完遂します。
置き換えられた20000系列は、20400型として順次リニューアルが進められていますが、最初に投入された東武宇都宮線用8000系4両ワンマン車8編成の置き換えを完遂しており、続く動きとして南栗橋駅〜新栃木駅間のピストン列車・ファン愛称「トチロー」へ運用範囲を拡大しています。
気になる20400型の運用拡大や形態差、そして気になる今後の展開を考えます。
東武20400型の改造進展と運用拡大
ホームドア設置を背景として日比谷線の20m・7両への統一用に東京メトロでは13000系を、東武鉄道では70000系を導入しており、2019年度で増備が完遂となる計画です。
東京メトロでは地方私鉄への譲渡が進められている一方で、東武鉄道では地上ローカル線区への転用を進めてきました。
手はじめに8000系ワンマン車4両・8編成で運用されていた東武宇都宮線の運用を置き換えたものの、それ以降の運用拡大が進んでおらず動向が注目されていました。
最近になって南栗橋駅以北の各駅にて半自動ドア運用拡大の告知がされていましたが、先週からついに南栗橋駅〜新栃木駅間のピストン運用=通称「栃木ローカル」「トチロー」で運用を始めました。
8000系時代から東武宇都宮駅発着で栃木駅以南の定期運用があったため、すでに運用入りをしている線区でしたが、10000系列ツーマン・4両編成の運用を置き換え始めたのが大きなポイントです。
同区間の運用には、10000系列が2両編成×2の通称「ブツ4」で多く運用されてきたほか、10030型や10080型も活躍しています。
この運用変化が背景にあってか、10030型で数年ぶりの「ブツ6」編成が他のエリアで運用されており、今後どういった車両運用の変化が生まれるのか気になりますね。
置き換えられた10000系列の行方は?
70000系→20000系→10000系という玉突き転用によって捻出される10000系列。
6050系を直接置き換える可能性があること、東武日光線〜東武宇都宮線の通し運転による栃木駅〜新栃木駅の運転本数整理ができること、そして10000系列自体は南栗橋駅以南と共通運用が可能なことなどを踏まえると、正確な捻出両数の推測は難しいところです。
置き換え対象についても、2両編成については10000系列のうち0番台4編成のほかは50番台と比較的若い10050番台に集中しているため、近年故障も頻発している8000系2両ワンマンの素直な置き換えともいかなさそうです。
2020年度以降は20000系列転用が済み次第10000系列のリニューアルを再開すると考えられるものの、東武鉄道の従来のリニューアルペースではワンマン車置き換え分をリニューアル工事新規施工とすると、終わるのは数年先となってしまいます。
一方で、10030型4両編成・10080型で多く施工例をもつリニューアル車のワンマン転用は小改造で済む一方で、本線系統の普通列車や区間準急・区間急行といった浅草口にリニューアル未施工編成が多く残ることとなるという疑問も残ります。
4形態のバリエーション!違いはどこ?
着々と増殖している20400型ですが、種車の違いから番台区分が4種類も存在する、少しややこしい形態です。
背景となったのは20050型に5扉車が存在していたこと以上に、車齢が比較的若い20050型・20070型の活用を優先としたことが挙げられます。
一方で、床下機器をなるべく改造しないという東武鉄道流のこだわりもあってか、3扉車なのに解体されてしまったVVVFインバータ制御の中間電動車がある一方で、同数の5扉車の中間電動車が3扉化をして転用されているほか、最終増備だった20070型にも解体対象が含まれるなど、独特のこだわりが面白い形態です。
番号が大きくなるほど改造メニューが多いと覚えて置くとわかりやすいでしょうか。
なるべく取り扱いが同一に出来るような改造メニューとなっており、形態差異による運用区分などはされていません。
20410番台〜最も美しい外観の20070型ベース
20000系列のうち、3編成しか製造されなかった増発用・オール3扉のVVVF車である20070型のうち4両を活用した編成です。
種車同様に21411F〜21413Fの3編成体制となっています。
後述の番台区分では何らかの変わったポイントがある一方で、この番台は唯一スッキリした外観となっています。
20420番台〜20000系と20070型の細かな違いに注目!
先述の転用から溢れたモハユニットのうち、機器構成が20410番台と同様の2両を20000系先頭車と組み合わせた編成です。
20000系と20070型の大きな違いとして、ドアの高さの違いが挙げられます。
日本人の平均身長向上もあってか、この頃の同業他社でも見られる変化ですが、ドア高さが180cmから185cmと、5cm縦方向に拡大されました。
このほか、20000系では幕式だった行き先表示器についても、20050型以降はいわゆる3色LEDを採用しており、表示器枠の有無がフルカラーLEDに改装された20400型でも見分けるポイントとなっています。
以上のように、先述の20410番台同様に5扉車を含まない転用となっているものの、先頭車と中間車で形態差が存在します。
こちらも同様に21421F〜21423Fの3編成体制です。
20430番台〜両端5扉車
20050番台8編成の両端4両……とはならず、中間車は3扉車をそのまま使用した少し複雑な組み替えです。
先頭車については20050型を転用する以上、5扉車の3ドア化は避けては通れなかった改造メニューですね。
また、中間車についてもシングルアームパンタグラフへの改装で20070型ベースの編成との目立つ差異が減らされた一方で、補助電源装置(SIV)がGTO素子かIGBT素子かという違いについては種車のまま残りました。
現在も改造が進められており、20050型の製造本数同様、21431F〜21438Fの8編成が登場するものと見られています。
20400番台〜1両だけ5扉車・差異も多数で混沌
20000系の先頭車と、20050型の電動車2両を組み合わせた4両編成です。
この番台の特徴はやはり1両だけ組み込まれた元5扉車・モハ23440でしょう。
改造ベースを3扉で余剰となった20050型のモハ2両とせず、機器搭載がされた5扉車である27850を改造することで生まれました。
東武鉄道のファンからすると、床下機器はなるべくそのままにしたいという東武鉄道らしさ全開の構成ですね。
3扉車のボディを載せ替えた方が安上がりでしょうし、外観もスッキリしましたのでなかなか面白い転用となりました。
こちらについても、21441F〜21448Fの8編成が登場する見込みです。
編成単位での廃車も2編成
以上のように、20050型・20070型の編成短縮と、余剰モハユニットと20000系先頭車を組み合わせた編成が全部で11ペア・22編成88両が最終的に転用されると見られている20000系列。
しかしながら、20000系のチョッパ制御車だった20000系の0番台については21801F〜21813Fの13編成体制だったため、上記の4パターンで転用できなかった2編成は編成単位で除籍・解体されています。
20050型・20070型の余剰モハユニットの床下機器を小変更すれば20420番台・20440番台に転用することも可能だったはずですが、先頭車機器の部品取りもあったのでしょうか。
元々調子が悪かったと言われている21809F・21811Fの2編成は転用から外されています。
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画像元ツイート紹介
今回の画像は、写真屋さん様(@JNE_photo)からお借りしました。
この場を借りてお礼申し上げます。
コメント
在籍中の車両で2連を容易に組めるのは現状では8000系か10000系のみですし、今後他路線からの転入の見込みが無いのを考えると、やはり真っ先に8000系2連の置き換えにかかるのではと予測してます。
以前に20400型投入で捻出される車両は森林公園検修区の8000系置き換えが有力かという話が上がっていましたが、こちらはATC搭載が必要な事もありますので同区に所属する車両(9000系あたりも有力?)でやりくりするのではないかなと。