元住吉駅列車衝突事故代替車となる5178Fと、詳細未公表の増結用中間車で4111F用の組み込み車が甲種輸送を行なって話題となっています。
今回の甲種輸送では、西武線内踏切事故の修理車両1両以外は新造車ですが、5178Fと4111F用の車両に細かな形態差があります。
これの原因と、まもなく行われる鉄道事業分社化の動きを考えます。
5178Fと4111Fの形態
今回登場した5178Fは、2014年に発生した元住吉駅構内列車衝突事故の代替車両と見られており、2015年登場の5177F同様にスノープラウ併設の排障器を搭載し、全密閉式の主電動機と、プログラムを変更したVVVFインバータ制御装置を搭載しています。
このほか、田園都市線向け6扉車代替中間車同様の緑色シートモケットやハイバックシートが採用されています。
今回の新造車ではこれらの仕様を踏襲しつつ、ドア付近の座席に採用されたヘッドレスト設置を見送っている模様です。
これが今回登場編成の新形態となります。
そして、そこに加えて注目すべきポイントは、5178FにはTOKYU CORPORATIONのロゴマーク・ドア間窓に掲載している一方で、4111Fにはこれらのロゴマークを一切設置していません。
このことから、5178Fは分社化前に運用を開始する車両・4111Fは分社化後に運用を開始する車両と見ることも出来るものの、そもそも名称変更は9月2日とすぐに実施されますので、ちょっと不自然ですね。
ここまでの経緯を踏まえると、5178Fは東急電鉄の鉄道事業分社化前の負の遺産の清算・4111Fは新会社での相鉄直通開始の準備を目的とした純粋な新車であると考えることができそうです。
東急電鉄の鉄道事業分社化
・既存の東急電鉄株式会社→9/2から東急株式会社に→10/1に鉄道事業譲渡
=TOKYU CORPORATION
・新会社:東急電鉄分割準備株式会社(4/25設立)→9/2から東急電鉄株式会社に
→10/1から鉄道事業を担う
=TOKYU RAILWAYS
5178Fの8両の入籍が9月1日までに行われ、4111Fの入籍が9月2日以降に行われた場合は、この違う会社のそれぞれの新型車両という可能性が色濃くなります。
従来、運用上は代替新造なしでもなんとかやりくりができていたことで、代替新造2編成目がしばらく製造されていなかったこと、分社化直前に代替新造車を用意したことを考えると、これらの可能性が一番濃厚でしょう。
4111Fはどの編成が対象?
車両が姿を現すまでは、既存の4000番台と仕様を合わせるため、形態が一番近い5175Fに組み込むのではないかという見方が強くありました。
一方で、今回登場した4111Fは内装などは5178Fと同一仕様で登場したため、組み込み先は5177F・5178Fという見方もできます。
先述のような会社跨ぎの複雑な登場経緯で生まれた車両だと仮定した場合、5178Fが登場前にあっさりと組み替えられてしまう可能性が高くなってきました。
まだまだどの編成に組み込むかは断定できない仕様です。
※8/28加筆:床下機器の仕様が4101F~のものと酷似しており、5177F・5178Fの新仕様ではない模様です。また、赤帯の太さから5175F・5176Fのどちらかに組み込む可能性が濃厚です。
どの編成に組み込むとしても、車両の仕様上、この組み替えは新会社移行後まで動きはないものと考えるのが自然な流れとなりました。
新会社移管後も今までのような東急5000系列の複雑な動きを見ることが出来そうですね。
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コメント
SiCじゃなくて日立のigbt-vvfのtype3なんじゃないですか??安易な..
7時14分25秒さま
閲覧・コメントとご指摘ありがとうございます。
制御装置についてですが、SiC素子のものとどこかで聞いた記憶があったのでそのまま記しておりましたが、断定する文献もありませんでした。
こちらは訂正させていただきました。
制御装置に関する詳細を記した文献は引き続き捜索しますが、もしご存知のものがあればご教授頂けますと幸いです。
9月2日は会社名変更だけです。
10月1日に事業が移管されます。
約1ヶ月だけ東急(株)
tanaさま
閲覧・コメントありがとうございます。
ご指摘の件、すっかり誤認しておりました。
修正させていただきます。