【一時的な形態?】東急東横線5050系8両編成に相鉄直通改造〜5169Fが試運転

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東急電鉄では、目黒線系統を中心に新横浜線開業・相鉄直通運転を見据えた準備が進められています。

東横線系統では、2020年に5173F8両が中間車新造の上で10両化される動きがありましたが、最近になって5169Fが8両編成かつ相鉄直通対応設備を搭載する新たな形態で登場しました。

新横浜線と東横線の直通運転

東急東横線のダイヤ構成の基本は「東横特急」誕生・日比谷線直通列車削減が行われた2001年改正ダイヤ・横浜〜桜木町間の廃止と横浜高速鉄道みなとみらい線との直通運転を開始した2004年改正ダイヤなどを源流としている歴史あるものです。

2013年の副都心線と東横線の直通運転以降もこの大枠は変化がなく、特急が毎時4本・急行が毎時4本・各駅停車が毎時8本に加え、かつての日比谷線直通をルーツとする菊名駅発着の各駅停車が毎時2本運行されるダイヤを日中の基本パターンとしています。

2022年度下半期に予定されている東急・相鉄新横浜線開業後は新横浜線から東横線・目黒線双方へ直通列車が運行される計画であることが発表されており、両線の輸送体系にも大きな変化が生まれることが想像でき、利用者やファンにとっては具体的な運転体系の詳細が待たれるところです。

使用車両についてもここ最近は各社局で動きが活発化しており、相鉄側では東横線直通用の車両として相鉄20000系10両7編成を導入済、2021年度に目黒線直通用として導入を開始した21000系は21101Fが試運転のために各社局線に入線するなど、ファンの関心が高まっています。

東急電鉄側のうち目黒線系統では、開業後の運用増加分を新形式の3020系を先行投入・その余裕を活用して既存の3000系・5080系に対応工事が進められているほか、これに合わせ東急電鉄所有車両の8両化のための増結用中間車の投入が進められています。

一方で、東横線系統の直通運転では運転体系どころか使用する車両も公言されておらず、車両の動きも目立つものが少ない印象です。相鉄では設備類を先に乗り入れが決まっていたJR東日本と同様としており、ATS-P形 自動列車停止装置・三菱製のチャンネル可変タイプのデジタル列車無線装置を東急線からの直通車両にも搭載する必要があります。

5050系のうち10両編成の4000番台を使用することが想像できる状態で、2021年度には相鉄に対応しているものとみられるデジタル無線装置などの搭載改造が4101F・4102Fに施工済です。また、乗務員室後部の窓のうちの1つが埋められて客室部に少し出っぱるいるなど、利用者目線でも目立つ箇所に機器を増設しています。

5050系8両編成はデジタル無線工事が三菱製ながら相鉄非対応のもので進められており、両者の改造後の姿は明確な違いが生まれています。

相鉄側が10両編成で準備をしていることやこれらの改造状況などから、相鉄〜東横線系統は10両編成での運転=急行または特急の優等列車での運転が見込まれます。東京メトロ・東武・西武の所有車両が相鉄直通を行うことがない動向であり、渋谷駅発着とみられます。

ダイヤ上の想像はしやすい反面、営業エリアの広い4000番台の運用数増加を現在の布陣で対応できるのかは以前より疑問視されていました。

改造を終え試運転を行なった5169F

先述のように、これまでの東横線5050系のデジタル無線工事は、8両編成は相鉄に非対応のもので進められてきました。

しかし、新たに改造を受けた5169Fについては、10両編成の4101F・4102Fで見られた運転台交換・乗務員室後部の窓埋めがされており、4000番台と同様に相鉄直通対応機器の増設が行われていることが伺えます。

この編成は2021年9月より長津田検車区にて改造を行なっていましたが、11月3日,4日に田園都市線内で試運転を行なっています。

初めて東横線系統の5050系8両編成に相鉄直通対応編成が登場したこととなりますが、東横線系統からの8両編成の直通は現実的ではないという見方が有力です。

副都心線系統と三田・南北線系統ではともにATO(自動列車運転装置)・TASC(定位置停止装置)が完備されているものの、両者の車両側の(車上子)設置位置がわずかに異なる(30cm)場所に設けられており、日吉駅〜新横浜駅での使用が困難となります。乗り入れ先の相鉄でも8両の21000系は目黒線直通用であることが断言されています。

これらの状勢から、5169Fは相鉄直通運転開始までに10両化することが濃厚な状態となりました。

5169Fは2010年度に投入されたグループで、落成当初に5000系中間電動車を暫定的に付随車として連結していた編成で、翌年度にこの編成を新造中間車で解消した編成です。

編成の組換歴がある・組換完了後は編成内の仕様がある程度揃っている(5000系転用車が入らない)編成であることなど、2020年度に10両化された5173Fと同様の経歴であり、10両化の選定理由としても妥当な印象です。単純に考えれば10両化とともに4112Fとなりそうです。

ドナーとなるのは5176F?

前回の5173Fの10両化の動きでは、主制御装置(VVVFインバータ制御装置)を5175Fのものとトレードされていました。10両化される5173Fの主制御装置を交換することで、既存の10両編成(4101F〜4110F)の仕様に揃えることが狙いと推察されます。

5050系では2011年度増備車からこの変更があり、8両編成で同様の装置を搭載している編成はこのほかに5176F〜5178Fの3編成があります。

このうち5177Fと5178Fはソフトが変更されているほか、主電動機が全密閉式に変更されているなど基本的な走行機器構成が異なるものとなっており、両編成は今後もこのまま運用が続く可能性が高いと言えそうです。

これらの状況から、5169Fについても10両化を行う前のどこかのタイミングで、5176Fと主制御装置をトレードする可能性が非常に高いと言える状態です。5176Fは“sustina”試作の中間車が連結されている異端編成であるものの、それ以外については機器交換前の5175Fとほぼ同じ形態です。

ただし、新造品に交換した上で在来品を予備とすることも十分に考えられます。

このほか、10両化は2編成に留まるのか、増結車両は新造か既存車を巻き込んだ更なる転用か……など、引き続き東急電鉄のファンの興味が尽きない展開です。

参考:東急3000系,5000系列,6000系,7000系のVVVFインバータ制御の違い

電動車ユニット単独電動車メーカー
3000系奇数VFI-HR4820EVFI-HR2420E日立製作所
3000系偶数SVF038-A0SVF038-B0東芝
3000系増結奇数VFI-HR1420W?日立製作所
3000系増結偶数SVF065-B1?東芝
5000系VFI-HR2820BVFI-HR1420H日立製作所
5050系VFI-HR2820BVFI-HR1420H日立製作所
5050系後期VFI-HR2820LVFI-HR1420W日立製作所
5080系SVF065-A0SVF065-B0東芝
5080系増結SVF065-B1?東芝
6000系SVF065-A0SVF065-B0東芝
7000系前期SVF065-A0東芝
7000系後期SVF065-A1東芝
Y500系VFI-HR2820BVFI-HR1420H日立製作所
5177F,5178Fは5050系後期のソフト変更

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