【HU300形】宇都宮ライトレール「ライトライン」車両完成!HU301編成搬入

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2023年3月の開業に向けて急ピッチで工事が進められている宇都宮市・芳賀町の宇都宮ライトレール「ライトライン」。

使用車両のHU300形の第一編成が新潟トランシスを出場し、28日早朝に平石停留場近くに建設が進められている車両基地へ。29日には養生が剥がされ、姿が明るみに出ました。

建設が進められるライトライン

栃木県の県庁所在地がある宇都宮市のターミナル駅「宇都宮駅」には、東北新幹線・東北本線(宇都宮線)・日光線、宝積寺駅から烏山線の直通列車、少し離れた「東武宇都宮駅」に東武宇都宮線が乗り入れ、栃木県の交通の要所となっています。

都心方面と東北方面を結ぶ都市として栄えた歴史的経緯から鉄道・道路ともに南北軸が強い一方で、東西軸については自家用車・バスに頼ってきました。

移動時間の効率向上、高齢社会のバリアフリー、関連した従来のバスのトランジット化などを通して、宇都宮を持続可能な都市とすることを狙いとしています。

快速運行も予定されており、日本の路面電車としては1973年までの京阪山科駅以来半世紀ぶりとなる緩急接続が2箇所で実施される計画です。比較的建設が進んでいるグリーンスタジアム前停留所で軌道工事が終わっている様子が見られます。

日本国内のLRTでは富山港線を再生させた富山ライトレールの事例がありますが、今回の宇都宮ライトレールは完全な新規路線での建設となっています。

1997年度の「新交通システム検討委員会」設置から四半世紀、概算事業費約684億円ものビックプロジェクトの行く末は他県からも幅広い注目を集めています。

開業時点では軌道法に基づいて最高時速40km/hとされているものの、「軌道運送高速度化実施計画」による特認を目指すため、自動車交通並走区間(約9.4km)の一部で50km/h・専用高架軌道(約5.1km)の一部で70km/hでの運行を想定した設計とされています。特に高架区間では普通鉄道さながらの構造となっている点も特筆されます。

2023年3月の開業区間は宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地までですが、将来的には宇都宮駅の西側の東武宇都宮駅方面の桜通り十文字付近への延伸も整備に向けた調査が、さらにそこから大谷観光地方面に向けた検討も進められています。

将来的な普通鉄道への直通運行を見越した線路幅1,067mmとされている点・建設段階で1両増結した40mでの設計がされている点も魅力的です。

完成した車両を見る

今回落成した車両は、「HU300形」HU301-A・HU301-C・HU301-Bの3両です。

HU301-Aが1号車・HU301-Cが2号車・HU301-Bが3号車となっており、この付番方法は同路線の運転士養成を実施している広島電鉄の連接車などと同一の規則となっています。

形式名についても明るみになったばかりですが、Hが芳賀・Uが宇都宮から取ったものと推測できます。

車両の基本設計は新潟トランシスがライセンス生産を行う通称「ブレーメン形」で、熊本市交通局・岡山電気軌道・万葉線・富山地方鉄道・福井鉄道・えちぜん鉄道に続き7社局目。このうち3車体連接は3事例目となります。

17編成の製造が予定されており、今後は車庫内・完成した場所を使用した試運転が順次実施されるものとみられます。

線路の建設も順次進められていますが、まだ架線敷設など使用出来る状態になっている箇所は少なく、開業時期遅れがあったようにまだまだ時間を要する印象です。

全線試運転が見られるのは開業直前までのお楽しみとなりそうです。

HU301-A

宇都宮駅側(西側)先頭車が1号車・車号Aとなっています。

車体のデザインをモチーフとしたロゴマークも近代的で似合っていますね。

HU301-C

中間車が2号車で、こちらがCとなっています。この車両単体で見ると面積の大きい黒色の光沢が輝いて見えますね。

HU301-B

芳賀側(東側)の先頭車が3号車で、こちらは車号Bです。

車体だけで見るとこちら側のみ乗降口が2箇所設けられていますが、反対側はAに2扉……という他社局路面電車でも一般的な対称設計です。

ただし、パンタグラフはA車に設置されるなど、走行機器などでAとBで異なる機器構成となっていることが見て取れます。

片側4箇所の乗降口全てにICカードの乗車用(黄緑色)・降車用(黄色)が確認でき、全扉で乗降可能な設計も近未来的です。

1,067mmの未来

路面電車としては馬車軌(1,372mm)や標準軌(1,435mm)の採用も多いですが、宇都宮ライトレールでは将来的な普通鉄道との乗り入れの可能性を考慮して1,067mmの狭軌が採用されています。

富山地方鉄道や福井鉄道、伊予鉄道など普通鉄道車両も共に運行する事業者、富山ライトレールの閑散鉄道路線のLRT化で採用されており、それ自体は特別珍しいものでもありません。

今後の路線延伸や乗り入れ運行などにも期待が持てる設計とされている点は嬉しいポイントですね。

具体的な検討路線などは触れられていませんが、筆者個人としては線形や建設経緯を考えると、複線化用地もあって改良の余地がある東武宇都宮線への直通が一番効果が見込めるのではないかと推測しています。

栃木県総合運動公園・カンセキスタジアムとちぎがあ利、途中に住宅街が広がる東武宇都宮線西川田駅付近まで直通・細やかな電停設置が実施されれば利便性が大きく高まりそうです。

開業後の成果次第で夢が広がる宇都宮ライトレール。全国的にも珍しい取り組みだけに、成功すれば国内各地で路面電車が走る時代が再び訪れるかもしれません。

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参考文献・画像元ツイート

記事内掲載写真は、ハヤブサ様(@hayabusa_e235)より掲載許諾を頂いています。

参考文献:宇都宮市公式ホームページ

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