【珍編成】久々の異形式甲種輸送!横浜市4000,10000形が川崎車両出場

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日本国内では、鉄道貨物輸送の一環で貨物列車として鉄道車両が輸送される機会があります。

2022年10月28日から30日にかけて、横浜市営地下鉄の形状が全く異なる2形式が同時に輸送される珍編成で甲種輸送が実施されており話題となっています。

ブルーラインでは世代交代

横浜市営地下鉄にはあざみ野駅から湘南台駅間を結ぶ「ブルーライン」と、中山駅から日吉駅を結ぶ「グリーンライン」が運行されています。両系統では線路幅こそ標準軌の1,435mmで揃えられているものの、高度経済成長期から建設が始まったブルーラインは第三軌条方式・近年建設されたグリーンラインは鉄輪式リニアモーター駆動方式が採用されており、車両の規格は全く異なります。

ブルーラインでは“第三世代”となる3000A・3000N・3000R・3000Sの4形式が運用されていましたが、このうち最初期に導入した3000A形の経年が25年〜30年を迎えるにあたり、改修工事の予備車として計画された3000V形が2017年に1編成投入されました。

しかし、2018年に3000A形は更新せずに新造車による代替に計画を修正、3000V形を2022年〜2023年に7編成増備して合計8編成で直接代替する計画となりました。

2019年には2編成が相次いで事故により運用離脱となり、予備車確保を急ぐためか2021年末に最初の1編成目が落成。形式も当初受注段階の3000V形から4000形に変更されたほか、増備数も1編成増やした8編成の計画とされています。

なお、事故廃車2編成は3000N形・3000S形で、3000A形8編成の代替となる車両は3000V形1編成・4000形8編成となっており、最終的な総数で見ると1編成減少となります。

今回落成した4000形は4641編成の6両で、4000形3編成目の増備車です。

千の位が形式である「4」を、百,十の位が1000形から通算の編成番号(3000V形が第61編成の次なので4000形は62から付番)・一の位が号車番号となっています。

2021年度に前倒し納入された4621編成・この編成と同様に2022年度に納入された4631編成と目立った差異はありません。

過去事例と同様に、神奈川臨海鉄道の横浜本牧まで鉄路となり、横浜本牧からは陸送(トレーラーでの輸送)がされるものとみられます。

グリーンラインでは6両化

一方のグリーンラインは2008年開業と比較的新しい路線で、開業時に10000系4両編成15本が投入されています。2014年には2編成が増備されて17本体制とされていました。

その後も順調に利用者数を伸ばしており、増発に続いて建設時に準備済となっていた6両化が進められることとなりました。

2024年度までに中間車20両を投入する計画で、17本中10本が6両編成化される計画です。2022年度3編成分,2023年度3編成分,2024年度4編成分と計画されています。

今回登場した車両は、10000形2編成目の6両化増結車となる、10033,10034の2両です。

グリーンラインで運用されている10000形についてもブルーラインと同様に、一万,千の位が形式である「10」を、百,十の位が1000形から編成番号(01から付番)・一の位が号車番号と付番されています。

ただし、10000形では4両編成で新製した時点で3,4号車挿入を見越した欠番となっており、4両編成でも3号車が10**5(*に編成番号)、4号車が10**6と付番されており、6両化しても改番は発生しません。

前回は第12編成である10012編成が6両化されましたが、今回は第3編成(10003編成)が増結されるものとみられます。

最終的にどの編成が6両化対象なのかは現時点で明らかにされておらず、現時点では明確な法則性を探すのも難しい印象です。10001,10002編成が先行車両であったことを考えると、10003〜10012編成の10編成が6両化対象となっていると考えることも出来そうですが、今後の増結車の製造状況を見ない限りは断定できません。

全くない事例ではないものの……

甲種鉄道車両輸送は基本的に単独の列車で運転される事例がほとんどで、機関車や貨車を除いた一般的な電車の甲種輸送では、異なる形式の車両が同時に輸送される事例は極めて稀です。

今回、4000形・10000形とも既に登場済の車両の増備ではあるものの、初めて同時に川崎車両(旧:川崎重工業)を出場したことが注目されました。

今回は同じ事業者向けながら異なる形式で、かつ両形式が全く異なる車体構造をした車両という点ではかなり珍しい印象を受けます。少なくとも第三軌条方式の車両と鉄輪式リニアの小型車両が共に仮台車を装備して同時に輸送された事例は国内では初とみられます。

ただし、異形式の甲種輸送自体に特別なハードルがあるわけではなく、近年でもJR北海道向けのH100形とJR東日本向けのGV-E400系が同時に輸送された事例もありました。類似車両とはいえ、目的地が異なる列車を併結した事例としてこちらはこちらで特異でした。

過去の事例を遡ると、事業者すら異なる営団(現:東京メトロ)丸ノ内線02系と東京都交通局三田線6300形が同時に輸送された例(1993年)、ブルーライン3000S形と神奈川臨海鉄道の機関車が同時に輸送された例(2006年)、JR東日本向けのEF510形とコンテナ貨車が同時に輸送された例(2010年)など、極めて少ないながら全くないわけではありません。

今回のようなブルーライン・グリーンライン同時輸送が今後も実施されるか否かは断定できないものの、製造メーカー=荷主・発注事業者・列車目的地が同一であり、両形式とも比較的少数かつ並行製造となることを考えると、今後も何度か見ることが出来るかもしれません。

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