【JR東海新型】静岡エリアで315系・313系300番台が運用開始

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JR東海では新型315系により旧来車両の代替を進めており、2024年度は静岡エリア向けの区分の投入が落成・6月1日の315系営業運転開始を皮切りに順次運用範囲を拡大する計画が示されています。

2024年3月改正では静岡エリア315系新製配置に向けて白紙改正が実施されており、ダイヤ改正と同時に神領から転入していた313系1300番台が御殿場線を中心に営業運転を開始したほか、ダイヤ改正後に大垣から転入が始まった313系300番台は5月2日より、315系は6月1日よりそれぞれ営業運転が開始されました。

6/3 18:00更新 6月3日より開始した異種併結の写真を追加しました。

神領に集中投入が続いた315系

JR東海は2020年度から2025年度にかけて新型一般車両の315系8両編成23本・4両編成42本を投入し、国鉄末期〜JR東海黎明期に投入された211系,213系,311系を代替する計画で、これまで事前に公表された投入数通り増備が進められています。

315系では現行の運用車両とは全く異なる8両または4両のオールロングシートを採用しており、公表段階では驚きの声も多く聞かれました。

その後のダイヤ改正・車両運用の変化を追う限り、従来のJR東海の在来線各線で見られた需要に応じて柔軟に増解結する輸送体系から、固定編成化を進めることで増解結作業の削減を目指すJR他社や一部私鉄でもみられた輸送体系への転換を目指していることが読み取れます。

車両配置についても特徴的で、2023年度導入分までの8両編成23本・4両編成12本、2024年度分のうち2編成が神領車両区に投入されている点が特徴的なものとなっています。

捻出された313系の転用が順次進んでおり、2022年3月改正では大垣車両区に3両編成の1500,1600,1700番台が転出。元セントラルライナーの8000番台は静岡車両区に転出し大きな話題となりました。

その後は転出した313系に代替される形で大垣の311系と静岡の211系の代替が進められてきましたが、基本的には新製車両数が廃車車両数を上回る傾向で推移していました。

2023年度は中央西線で211系3+3両編成の増結用となっていた313系1300番台(B401〜B408編成=非ワンマン用に投入された区分)がL編成として静岡エリアへ転属。御殿場線で増結用に暫定的な運用がされたのち、2024年3月改正では御殿場線を中心とする運用に充てられています。

この2024年3月改正では静岡エリアのダイヤ改正内容が東海道線のパターンを刷新する大きい変更となっており、315系投入を控えた車両運用面の変化も大きなものとなりました。

従来は2両編成と3両編成の増解結を実施する運用構成とされていましたが、ダイヤ改正後は2022年3月改正で名古屋エリアで実施された“半固定”の運用を設ける体制に類似する動きとなり、終日6両・4両で半固定とされる運用が多く設けられました。

ダイヤ改正から5月までは315系により置き換えが実施される211系(SS編成・LL編成)は3両固定編成2本を繋げてこれらの6両編成運用に、211系の2両固定編成(GG編成)は313系2300番台(W編成)とペアの4両編成で運用されています。

営業運転を開始した315系を見る

1番列車は静岡駅13時2分発の熱海駅行きの4両での単独運転となりました。充当された車両は編成番号でトップナンバーとなったJR東海 静岡車両区所属のU1編成です。

静岡ローカルのSBS報道で「当初は原則として313系(2両)を併結して走ります。一番列車には、U1編成が使用され、6月1日は特別に単独の4両編成で運用されました」(外部リンク)と言われているように、公表されていた運用区間からも6両編成での運用開始を想定していることが明らかな状態で、単独編成での運行開始は1番列車のお披露目・ご祝儀的な設定とみられ、今後は313系と315系が手を組む姿がすぐに見られそうです。

土休日の新型車両の営業運転開始は初期不良的な故障トラブルを避ける目的で他社でもよく見かけますが、ファンにとっては嬉しい設定となりました。熱海駅は1番列車に乗車したファン・出迎えるファンで活況となっていました。

315系の新造計画は以前から示されており、2024年度は4両編成16本・2025年度は4両編成14本とされています。

このうち2024年度は神領車両区向けC113編成・C114編成が出場したのちに静岡車両区向けU編成が順次出場しており、現在は4編成体制となっています。

U編成は神領車両区向けC100編成と同様に3000番台が付与されている一方で、従来の315系では準備工事に留まっていた半自動ドアボタンが設置されている点が大きな特徴となっています。

313系の細かな番台区分を考えるとざっくりした番台分けにも思えますが、既存の3000番台と準備工事か本設置かのみの相違だとしたら妥当なところでしょうか。

また車号の割り振りについても特徴的で、U1編成が3029、U2編成が3030……と14編成分を飛ばした車号とされています。

3015〜3028の14編成分の欠番は2025年度に新造される計画の315系の数と合致しますので、静岡エリア向けの315系U編成は2024年度に投入される14編成に留まり、残りの315系は再び名古屋エリアに投入される動きとなりそうです。

JR各社では所属区表記省略が急速に進んでおり、静岡車についても新製時から省略とされています。

315系の試運転の動きでは、御殿場線経由で国府津駅に入線した事例は目撃されていたものの、東海道線経由での入線実績は函南駅までと、熱海駅への入線はこの営業運転が初とみられます。

JR東海の新型車両がJR東日本の電車に囲われている光景はなかなか新鮮です。

最近の鉄道車両トレンドとしては再び編成貫通を重視する流れですが、315系3000番台は従来の211系・313系のDNAを継いで編成貫通を前提としています。

315系3000番台では幌自体が白色のものを採用しており、丸めのデザインを阻害しないようなエクステリアデザインが素敵で、シンプルなカッコ良さを感じる車両でした。

313系から継続した普通表示に四角い囲いがされている点や、分散型の空調機器などもJR東海の電車らしさを強調しています。

6月3日からは313系300番台と併結した6両での運転が開始されています。

名古屋エリアで限定的な組み合わせですが、静岡エリアでは異形式併結が日常となりそうです。

営業運転を開始した313系転入車を見る

ゴールデンウィーク期間に先行的な営業運転に使用されたのは、JR東海 静岡車両区所属の313系300番台、K10+K6+K11編成の3編成6両です。

それぞれ大垣車両区時代はY40,Y36,Y41編成として使用されていた車両で、名古屋エリアで付属編成のような立ち回りで活躍を続けてきた車両たちです。

313系投入により短編成化が進んだ静岡エリアでも全車先頭車、いわゆる“ブツ6”は定期・臨時列車でもなかなか見られなかった編成構成で、強烈な違和感を醸しています。

トイレなしロングシート6両編成の211系が充てられていた運用にトイレ3箇所の転換クロスシート6両編成が充てられている点だけでも過渡期ならではと言えるのではないでしょうか。

この動きはゴールデンウィーク期間の増結による運用増加を補うものと見られ、車内広告未設置と暫定的なものとなりました。

5月末にはK2+K3+K6編成が同様の組成で運用を開始しており、こちらは広告設置も済んで運用されています。

車両設備としては半自動ドアボタンやワンマン機器類の追設等は実施されておらず、静岡エリアの車両としては運用可能範囲が限定的です。

6月3日からは315系と併結して運用が開始されました。

313系300番台転用は315系増結車としての色合いが強そうで、今後は他の313系や315系と併結した4両・6両共通運用を中心に運用されていくものとみられます。

今後の置き換え順はどうなる?

静岡エリアでの置き換え順序は6月に東海道線熱海駅〜豊橋駅間、11月から12月ごろに身延線富士駅〜西富士宮駅間と御殿場線沼津駅〜御殿場駅間という計画から概要が分かります。

前者は211系3両編成2本併結の6両編成を、後者は211系2両+313系2両の4両編成を置き換えるものと推測されます。

静岡エリアの211系は製造時期が比較的古い名古屋エリア向けとして投入されたLL編成、静岡エリア向けとして投入されたSS編成、2両編成のGG編成の3種類に大別されますが、まずは検査期限が近く経年車であるLL編成から代替していくことが想像されます。

そして11月から12月とされている4両編成運用拡大まではしばらく211系3両編成の代替が中心となりそうですが、211系GG編成の検査期限到達車両が発生する場合は異なる動きとなるかもしれません。

2024年度は静岡エリアの211系の直接代替が最優先され、2025年度残存する311系や213系を代替する動きとなりそうです。

残りの代替車両のうち、大垣車両区の置き換え対象である311系は4両編成15本で、2023年3月改正に前後して3両編成の1500,1600,1700番台10編成が、その後は関西本線への315系4両編成投入の進展で4両編成の1000,1100番台6編成が転用されており、(1700番台の飯田線運用を考慮しなければ)311系9編成相当分を既に313系で補った格好です。

残り6編成分だけのために315系を大垣車両区にも配置することの合理性や関西本線の輸送力強化に力を入れている状況を考えると、引き続き神領車両区への配置を増やして武豊線と付帯する東海道線運用も4両編成ワンマン運転を想定した315系で統一する展開が想像しやすくなってきました。

残された疑問点は飯田線213系代替用の313系がどの区分から捻出されるのか……といったところでしょうか。

単純に考えれば、14編成の315系を神領車両区に投入し、関西線で運用される313系1300番台のB500編成の一部を転用する動きが想像しやすいところです。JR東日本乗り入れに対応した保安装置・無線機器類などを元々搭載している点は213系後継車としては大きな強みとなりそうです。

一連の338両の代替車両に対して352両の315系を投入する計画とされているように、14両の車両数増加と近年の他社事例では滅多にみられない潤沢な車両配置となっています。

また、名古屋駅を発着する313系のうち防犯カメラを追設する対象が340両とされているのもい

車両数増加分は関西本線に充てられる期待の声が大きいですが、関西本線の混雑を加速させたのは315系投入数発表より後の近鉄の運賃値上げの影響とも言われており、ある程度絞れてきたもののまだまだ最終的な布陣が読めないJR東海の車両代替。

引き続き注目していきたいところです。

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