北海道新幹線開業とともに営業運転を開始した、H5系新幹線。地震による脱線で1編成が減り、3編成配置2運用の小所帯となっています。
E7系とW7系の違いと比較すると目立つ点の多いH5系。乗車・撮影機会があれば狙ってみたい車両です。
運行概況
2016年3月26日の北海道新幹線新青森駅〜新函館北斗間開業とともに営業運転を開始したH5系新幹線。E5系のデザインを踏襲しながらも帯色やロゴマーク、内装などに独自色が加えられており出会えると嬉しい存在です。
H5系は4編成が製造されましたが、定期運用に2編成が使用されるほかは検査・救援等の予備に充てられる構成となっており、走行している姿を見かける機会はもともと少なくなっていました。
開業から現在までH5系は専用の運用が用意されており、輸送障害時を除き固定の2つの運用以外で走行することはありません。
これに加え、2022年3月16日には「やまびこ223号」で使用されていたH2編成が地震により脱線し廃車となり、3編成だけとなりより運用機会が減少しています。
H5系の代替新造は実施されず、現状としてはH5系の定期2運用体制を維持しつつ、時々E5系が代走する体制となっています。
H5系新幹線 時刻表2024
列車の正確な運転時刻は各社ホームページ・時刻表等を併せてご確認ください。
前日の「81運用」がE5系の場合、「82運用」はE5系の代走です。現在走行中の列車はJR東日本公式アプリから、それ以前の運転状況は各SNS・日暮里ライブカメラ(YouTube;当サイト運営)などでご確認ください。
日暮里ライブカメラ=下りは東京駅発車 約8分後・上りは東京駅到着 約10分前に通過します
H5系同士の並び→二戸駅8:23頃・八戸駅北側14:14頃・仙台駅〜盛岡駅の本線上 20時台
H5系が一切停車しない駅→小山駅・那須塩原駅
下り
はやぶさ95 | はやぶさ21 | はやぶさ39 | やまびこ223 | |
運用番号 | 82 | 81 | 82 | 81 |
東京 | 11:20発 | 17:20発 | 21:44発 | |
上野 | 11:25-26 | 17:25-26 | 21:49-50 | |
大宮 | 11:44-45 | 17:44-45 | 22:08-09 | |
宇都宮 | レ | レ | 22:33-34 | |
新白河 | レ | レ | 22:53-54 | |
郡山 | レ | レ | 23:06-07 | |
福島 | レ | レ | 23:20-21 | |
白石蔵王 | レ | レ | 23:31-32 | |
仙台 | 6:40発 | 12:51-53 | 18:52-54 | 23:46着 |
古川 | 6:52-53 | レ | レ | |
くりこま高原 | 7:02-03 | レ | レ | |
一ノ関 | 7:11-12 | レ | レ | |
水沢江刺 | 7:21-22 | レ | レ | |
北上 | 7:29-30 | レ | レ | |
新花巻 | 7:37-38 | レ | レ | |
盛岡 | 7:49-59 | 13:32-37 | 19:33-37 | |
いわて沼宮内 | 8:10-11 | 13:49 | 19:48-49 | |
二戸 | 8:23 | 14:01-02 | 20:00-01 | |
八戸 | 8:34-35 | 14:13-14 | 20:12-13 | |
七戸十和田 | 8:47 | 14:27 | 20:25 | |
新青森 | 8:34-35 | 14:43着 | 20:40-42 | |
奥津軽いまべつ | レ | 20:58 | ||
木古内 | レ | 21:31-32 | ||
新函館北斗 | 10:01 | 21:44 |
上り
はやぶさ10 | はやぶさ28 | はやぶさ42 | |
運用 | 81 | 82 | 81 |
新函館北斗 | 6:39発 | 12:48発 | |
木古内 | 6:51-52 | 13:00-01 | |
奥津軽いまべつ | 7:25-26 | 13:34-35 | |
新青森 | 7:41-43 | 13:50-52 | 17:44発 |
七戸十和田 | 7:57-58 | レ | 17:59 |
八戸 | 8:10-11 | 14:15-16 | 18:11-12 |
二戸 | 8:22-23 | レ | 18:23-24 |
盛岡 | 8:43-50 | 14:44-50 | 18:45-50 |
仙台 | 9:29-31 | 15:29-31 | 19:29-31 |
大宮 | 10:39-40 | 16:39-40 | 20:39-40 |
上野 | 10:58-59 | 16:58-59 | 20:58-59 |
東京 | 11:04着 | 17:04着 | 21:04着 |
H5系新幹線 運用表2024
・函総所
函館新幹線総合車両所の略称
・仙台総合車両所・仙総所
新幹線総合車両センターの旧称・運転上の呼称として残存
81運用
走行距離:2518.5km | |
出庫:函館新幹線総合車両所 | 前運用:82運用ほか |
入庫:仙台総合車両所 | 次運用:82運用 |
列車名 | 列車番号 | 始発駅 | 発車 | 終着駅 | 到着 | 併結 | |
回送 | 551B | 函総車 | 新函館⑫ | ||||
はやぶさ10号 | 3010B | 新函館⑫ | 6:39 | 東京㉑ | 11:04 | こまち10号 | 306 |
はやぶさ21号 | 3021B | 東京㉑ | 11:20 | 新青森⑭ | 14:43 | こまち21号 | 306 |
はやぶさ42号 | 3042B | 新青森⑭ | 17:44 | 東京㉓ | 21:04 | こまち42号 | 312 |
回送 | 685B | 東京㉓ | 21:16 | 上野 | 回送 | 312 | |
回送 | 692B | 上野 | 東京㉑ | 21:32 | 回送 | 312 | |
やまびこ223号 | 223B | 東京㉑ | 21:44 | 仙台⑫ | 23:56 | やまびこ223号 | 312 |
回送 | 223B | 仙台⑫ | 仙総所 | 回送 | 312 |
82運用
走行距離:2162.1km | |
出庫:仙台総合車両所 | 前運用:81運用 |
入庫:函館新幹線総合車両所 | 次運用:81運用ほか |
列車名 | 列車番号 | 始発駅 | 発車 | 終着駅 | 到着 | 併結 | |
回送 | 702B | 仙総所 | 仙台⑫ | 回送 | 313 | ||
はやぶさ95号 | 3095B | 仙台⑫ | 6:40 | 新函館⑫ | 10:01 | こまち95号 | 313 |
回送 | 556B | 新函館⑫ | 函総車 | ||||
回送 | 559B | 函総車 | 新函館⑪ | ||||
はやぶさ28号 | 3028B | 新函館⑪ | 12:48 | 東京㉒ | 17:04 | こまち28号 | 313 |
はやぶさ39号 | 3039B | 東京㉒ | 17:20 | 新函館⑪ | 21:44 | こまち39号 | 313 |
回送 | 3039B | 新函館⑪ | 函総車 |
E3,E8系「つばさ」との併結も設備上は可能だが……
2024年3月のダイヤ改正では山形新幹線の新型としてE8系新幹線がデビューし、これと併せて「つばさ」に併結される「やまびこ」の使用車両が原則としてE5系に変更されました。
これにより、外観や内装の異なるH5系新幹線とE8系・E3系「つばさ」の併結運転への期待の声も少なくなさそうです。
先述のようにH5系の運用は固定となっており、ダイヤ乱れなどで稀に「はやぶさ」単独運転やE5系運用充当となる機会こそあるものの、「つばさ」併結列車に充当される可能性は今回ダイヤ改正ではかなり低い状態となっています。
これは、今回改正で新たに設けられたE5系の「つばさ」併結運用が従来のE5系の運用表の下に別で追加したような構成とされていることが背景です。
具体的に記せば前年までの37運用構成に38〜43運用として前年までE2系を充てていた運用が追加された構成で、運用群として分離されています。
変運用として37運用までと38運用以降を跨いでいる事例こそ見られますが、H5系を元の運用に戻すことが困難なこれらの運用に充てることは輸送障害時でも考えにくいでしょう。
車両運用は前年12月のダイヤ改正リリース時には決められているスケジュールを考えると、ダイヤ改正までに何らかの事情でE5系のE8系併結対応改造・E3系のE5系併結改造等が間に合わない場合、またダイヤ改正で定期運用を離脱したE2系・E3系を何らかの事情で再度充てる場合などを想定してこのような構成が採られたのは納得のいく内容です。
一方で、今後のダイヤ改正を挟む度に車両運用効率の最適化が進むことも自然で、次年度以降にE5系で旧来の運用と「つばさ」併結運用を混ぜ込む構成が採られた場合、H5系が代走で充てられる事例も起き得る状況となるかもしれません。
さらに長い期間で捉えると、北海道新幹線の札幌延伸時期は未定となっている現状でも、札幌延伸に向けて進められている後継形式の開発・投入スケジュールによっては現行の運用体制さえ一新される可能性も秘めています。
最高時速360km/h運転を目指している後継形式では、ミニ新幹線併結を行わない列車運行を目指していることが先代試験車「FASTECH 360」の試験結果と現行試験車「ALFA-X」の仕様から読み取れます。
車両代替は予定通りの時期に実施・開業は延期と後継車両投入が先行する場合、E5系とH5系を「こまち」併結の準速達列車・後継車両を360km/h運転の最速達「はやぶさ」に整理する動きが先行することもあり得るところで、この場合はE3系R編成の晩年のように本来の線区を走らずアルバイトをするH5系……といった運用が組まれても不思議ではありません。
この環境下となればH5系の本州完結列車が日常的に設定されるでしょうし、H5系とE8系が手を組む姿も日常化するかもしれません。
やや難解?E5系代走の流れ
先述のように、H5系は通常は81運用→82運用の1泊2日を基本構成となっています。
82運用の翌日に同一編成が81運用へ充てられるか否かの明確な規則性はなく、走行距離や検査等の事情で別のH5系が充当される場合があるのはもちろん、E5系が81運用に充てられて翌日の82運用まで代走となる場合もあります。
しかし、E5系を函館新幹線総合車両所に送り込んだり、函館新幹線総合車両所から仙台に返却したりといった臨時回送は特に設定されません。
このカラクリは、函館新幹線総合車両所に停泊する「はやぶさ43号」入庫(4運用)〜「はやぶさ14号」出庫(5運用)のE5系の運用順で調整されていることが背景です。
81運用・82運用をともにH5系で運用する日はE5系が「はやぶさ43号」で到着後に函館新幹線総合車両所で2泊、翌々日の「はやぶさ14号」に充てられる体制が基本とされています。
81運用にE5系を充てる場合はこの2編成停泊している編成のうちいずれかがH5系所定の「はやぶさ10号」で出庫、もう1編成がE5系「はやぶさ14号」で出庫することで調整されています。
82運用にE5系を充てていた翌日の81運用をH5系に戻す場合も同様に、H5系所定の「はやぶさ39号」使用車両とE5系「はやぶさ43号」使用車両のいずれかを函館新幹線総合車両所で2泊させることで元に戻されます。
つまり、H5系が4編成体制だった時代の配置である運用2・検査1・救援予備1という体制をE5系に“連泊”してもらうことで擬似的に維持しているとも言えます。
代走するE5系の編成は代走の期間中は固定ではなく、函館で停泊する編成同士で差し替えられたり、82運用の仙台出庫のタイミングで差し替えられる場合があります。明確な規則性は見受けられず、各編成の走行距離次第で柔軟に活用している印象を受けます。
今後も代替新造やE5系のH5系化改造などをせず、運用面で調整される体制が続きそうです。
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