185系に代わり新たな踊り子号として再スタートをしたE257系2000番台。
何かと話題となった半室構造のグリーン車と普通車それぞれに乗車したので、室内外の特徴をお伝えします。
雰囲気はばっちり
外観についてはE261系に近い青色の塗装をしているものの、デザイナー依頼有無の違いか塗料は違うものを採用しています。
E257系の青色“ペニンシュラブルー”はE261系サフィール踊り子号に比べると明るく爽やかな印象を感じます。
先頭部の斜めのデザインも、185系のストライプ塗装や251系の運転台付近のデザインなどを彷彿とさせており、踊り子号の光景にふさわしい雰囲気です。
内装では、シートモケット(座席のカバー)が伊豆方面に沿ったものとなったほか、同様に武田菱デザインだったカーテンも一般的なものに交換されています。
このほか、荷物棚周りの側面パネルも改装されていますが、これは将来的な2500番台(付属・修善寺編成)との仕様統一の都合でしょうか。
一方で、武田菱の名残は少しだけあり、運転席・中間車掌室・多目的室のモケットと、一般旅客の目につくところでは3号車フリースペースの仕切りガラスに従来品が使用されています。
また、グリーン車についても床面カーペット貼り替えに加えて同様の改造を施しているほか、0番台時代の半室グリーン車構造から全室グリーン車に改装されています。
この格上げ区画では種車の仕様上窓割が異なっており、小窓のE257系既存グリーン席より少し見晴らしが良い席・反対に柱が視界を遮る席が発生しているので、予約時は注意が必要です。
4号車1〜7番が既存の窓配置・10〜14番が改造区画となります。
座席自体も改装区画は新しいものとなっていますが、外観はほぼ同一です。乗り比べてみるのも面白そうですね。
座席配置を変える大改造を施した一方、最近のJR東日本のトレンドとは異なって車椅子対応のグリーン車区画は設定されていないほか、普通車5-1番列のみという体制もそのまま維持となりました。
グリーン車は中間部にドアがある特殊な車内レイアウトゆえ、対応が難しかったものと推測できます。
一利用者としては、185系時代から比べると劇的な変化……ではあるのでありがたいのですが、筆者のE257系贔屓を差し引くと、やはり型落ちの電車という印象は拭えません。
原型維持は想定内?改造メニューは最小限
車内のリニューアル(東海道線転用改造)
・指定席発売状況ランプ設置
・座席モケット交換
・窓側席コンセント設置
・カーテン交換
今回の改造ですが、中央線らしさ全開だったシートモケット・カーテンは必要に迫られて交換しているものの、それ以外はコンセント設置・2021年3月から始めるであろう新しい着席サービスの準備工事に留まっており、必要最小限の改造……という感じが否めません。
既に組合資料でも指摘されているように、E257系は中央線時代からトイレ詰まり・雨漏りが頻発していたほか、筆者もリクライニング故障・デッキを仕切る自動ドアの動作不良などを頻繁に目にしていました。
これらに対する抜本的な対策はされておらず、今後も伊豆方面特有の潮風で更なる故障が発生するのではないかと心配になるところです。
なお、2000番台として2019年3月から順次改造施工編成が出場していますが、NA-09,NA-03,NA-06(出場順)の3編成が改造工事未完了のまま各地で疎開となっています。
このため、完成しているNA-04,08,13の3編成が営業運転を行なっているほか、NA-07,NA-10の2編成が完成しているものの営業運転には充当されていません。
コンセントの数は要注意!Wi-Fiも未整備
改造外観からは判別出来なかった点として、JR東日本の各形式で積極的に進められているフリーWi-Fiの整備はありませんでした。
最近では中央線E353系で追加整備が決まるなど、対応強化が進められていますので、本来はインバウンド需要も高い伊豆方面についても後天的改造に期待したいところです。
また、コンセントについては、プレスリリースで発表されているように窓側のみの対応となっています。
前世代的な内容となっていますが、後付け配線の都合が考えられます。配線自体も側面のパネルに付加する形態で、後付け感が否めません。
補助電源装置などを改装していますので、容量の確保は出来たのではないかとも思いますが、やはり後付けの配線の取り回しで容量の制限があったのでしょうか。
このほか、電源が増設された一方で最前列のテーブルは小型の従来品を使用しています。
E257系では車椅子対応区画以外では肘掛けテーブルもありませんので、ビジネスユースには不向きです。
推測の域を出ないものの、やはり最小限のコストで済ませた感じは否めませんね。
E257系は長期使用想定ではない……?
まだまだ車齢の若い印象もあるE257系ですが、先述の故障の多さに加えて、そもそもJR東日本全体としての車両ライフサイクルとしては30年程度での置き換えが基本ですので、既に後半戦となっています。
機器更新時期も18年目と遅く、走行距離は通勤型以上であることを加味すれば、そこまでの長期使用想定ではないのでは?……という考察も出来そうです。
在来線特急車両の置き換えについては、東日本大震災の影響・E353系量産先行車の成果不振により当初計画から遅れているという見方が有力です。
サフィール踊り子号についても、東日本大震災前から置き換え車両構想があったとさえ噂されていました。
更新メニュー削減は205系・211系で実施されたことが有名ですが、E257系も最終的に直接投入の新車となるのか、はたまた他線区から玉突き転用を再度するのか、それとも更新メニューが絞られているE257系に追加工事を施すのかなども気になるところです。
参考:E257系2000番台“当たり席”・“ハズレ席”
ハズレ席では、普通車では荷物棚に機器類があって使用できない席・グリーン車では改造席で窓割が合っていない席を一覧にしました。
1号車が下田方〜9号車が東京方、A席が海側〜D席が山側となります。
その他の景色の良し悪しは下り・上りで若干変わりますので、後述しています。
1号車(普通車指定席) | 3AB,4AB |
2号車(普通車指定席) | 3CD,4CD |
3号車(普通車指定席) | 3CD,4CD |
4号車(グリーン車指定席) | 11,13A-D |
5号車(普通車指定席) | 3CD,4CD |
6号車(普通車指定席) | 3CD,4CD |
7号車(普通車指定席) | 3CD,4CD |
8号車(普通車自由席) | 3CD,4CD |
9号車(普通車自由席) | 10CD,11CD |
それぞれ下りだと大きい方の番号が、上りだと小さい方の番号が荷物棚を使えません。
逆の番号も使えないことはないですが、避けた方が安心です(少し塞がるので、大きなスーツケースは載らない)。
なお、逆に大きな荷物がある場合は、1号車1〜2AB付近・9号車12〜13AB付近に大きな荷物置き場があるので安心です。
【下りオススメ】
1〜3,5〜8号車 | 9号車 | 4号車 | |
BOX席 | 1&2、3&4… | 2&3、4&5… | 10&11か13&14 |
1〜2人 | 偶数 | 奇数 | 11,13以外 |
9号車のみ窓割が異なるので注意が必要ですが、現時点では自由席車両です。
そのため、1〜2番の2列、3〜4番の2列……という組み合わせであれば景色を楽しめます。
また、従来同様に特段指定をしなければ海側から発売されるシステムになっているかと思いますが、えきねっとや券売機でシートマップから選ぶ場合は注意が必要です。
A席が海側で人気です。
D席は富士山が時折見られる山側となります。
グリーン車のなかでも見晴らし最大の大当たり席は14番です。
最後列なのでリクライニングフル展開も出来ますし、景色も最高です。
【上りおすすめ】
1〜3,5〜8号車 | 9号車 | 4号車 | |
BOX席 | 1&2、3&4… | 2&3、4&5… | 10&11か13&14 |
1〜2人 | 奇数 | 偶数 | 11,13以外 |
BOX席にする場合は下り同様ですが、2席利用の場合は奇数が見晴らしの良い座席となります。
こちらも特段指定をしなければ海側から発売されるシステムになっているかと思います。
グリーン車の中でも大当たり席は10番です。
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