【栗橋から搬入】東武500系“リバティ”2021年度増備車の甲種輸送とこれから

スポンサーリンク

東武鉄道では、2021年度の設備投資計画にて500系“Revaty”(リバティ)を3両6編成増備することを明らかにしており、このうち512F,513F,514Fの3編成が川崎重工業兵庫工場にて落成し、2021年7月12日から15日にかけて甲種輸送(貨物列車としての輸送)が実施されました。

栗橋駅のJR線・東武鉄道線の連絡線を使用した受け渡しが行われており、DD200形が東武鉄道線内にごく短区間ながら入線しています。

秩父鉄道三ヶ尻線廃線と東武鉄道の車両搬入

秩父鉄道では、2020年3月までJR貨物と秩父鉄道では、長年に渡り川崎港・扇町駅を起点に鶴見線・南武支線・武蔵野線・高崎線・秩父鉄道線を経由して武州原谷駅の太平洋セメント(旧・秩父セメント/秩父小野田セメント)への石炭輸送が続けられてきました。

これは、秩父鉄道沿線で採掘された石灰石と輸入した石炭をあわせてセメントを作るために運行されていました。

この貨物列車の運行を終了するにあたり、JR貨物との連絡線となっていた三ヶ尻線の三ヶ尻〜熊谷貨物ターミナル間が部分廃線とされています。

これにより影響を受けることとなったのが、東武鉄道の車両搬入です。

これまで熊谷貨物ターミナルから秩父鉄道線を経由して、本線用の車両は羽生駅・東上線用の車両は寄居駅まで輸送される体制が組まれていましたが、三ヶ尻線の部分廃線によってこの経路が使用できなくなり、今後の輸送体系が注目されていました。

栗橋駅経由の新車輸送

2021年7月12日から15日にかけて、2021年度の新造車両として発表済となっていた500系“Revaty”(リバティ)の甲種輸送が実施されました。

この輸送では、輸送車両に掲出された「特殊貨物検査票」により、着駅が栗橋駅とされていることが判明。その後、14日晩にDD200形牽引により搬入されました。

この連絡線はJR東日本と東武鉄道が特急列車の相互直通運転を実施するために整備したもので、大宮方から日光・鬼怒川方面への連絡線です。東武日光線寄りにデッドセクション(死電区間)があるためか、ディーゼル機関車での牽引となったことと推察できます。

東武鉄道側の栗橋駅でDD200形を解放し、東武鉄道線内はSL大樹の補機として導入したDE10 1099号機が牽引しています。

過去に1度だけ実施事例

今回の動きですが、「秩父鉄道三ヶ尻線廃止後初の甲種輸送」・「新車の輸送では初の経路」ではあるものの、「栗橋経由での甲種輸送は初」ではありません

これは、2020年7月に実施された真岡鉄道から東武鉄道へ譲渡されたC11 325号機について、譲渡整備を行っていた大宮総合車両センターから栗橋駅を経由して輸送されています。

深夜・短区間の動きだったものの、牽引機はJR貨物所有のDE10形となっており、甲種鉄道貨物輸送として実施されています。そのため、この経路での車両搬入・甲種輸送の設定は2回目となります。

この時点では三ヶ尻線経由の経路自体は使用可能でしたが、SL特有の課題である軸焼け等の対策で最短経路を選択したことと、既にこの時点で廃線が決定していたことから先行事例として選定されたことが考えられます。この輸送の時点でJR貨物による乗務員訓練が実施されていました。

今回の輸送についてもこれと同様の経路となったものの、入線形式がDD200形となった点が特徴的です。

秩父鉄道を輸送される東武車両の頻度は増加

秩父鉄道にとっては東武鉄道の新造車両搬入という収入を失う格好となっているように思えますが、現在では反対に秩父鉄道の機関車牽引による輸送は増加しています。

これは、東武東上線の車両検査を行なっていた川越工場を閉鎖(整備場として機能を縮小)しており、これにより東武東上線の使用車両を本線側の南栗橋工場で実施することとなったことが背景です。

本線専用形式となる形式の輸送が見られなくなる反面、それまで本線への入線実績がなかった「TJライナー」専用形式の50090型や地下鉄直通用の9000系列、本線に全編成の転属となる30000系の“里帰り”など新たな動きが発生しています。

今回の輸送で東武鉄道の車両輸送の変化の答え合わせが完了したかに思えますが、東上線向けの新造車両を南栗橋経由とするのか、それとも八高線を経由した寄居駅経由の搬入が実現するのかは依然として明らかではありません。

次の東上線向けの新造車両が落成するのがいつになるのかも不明ですので、答え合わせはしばらく先となりそうです。

画像元ツイート紹介

記事内掲載写真のうち、今回の輸送シーンは、フォロワーのUKさま(@323ugatetu3)より掲載許諾をいただいています(過去の輸送写真は筆者撮影)。

関連記事:秩父鉄道部分廃線の動き

関連記事:東上線検査体制の変化

コメント

  1. ゴハチ信者 より:

    記事中、

    デットセクション(死電区間)

    デッドセクション(死電区間)

    に訂正していただきますようお願いします。

  2. 東武蔵 より:

    栗橋での新車搬入に懐疑的な人が割と多かったようですが(このブログの方も)、予想通り栗橋でした。
    最近栗橋で他社の新車10両編成の誘導障害試験が行われていることを知らない人が結構いそうですね。

    甲種輸送のの標識(◇の中に甲の文字)が栗橋の南栗方、ホーム6両分から南栗方へ5両先のところに建てられました。
    11両なのはプッシュプル方式で入ってくるJRの機関車1両分でしょう。本線新車搬入は栗橋で決定ですね。
    標識の動画はazumatakeshiさんのYouTubeで見れます。