2020年3月14日のダイヤ改正より、東日本大震災以降不通区間があった常磐線が全線開通、これにあわせて仙台への直通特急が復活します。
ダイヤ改正発表から遅れることおよそ1ヶ月、遂に常磐線の全通についての情報が一通り出揃いましたので、震災前と比較して変化している点を考えます。
上野方面〜仙台駅直通の特急は3往復設定
今回の常磐線全線復旧の最大の注目点として、震災までの間上野駅と仙台駅を結んでいた常磐線特急“ひたち”の直通運転再開があります。
運転休止となっていた9年間で、常磐線特急は様変わりをしました。
使用車両も651系・E653系からE657系に、列車名も「スーパーひたち」「フレッシュひたち」から「ひたち」「ときわ」に、運転区間も上野発着から品川発着中心に、そして新しい特急料金体系への移行がされています。
そもそも、常磐線特急のE657系投入・運転系統再編では、いわき駅で分断・E653系付属編成を活用した4両編成の特急をいわき駅以北で運転するという計画でした。
東日本大震災による常磐線への被害は周知の通りですが、以前から報じられているように、都心直通の特急列車としての運転再開と計画が変更されている点が特筆されます。
E657系の設計としては、仙台寄りに付属編成を連結することも想定した10両編成でした。
しかしながら、この設計も生かされることはなく、10両編成のまま仙台駅へ乗り入れることとなっています。
震災前と現在のダイヤを見比べる
それぞれ、いわき駅以北を走行する列車のみを抜粋しています。
2020年3月以降のダイヤ(下り)
列車名 | 始発駅 | 時刻 | 終着駅 | 時刻 |
ひたち3号 | 上野 | 8:00 | 仙台 | 12:31 |
ひたち13号 | 品川 | 12:45 | 仙台 | 17:26 |
ひたち19号 | 品川 | 15:45 | 仙台 | 20:28 |
2020年3月以降のダイヤ(上り)
列車名 | 始発駅 | 時刻 | 終着駅 | 時刻 |
ひたち14号 | 仙台 | 10:13 | 品川 | 14:51 |
ひたち26号 | 仙台 | 16:11 | 品川 | 20:52 |
ひたち30号 | 仙台 | 18:02 | 品川 | 22:53 |
震災前のダイヤ(下り)
列車名 | 始発駅 | 時刻 | 終着駅 | 時刻 |
スーパーひたち1号 | いわき | 7:31 | 仙台 | 9:34 |
スーパーひたち7号 | 上野 | 8:00 | 仙台 | 12:23 |
スーパーひたち15号 | 上野 | 10:00 | 原ノ町 | 13:06 |
スーパーひたち27号 | 上野 | 13:00 | 仙台 | 17:13 |
スーパーひたち39号 | 上野 | 16:00 | 仙台 | 20:12 |
スーパーひたち53号 | 上野 | 19:00 | 原ノ町 | 22:20 |
震災前のダイヤ(上り)
列車名 | 始発駅 | 時刻 | 終着駅 | 時刻 |
スーパーひたち14号 | 原ノ町 | 5:49 | 上野 | 9:25 |
スーパーひたち22号 | 仙台 | 7:14 | 上野 | 11:34 |
スーパーひたち34号 | 仙台 | 10:21 | 上野 | 14:35 |
スーパーひたち50号 | 原ノ町 | 15:09 | 上野 | 18:35 |
スーパーひたち54号 | 仙台 | 15:15 | 上野 | 19:33 |
スーパーひたち66号 | 仙台 | 18:16 | 上野 | 22:34 |
ダイヤ変化概況
震災前ダイヤの赤太字記載の3往復がいわき駅以北の純減分となります。
目立つ点として、原ノ町駅発着・いわき駅始発といった区間便がすべて淘汰されている点が挙げられます。
また、地元ユーザーにとって利便性の高かった朝の時間帯がごっそりとなくなっています。
JR東日本としては新幹線に乗って欲しい……という思惑もあるのかもしれませんが、福島・仙台の沿線ユーザーからは少し期待外れだったかもしれませんね。
基本的には震災前ダイヤを踏襲していますが、新たに運行されるひたち26号のみ従来の1時間後ろを走る格好に変更されています。
一方で、座席数ベースでは通年10両編成で運行されることを考えると、閑散期でも安定した供給となります。
また、いわき〜原ノ町駅間はすべての列車が広野・富岡・大野・双葉・浪江に停車と統一され、小高駅停車便はなくなっています。
停車駅の増加は原発事故で甚大な被害を受けたこれらの地域の復興を考えれば極めて妥当なところでしょう。
このように、本数こそ少ないながら、改善されている点もいくつかあります。
賛否両論ではありますが、震災前の計画を考えれば、走らせてくれるだけでも御の字といったところでしょうか。
普通列車も運用体系が変更
特急列車の運転体系の変化が注目されがちですが、普通列車についても運用体系が変化しています。
まず、東日本大震災が発生するまでは、いわき駅を基準にいわき駅以南がE531系など・いわき駅以北は701系・719系などと、いわき駅が運行の拠点になっていました。
今回のダイヤ改正以降は、境界駅が原ノ町駅に変更される形となります。
E657系の仙台駅乗り入れが注目されていますが、E531系についても北は原ノ町駅・南は品川駅、更に水戸線・東北本線黒磯〜白河駅と更に運用範囲を増やしています。
これに伴い、震災復旧区間を含めた各駅ではホームの嵩上げ工事が実施(交流電車区間は客車の高さ→交直流電車区間は電車の高さ)されています。
なお、震災発生以降、701系の一部編成が仙台車両センターから勝田車両センターに転属し、小高〜相馬駅間の運転に使用される……といった動きもありました。
また、415系時代には原ノ町駅乗り入れがありましたので、元どおり……という捉え方も出来そうですね。
参考:震災後の常磐線復旧時期
2011年12月 原ノ町駅~相馬駅
2013年3月 亘理駅~浜吉田駅
2014年6月 広野駅~竜田駅
2016年7月 原ノ町駅~小高駅
2016年12月 浜吉田駅~相馬駅
2017年4月 小高駅~浪江駅
2017年10月 竜田駅~富岡駅
719系の淘汰が決定的か
現在、常磐線の原ノ町駅以南の復旧済区間では、719系がほぼ専属で使用されています。
先述のように、常磐線の運用境が原ノ町駅となることで、2020年3月14日以降は実質的にこの719系運用分がそのまま余剰車となる形です。
E721系1000番台の投入完了でフルーティア以外の全車両を置き換える計画となっていたように、あくまで復旧までの繋ぎとしての配置だったことでしょう。
また、既に719系の運用が同区間+送り込み運用のみとなっており、復旧時期が前後してもそれに合わせて運用整理・廃車がしやすい体制だったとも考えられます。
明るいニュースが続く常磐線ですが、仙台地区の顔であった719系の置き換えは、運行再開のプレスリリースを見ても間違いなさそうな動静です。
最後の活躍をする719系もしっかり見届けたいところですね。
651系普通列車も運転終了か
2020年3月のダイヤ改正に伴う車両配置の変化について、組合資料により651系の運用車両数が8→0となることが明らかになっています。
また、今回の運転再開リリースについても、E531系とのみ記されています。
ファンに親しまれてきた651系付属編成を活用した普通列車についても、常磐線全通を以って定期運用終了となる模様です。
常磐線全通の際には651系0番台で臨時列車を……とファンの多くの期待もあったかと思いますが、基本編成消滅に続いて、静かなフィナーレとなりそうです。
コメント
これで、常磐線に乗りたくなくなった。終息もしていないのに、制限区間の直近を走るとは言語道断。車しかなくなるのが難点だが、金目のJR東日本は人の危険性なんて経済面だけで無視する現政権の手下だ。