【2024年夏臨概況】アルプスは青色E257系2000番台?185,255系の去就

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2024年5月17日に発表された「夏の臨時列車」に続き、25日には各社時刻表発売・座席予約状況などから今後が注目されていた185系・255系ともに活躍の場は大きく減少していることが読み取れる状態となってきました。

E257系2000番台の波動運用進出など新たな動きも加わる2024年夏の車両動向を、形式別に充当列車を含めつつ今後を考えます。

夜行「アルプス」など今年も充実

JR東日本はJR他社とは異なり、臨時列車の種類が非常に豊富で、毎回新規設定の列車を織り込むなど工夫もされています。

2024年「夏の臨時列車」では、かつての夜行急行「アルプス」・臨時快速「ムーンライト信州」の系譜を歩む臨時特急「アルプス」が新設され、その懐かしい愛称の採用と2018年12月以来となる中央東線下り夜行列車の設定が大きな目玉となりました。

これに加え、2023年の夏に実施された「あずさ1号」「あずさ38号」の同一列車扱いながら別編成で運行するという特異なスタイルで実施された白馬発着への延長運転を、別の特急「はくば」として運転する体系としています。

前年の体制は特急料金を通しで算出することで南小谷発着の定期列車との差額が生じないようにする工夫だったものとみられますが、案内上の煩雑さもあったのでしょうか。

このほか、首都圏では高崎から横須賀まで直通する特急「鎌倉・横須賀海まち巡り」が新規設定となっています。

185系〜検査切れ間近?C1編成は存続か

185系は現在、ストライプ塗装のB6編成6両・新幹線リレー塗装のC1編成6両の2編成体制とされており、通常はB6編成を使用しつつC1編成はその他の波動用編成が出払っている時にのみ登板する予備車的な役回りとなっています。

2024年夏の臨時列車と同時に公表された団体臨時列車はいずれも7月となっており、8月以降の185系の去就が注目されるようになってきました。

運転日列車名区間
7/13団体臨時列車新宿→南小谷
7/15団体臨時列車貨物線ツアー
7/20
7/21
谷川岳もぐら
谷川岳ループ
大宮〜越後湯沢
7/28団体臨時列車品川〜河津

2022年秋臨よりE257系5500番台運用開始とともに特急化された「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」は2023年春臨より185系充当となっていました。

これはE257系5500番台が2023年3月改正から高崎線特急「草津・四万」「あかぎ」定期運用に充当されるようになったことに関連した動きと推察できます。

2024年7月の運行は引き続き185系とされた一方で、2024年9月の設定ではE257系充当に戻されることになりました。

2023年秋臨よりE653系K71編成が波動輸送に充当開始、2024年3月改正より特急「鎌倉」使用車両をE653系に変更……とE257系5500番台で185系1運用相当を再び置き換える土壌が整ったものと考えられ、主に使用されていたB6編成の運用離脱が濃厚な状態となりました。

B6編成は2020年6月に重要部検査を行なっており、まもなく全般検査時期となる4年が経過します。コロナ禍の休車で多少は延期出来ていると仮定しても、修学旅行の集約臨時列車など平日・土休日ともに高い頻度で運用されており、走行距離も嵩んでいることが推察されます。

春の臨時列車で特急「185」が伊豆急下田発着に運転エリアを拡大したかと思ったら、夏の臨時列車では一切設定がなくなったことも、B6編成の運用終了を色濃く示していると受け止めた方が良さそうです。

ただし、将来的な波動用各形式の検査入場時期に備える・185系の集客力を高く評価している、など何らかの理由でB6編成に全般検査を施工する選択がされるのであればこの限りではありません。

また、185系C1編成まで代替を目指すのか否かは予想が難しいところです。

これまでほとんどの期間でB6編成を臨時列車に充ててきましたが、2024年に入るとこの体制にも少し変化が訪れていました。

C1編成の本線走行機会が増え、一般発売の特急「185」などにも一部日程で使用されるようになっています。

運転日列車/ツアー名/他
下線は一般発売の特急
運転区間
太字は営業区間
’20 3/12
’20 7/?
C1編成 重要部検査出場
C2編成 重要部検査出場
大宮→東大宮操
’21 3/12定期運用終了
’22 6/1C2編成 入場回送東大宮操→大宮操→大宮
’22 6/2C1編成 6両化
入出場回送
東大宮操→大宮操→大宮
大宮→東大宮操
’22 7/3新金線試乗会東大宮操→田端操→松戸
松戸〜新小岩操〜銚子
松戸→田端操→東大宮操
’22 8/16
’22 9/6
塗装変更
入出場回送
東大宮操→大宮操→大宮
大宮→東大宮操
’22 11/12「新幹線リレー号」東大宮操→大宮
大宮〜上野
大宮→東大宮操
’23 2/18大宮操車場入換見学会東大宮操→大宮
大宮〜大宮操
大宮→東大宮操
’23 3/20-22成田駅撮影会東大宮操→幕張セ(ヨ)
幕張セ→成田→新小岩操(ヨ)
新小岩操→東大宮操
’23 3/25「とちぎ1号」東大宮操→大宮
大宮→宇都宮
宇都宮→大宮→東大宮操
’23 7/8「100周年バトンリレー号」東大宮操→新小岩操→成田
成田→佐原→銚子
銚子→新小岩操→東大宮操
’23 10/19
’23 10/24-25
高崎駅撮影会(21,22日)東大宮操→大宮→高崎
高崎→(ヨ)大宮操→東大宮操
’23 12/9-10「わんだフルTRAIN」東大宮操→上野→取手→柏
柏〜伊豆高原(ヨ)
柏→取手→上野→東大宮操
’24 2/10試運転東大宮操〜大宮操
’24 2/28
’24 3/3
小山車両センター
撮影会(2,3日)
東大宮操→大宮操→小金井
小金井→大宮操→東大宮操
’24 3/27「185」東大宮操→横浜
横浜〜伊東
横浜→東大宮操
’24 3/30「峠の横川ナイトパーク号」東大宮操→大宮
大宮〜横川
大宮→東大宮操
’24 3/31回送ルートの旅東大宮操→上野
上野→東大宮操→田端操→金町→上野
上野→金町→田端操→東大宮操
’24 4/19「あしかが大藤新宿号」東大宮操→新宿
新宿〜足利
新宿→東大宮操
’24 4/24「185」東大宮操→横浜
横浜〜伊東
横浜→東大宮操
’24 4/26「あしかが大藤新宿号」東大宮操→新宿
新宿〜足利
新宿→東大宮操
’24 6/2185系C1編成で行く!!
真夜中の大宮操車場構内
東大宮操→大宮
大宮〜大宮操
大宮→東大宮操
’24 6/8-9「わんだフルTRAIN」東大宮操→上野→柏
柏〜伊豆急下田(ヨ)
柏→上野→東大宮操
6/2;ツアー名記載あり・6/8-9 過去事例・同日185系使用の別列車設定・撮影会設定から推定

組成変更から現在までの動きを時系列で並べると、2024年3月以降=春の臨時列車設定より運用頻度が向上している印象を受けます。

先述のように185系1編成相当分はE653系K71編成で代替するとしても、既に回復状態の行楽需要、そして円安影響で更にインバウンド需要増加傾向のなか、走行距離・休車措置による最大値とされている2年の延命が済んでいるであろうC1編成を急いで廃車する理由は見当たりません。

255系の活用方法などが影響を与えるかもしれませんが、今後も東大宮センターの主としてしばらく鎮座を続ける方が想像しやすい展開と言えるのではないでしょうか。

255系〜当初の波動用の体系に

2024年3月のダイヤ改正で定期運用を終了した255系ですが、ダイヤ改正から6月末までの期間、外房線特急「わかしお」下り6本,上り5本と内房線特急「さざなみ」1往復を所定のE257系5両から255系9両に変更する措置が採られていました。

ダイヤ改正直後の全車指定化による旅客数変動に対応するための措置でしたが、7月以降はグリーン車設定がされておらず、この措置は6月末で終了となる模様です。

これまで3編成が定期運用を“代走”している状態が続いていましたが、7月以降は本来のE257系500番台定期9運用体制に戻ることとなります。

そして、これらの措置以前から255系は一部を波動運用に活用することを検討している旨が示されており、2024年夏の臨時列車でさっそく繁忙期の臨時列車へ運用されています。

今期はE257系9両編成を使用する千葉方面の臨時特急が設定されていないため、時刻表上で「グリーン車連結」とされている列車は255系と断定でき、これを基に抽出すると下記の列車に使用されています。

運転日列車名運転区間
7/13-15新宿さざなみ1,4号新宿〜館山
8/3,4新宿わかしお新宿〜安房鴨川
8/10-12新宿わかしお
わかしお89号
新宿〜安房鴨川
東京→安房鴨川

「わかしお89号」は「新宿わかしお」の間合い運用ですので、運用数は最繁忙期でもわずか1運用にまで減少することとなります。

後述の通り、夏の千葉方面にはE257系使用の臨時列車も多数設定されるなかでこの設定本数に留まっているように、極力運用を避けている設定です。

JR東日本の波動輸送関連の使用車両は四半期毎の臨時列車設定にあわせて変動していきますので、夏の臨時列車では一旦千葉支社の臨時列車に留めることは予想しやすい展開でした。

今後、仮に他エリア進出が叶う場合は夏期に訓練をした上で秋臨以降……といった動きとなります。

185系よりは経年が浅く、走行機器も機器更新済みと他エリアの波動輸送への拡大などに期待するファンの声もありますが、新たに乗務員訓練をしてまでしてエリア拡大するほど車両采配に困っているとは考えにくい状態です。

乗れるうち・撮れるうちに楽しんでおくべきであることは言うまでもなく、3編成が動いている今が狙いどきであることがより確実な状態となりました。

E257系〜運用体系は更に複雑化

E257系の運用方法は高崎線特急の運用を担うこととなった2023年3月改正以降は混迷を極めており、今回の夏の臨時列車ではE257系5両編成2編成併結の「新宿さざなみ1,4号」が登場する点、東海道線用の2000番台の波動運用進出が見られそうな点など楽しみな要素が多くなっています。

筆者含めE257系が好きなファンは公表日に狂喜乱舞していました。

9両編成

2024年3月改正では、特急「湘南」1往復で平塚〜小田原駅間の運転を取りやめることにより、東海道線特急用の2000番台の定期運用数が1つ減った11運用構成とされています。

当時の労組資料では、「E257系基本(9両) 13編成中12、検修予備1 *13編成から12編成へ」「E257系臨時(9両) 4 *3編成から4編成へ」といった記載があり、何らかの形でE257系2000番台が波動輸送に充てられる体制が構築されることが示されており、動向が注目されていました。

夏の臨時列車公表や時刻表からはE257系9両編成以上の情報は読み解けないものの、長野支社が公表した特急「アルプス」のイメージに青色の2000番台の写真が使用されており、特急「アルプス」の一部日程で使用されることが推察できます。

夜行列車であればコンセントが欲しいというニーズが高そうですので、優先的に充てる意図があるのかもしれません。

それ以外はどちらの番台区分を使用するのかは不明瞭ながら、引き続き中央線・東海道線での活躍となっています。

そして先述の通り、2024年春の臨時列車までしばらく見られていた、E257系5000番台使用の房総特急は設定されていません。

255系1編成が波動輸送用として残存する今期の設定としては妥当なところでしょうか。

E257系5000番台(または2000番台)充当列車は下記の通りです。

緑背景は東海道線でランプ無しと案内されている5000番台充当の列車、紫背景は中央線でE257系使用と公表されている列車、青背景が「アルプス」です。

運転日①列車名①運転区間②列車名②運転区間③列車名③運転区間④列車名④運転区間
7/12アルプス新宿→白馬
7/13あずさ77号新宿→松本あずさ83号新宿→松本あずさ85号新宿→松本
7/14あずさ77号
あずさ86号
新宿〜松本
7/15あずさ76号松本→新宿あずさ82号松本→新宿あずさ86号松本→新宿
7/18,19踊り子57号
踊り子64号
東京〜下田
7/20あずさ77号新宿→松本
7/21あずさ86号松本→新宿
7/25,26踊り子57号
踊り子64号
東京〜下田
7/27あずさ77号新宿→松本
7/28あずさ86号松本→新宿
8/1,2踊り子57号
踊り子64号
東京〜下田
8/3あずさ85号新宿→松本
8/4あずさ86号松本→新宿
8/5-8踊り子57号
踊り子64号
東京〜下田
8/9踊り子53号
踊り子64号
東京〜下田踊り子57号
踊り子58号
東京〜下田アルプス新宿→白馬
8/10踊り子59号
踊り子62号
東京〜下田あずさ77号
あずさ84号
新宿〜松本按針祭花火大会1,2号東京〜伊東
8/11踊り子59号
踊り子62号
東京〜下田あずさ77号新宿→松本あずさ85号新宿→松本
8/12踊り子59号
踊り子62号
東京〜下田あずさ77号
あずさ82号
新宿〜松本あずさ85号
あずさ86号
新宿〜松本
8/13,14踊り子51号
踊り子54号
東京〜下田踊り子57号
踊り子64号
東京〜下田
8/15踊り子57号
踊り子64号
東京〜下田あずさ85号
あずさ86号
新宿〜松本あずさ70号松本→新宿
8/16踊り子57号
踊り子64号
東京〜下田あずさ86号松本→新宿
8/17あずさ77号
あずさ86号
新宿〜松本あずさ83号
あずさ76号
新宿〜松本
8/18あずさ76号松本→新宿あずさ86号松本→新宿
8/24あずさ83号新宿→松本
8/25あずさ86号松本→新宿
8/31あずさ77号新宿→松本あずさ83号新宿→松本
9/1あずさ82号松本→新宿あずさ86号松本→新宿
9/7あずさ83号新宿→松本
9/8あずさ86号松本→新宿
9/13アルプス新宿→白馬
9/14あずさ77号新宿→松本あずさ83号新宿→松本あずさ85号
あずさ78号
新宿〜松本
9/15あずさ86号松本→新宿
9/16あずさ76号松本→新宿あずさ82号松本→新宿あずさ86号松本→新宿
9/20アルプス新宿→白馬
9/21あずさ77号新宿→松本あずさ83号新宿→松本あずさ85号
あずさ78号
新宿〜松本
9/22あずさ86号松本→新宿
9/23あずさ76号松本→新宿あずさ82号松本→新宿あずさ86号松本→新宿
9/28あずさ83号新宿→松本
9/29あずさ86号松本→新宿

特急「アルプス」が白馬駅に6時22分に到着後、回送して新宿駅11時12分発の特急「あずさ85号」に充てる構成は不可能ではなさそうにも見える一方で、これまで松本駅から「あずさ85号」に使用するE257系を送り込む場合、松本駅5時20分ごろに発車するダイヤ(回9584M)を使用する事例が一般的です。

また、189系が波動輸送に使用されていた頃、「ムーンライト信州」使用車両を新宿に回送して下り「あずさ」に充てるパターンでは、当時の「あずさ81号」(新宿13:02発)に充てる運用構成が組まれていました。

これらの過去事例を踏まえると、7月12日・9月13日・9月20日の特急「アルプス」は別の編成=2000番台を使用する可能性が高いように思えます。

この3日(の翌日)に運行される臨時「踊り子」は全て神奈川県内停泊の編成で賄える構成となっており、2000番台の予備体制も維持されています。

一方で、8月9日発の特急「アルプス」は異なる動きとなりそうです。最繁忙期ながら5000番台充当が明らかとなっている運用が少なく、5000番台が使用されることが十分に考えられる設定です。

より掘り下げると、E257系2000番台使用とされている「踊り子」の9日・10日の運転本数を見るとより5000番台が充てられそうな印象です。

平日ダイヤの金曜日となる8月9日には「踊り子7,8号」「踊り子63,66号」の2往復が2000番台9両編成使用として設定されています。

春休み期間の平日には「踊り子7,64号」が東大宮入出庫の臨時運用とされていましたので、8月9日についてもいずれか(おそらく63,66号)が臨時運用・もう一方が定期運用間合い(おそらく7,8号、「湘南5号」前に使用?)となりそうです。

また、2024年ゴールデンウィーク期間土休日の「踊り子51号」「踊り子54号」は東大宮入出庫の臨時運用とされており、設定パターンから8月10日〜12日まで同様の構成が組まれているものと推察出来ます。

これらの設定から、8月9日・10日ともにE257系2000番台の稼働数は12本設定されていることが読み取れます。

このような状況下では、共通の予備車として東大宮に残しておくのは上位互換の2000番台の方と考えることが自然ですので、こちらの視点でも8月9日発の特急「アルプス」のみ5000番台を充てることが予想できます

実際の使用車両は1ヶ月前になればシートマップが見られるようになり明らかになるか、商業誌掲載で明らかになるかまでのお楽しみでしょうか。

5両編成

これまで「新宿さざなみ」「新宿わかしお」は255系9両またはE257系5両を中心に運用され、E257系5両編成が幕張から転出した近年では、これにE257系9両編成が加わる形で運転されてきました。

2024年夏の臨時列車では、久しく設定されてこなかったE257系10両(5+5両)編成による「新宿さざなみ」が設定されており注目ポイントです。

2024年3月改正では「新宿さざなみ」「新宿わかしお」は秋葉原駅を通過することとなり、20m級10両までに対応とされている秋葉原駅を停車しなくなった変更がポジティブな方面で活用されることとなりました。

過去の新宿駅へのE257系10両編成の乗り入れ実績自体は、一般発売列車だと2017年1月に設定された秋葉原駅通過の「新宿さざなみ91号」(JR東日本PDF)、2017年5月まで毎年同時期に10両編成で運転されていた中央線茅野発着の団体臨時列車「蓼科ゴルフの旅」(塩尻大門まで回送)など少ないながらもあります。

具体的な増結日は定かではないものの、255系が「新宿わかしお」で運用され、蘇我スポーツ公園で野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」も開催される8月3,4日と10〜12日の5日間と考えて間違いなさそうです。

E257系500番台の運用は7月以降、10編成配置に対して通常時で平日8運用・土休日4運用+“新宿”臨3運用の構成となります。

通常期なので検査1運用・予備1運用という布陣は妥当なところでしょうか。

夏休み期間は毎日実施される「わかしお11号」勝浦延長・「わかしお22号」運転と、平日である8月13,14日運転の「さざなみ92号」はともに間合いで構成可能な列車となっており、運用数の所要には影響ないものと推定されます。

8月3,4日と10〜12日の「しおさい81,82号」、8月10,11日に運転される「新宿さざなみ81号」、8月12日に運転される「新宿さざなみ82号」が運用数増加要素となっており、8月3,4日は8運用・10〜12日は9運用相当となっています。春臨に引き続き5500番台の“里帰り”は設定されていなさそうです。

一方の高崎線方面では特急「草津・四万」の増発も平日・土休日ともに1運用相当、中央線方面では平日「富士回遊」臨時運用は毎日設定です。

そのためこれまでに続き、特急「草津・四万」の平日臨時便が設定されている8月9,13,14,16日と9月13,20日は5500番台フル稼働または2500番台が5500番台の運用に充当される忙しない動きが続きます。

E259系〜しおさい1往復のみ

2024年3月改正より「しおさい」運用に使用されるようになったE259系ですが、春の臨時列車に引き続き「しおさい83号」「しおさい84号」1往復の運用に留まっています。

この両列車は定期「しおさい10号」「しおさい7号」の間合いに設定されていますので、E259系の運用数増加なく充てられる列車にのみ使用する体制です。

E259系は今回改正以降22編成配置で19運用使用の構成とみられており、最繁忙期であっても検査1運用・予備2運用は保ち続けるスタイルは、折り返し遅延を極力避けたい空港特急ならではの事情と言えるかもしれません。

E653系〜春に続き鎌倉と常磐

E653系は2024年春の臨時列車より、吉川美南駅〜鎌倉駅間で高頻度にて運行されている特急「鎌倉」の運用に進出しました。これによりE653系の走行機会が増加しています。

夏の臨時列車でも引き続き1編成が「鎌倉」、もう1編成が常磐線発着の臨時特急に充当される体制が継続しています。

運転日鎌倉その他運転区間
7/6
7/7
7/13小江戸川越の風日立〜川越
7/14
7/20
7/27常磐鎌倉号日立〜鎌倉
7/28常磐鎌倉号日立〜鎌倉
8/3
8/10
8/11
8/17
8/18夏の海浜公園川越号川越〜勝田
8/24夏の海浜公園高尾号高尾〜勝田
8/25夏の海浜公園君津号君津〜勝田
9/7常磐高尾号日立〜高尾
9/14
9/15
9/16
9/21
9/22
9/23
9/28

興味深い設定としては、7月27日にE653系2編成が鎌倉方面に運転されることでしょうか。

回送列車の設定については未公表ですが、従来と同様に鎌倉駅島式ホームの両側にある側線に留置される時間帯・回送で上下する時間帯がありそうで、E653系2編成の並びが見られそうです。

E657系〜引き続き東海道方面も

2023年夏、伊東線初走行となったK13編成。

E657系は2023年8月に臨時特急「伊東按針祭花火大会3,4号」として東京駅〜伊東駅間という常磐線に一切関係ない臨時列車として東海道本線・伊東線を駆け抜け大きな話題となりました。

この際は定期・波動用のE257系9両編成が出払っているゆえの対応で、翌日の下り「ときわ」臨時に充てられる強みも活かした“出稼ぎ”運用となっていました。

その後も平塚駅発着の常磐線方面の臨時特急が設定される際にE657系を充てており、2024年夏の臨時列車でも特急「伊東按針祭花火大会3,4号」と特急「夏の海浜公園平塚号」がE657系使用とされています。

運転日列車名運転区間
8/10伊東按針祭花火大会3,4号東京〜伊東
8/18夏の海浜公園平塚号平塚〜勝田

今回の「夏の海浜公園平塚号」はE653系でも賄えそうな日程構成ですので、技量維持的な色合いやE657系の輸送力もありそうです。

E657系の入線機会も増えてきたので、そろそろ“フレッシュひたち”リバイバルカラーの入線に期待したいところですが、過去の運用傾向を見る限りは意図的に避けている印象を受けます。

特急「アルプス」とJR東日本の夜行列車ビジョン

JR東日本は以前何度か実施した夜行のツアー列車にて、参加者アンケートの項目に今後の夜行列車設定を模索していることを想起させる質問が設けられており、決して夜行列車復活を諦めたわけではないことが想像しやすい状態でした。

今回設定された特急「アルプス」の中長期展望を考えると、成功した暁には設定頻度の増加があり得る流れです。

中央線方面では閑散期である12月〜3月前半にスキーヤー需要により南小谷発着「あずさ」だけ乗車率が高い傾向があり、冬季の下り「アルプス」設定はE353系基本編成の定期17運用・臨時2運用・検査1運用という体制における車両運用効率としても最適解になるはずです。

中央線特急は春〜秋の広い期間で臨時2運用構成を基にした臨時特急を仕立てているものの、伊豆方面・中央線方面双方の需要重なる8月と最繁忙期にE353系やE257系が検査入場をしない周期に調整できれば、年間を通じて最大で毎週金曜・土曜に運転……といった体制は構築できそうです。

昨今のバスドライバー不足の社会情勢も汲めば多少割高な料金設定でも利用客数も見込めるのではないでしょうか。

これにもっと空想を膨らませるなら、東京駅始発とするテコ入れも考えられます。

中央線特急では以前より金曜夜に「かいじ」や「はちおうじ」を設定する文化があり、遅い時間帯ながら白馬方面利用者からの特急料金増収と短距離需要を同時に確保でき、特急化したからこそ昔の定期「ムーンライトながら」のような多用途列車として収益性がありそうです。

そして、今回の「アルプス」が大成功に終われば、JR東日本の他支社もこぞって夜行特急運行に着手する展開も期待されます。

自社完結の旧「ムーンライトえちご」あたりは特急化のうえで復活しやすそうな列車で、E653系の新潟車と勝田車の隔日運行としつつ、新潟では「いなほ」間合い運用・首都圏では「鎌倉」間合い運用のようなE653系ならではの運用体制が構築出来れば車両配置数を増加させずに実現できそうです。

また、需要から考えれば「ムーンライトながら」の後継列車設定は期待したいところです。

E257系の東海道線・波動用転用当初のLED表示には「ムーンライトながら」の表示が搭載されていたことが明らかとなったように、コロナ禍がなければE257系による「ムーンライトながら」の運行継続も想定されていたであろう状態でした。

東京〜名古屋間、乗り継ぎで東京〜大阪間を結ぶ夜行列車の潜在需要が大きいことは明らかで、繁忙期の臨時列車はおろか昨今のバスドライバー問題に乗じて定期列車としての復活を目指す動きさえない話とは言い切れません。

JR東海が納得するか否かというハードルがある一方で、2025年の大阪万博に関連した宿泊場所確保は世論・国策が後押しする展開も考えられます。

趣味的にはJR東日本版の“銀河”登場が一番盛り上がりそうですが、夜行列車の存続・拡大に舵を切ってくれたことは高く評価したい内容です。

「サフィール踊り子」で食堂車を復活させたJR東日本。過去の事例を参考にしたリメイクはJR東日本の得意分野だけに、今後の展開に期待したいところです。

欧州で実現した夜行列車復興を夢見つつ、まずは「アルプス」が大成功となるよう応援したいですね。

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