【本牧・根岸延伸なるか】横浜高速みなとみらい線 留置線建設計画資料が更新

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横浜高速鉄道みなとみらい線は、2004年2月1日に開業した、横浜〜元町・中華街駅を結ぶ鉄道路線です。

開業から現在まで、東急電鉄の元住吉検車区を間借りする体制で車両保有を続けていますが、以前より自社線内の留置場所確保・終着駅としての折り返し機能向上などを目的に留置線建設の計画が進められています。

元住吉を“間借り”で開業

横浜高速鉄道みなとみらい線は、横浜環状線構想の中で有線整備されるべき鉄道路線として計画された路線で、構想当初は国鉄(現:JR東日本)横浜線との直通運転が想定されていました。その後は東急東横線との直通運転に計画が変更されて工事が開始され、2004年2月1日に横浜駅〜元町・中華街駅間の4.1kmが開業しています。

この際、横浜高速鉄道は線路や車両を所有する第一種鉄道事業者とされつつ、車両の日常保守は東急電鉄の元住吉検車区で行うこと・運転士や車掌も東急電鉄乗務員の乗り通しとされたほか、当面の車両留置についても元住吉検車区を“間借り”する体系とされました。

2019年にこの借地期限を迎えるにあたり、自社線内への車両留置場(いわゆる留置線)の建設が検討されるようになりました。既に期限は過ぎており、東急電鉄も新横浜線開業で車庫内が圧迫している状態となっていますが、工事完了までは元町・中華街駅留置2本を除く4本分の留置場所を元住吉検車区が担うこととされています。

「港の見える公園」直下の案が最有力

引用:下記配布資料より

横浜高速鉄道では2022年1月14日、前年12月に開催された説明会の配布資料(横浜高速鉄道HP・外部PDF)・議事要旨(同・外部PDF)を新たに公開しています。

他の直線区間を有する新高島駅〜みなとみらい駅間・馬車道駅〜日本大通り駅間が技術・既存構造物の観点で困難とされた経緯が詳しく示されているほか、元町・中華街駅の先に建設することの合理性やその線形案が示されています。

2017年の車両留置場イメージでは駅からすぐにシーサスクロッシング・4線の留置線がある300mの建設計画(以下、A案)が公開されていましたが、2018年からは民有地を最大限避け、2本のトンネルを掘る留置線部分を「港の見える公園」直下とするB案が最有力とされています。このほか、同じく公有地である外国人墓地などの地下とするC1〜3案も検討されています。

特に地権者の数・工事期間中の工事車両通行経路など複数の観点でB案が最有力で、地権者交渉が滞りなく進むならばこの案の採用が濃厚な状態と考えられます。

本牧・根岸への延伸を想像する

今回の留置場建設工事は、同線の建設時より存在する本牧・根岸への延伸とは直接関係ない事業とされています。

交通政策審議会答申第198号でも優先順位が高いとされている計画の1つで、横浜環状線などと通称され、みなとみらい線のほか横浜市営地下鉄グリーンラインが該当します。

あくまで関係がないとされている一方で、もし将来的に本牧・根岸方面への延長をする場合、この留置線の活用も選択肢に入れられるとされています。

B案が採用された場合、延伸計画が589m進んだとも捉えることができ、最近になって急速に進展を見せた東京メトロ有楽町線豊洲駅〜半蔵門線住吉駅を結ぶ「豊住線」計画や南北線の白金高輪駅〜品川駅の延伸計画と同様に、この留置線の工事をトリガーに延伸計画実現への機運が急速に高まるかもしれません。

このB案を眺めてみると、元町・中華街駅から海沿いに向けて線路が南東へ向けて港の見える公園の地下に伸びる格好となっています。地図上で更に直線で延長を想像すると、市営住宅ベイサイド新山下付近を通り、主要地方道 山下・本牧・磯子線に到達します。

この道の地下を更に掘り進めていけば、辿り着く先は神奈川臨海鉄道本牧線 横浜本牧駅です。

神奈川臨海鉄道本牧線は、根岸駅から横浜本牧駅を経由して本牧埠頭までを結ぶ5.6kmの貨物線で、全区間が単線非電化となっています。

このうちの根岸駅〜横浜本牧駅間は国道357号線や首都高速湾岸線と並行しており、用地も複線に近い幅が確保されています。この本牧線を複線化・または高架や地下の用地として活用すれば、用地買収を最小限に抑えることが可能となりそうです。

貨物専用路線の旅客化は名古屋エリアのあおなみ線や関西エリアのおおさか東線、関東でも埼京線〜相鉄直通や今後の羽田空港アクセス線東山手ルート(同経路は休止している貨物線の活用)など多く実績がある通りで、1日3往復程度の運行に留まる本牧線の活用は十分選択肢となり得そうです。

少なくとも過去の計画を見る限り、計画初出時に想定されていた経路は、沿線住民が多く居住する本牧通りを経由するルートと見られます。一方で、みなとみらい線建設以後のイメージ画像の一部には、この主要地方道 山下・本牧・磯子線〜国道357号線への建設を想定しているものと考えられるものもあります。

このルートはトンネル掘削区間を大きく縮めることが可能(最短で2.0km強)と考えられ、この場合は建設コストの抑制=採算ラインを下げることが可能となるため、延伸への課題を減らすことが出来る点は大きなメリットです。

本牧の住宅街の外側をなぞる格好となり、地域住民の利便性向上は限定的となるものの、JR根岸線との輻輳が回避されるほか、本牧エリアに並ぶ企業への通勤の足としての需要への期待が持てるようになりそうです。観光客誘致に期待される三溪園へのアクセスについても、こちらに軍配が上がります。

神奈川臨海鉄道はJR貨物の傘下であるイメージが強いですが、現時点での出資比率はJR貨物4割・横浜市2割、以下は神奈川臨海鉄道を使用するさまざまな事業者が続きます。

横浜市にとっては既存の神奈川臨海鉄道本牧線の収益増・用地買収コストの大幅圧縮・先述の地方道を経由する大量の横浜市営バス路線の再編など、かなりのメリットが挙げられます。

横浜市としての現状はブルーラインの新百合ヶ丘延伸に本腰を入れる時期ですが、今回の留置線延長工事はその次に期待される本計画への種蒔きとしての効果も期待が持てそうです。

また、神奈川臨海鉄道の主な株主であるJR貨物にとってもメリットが考えられます。現在運行されているコンテナ貨物列車は根岸駅で方向転換をするため、電化された場合も機回し作業(機関車を編成の反対側に付け替える作業)が残ることとなりますが、JR貨物の直流電気機関車が大船方面から通しで運用できるようになることで、横浜本牧から中部・関西・九州方面といった新たな貨物需要も開拓が出来そうです。神奈川臨海鉄道が用地を保持し続ければ、同社にとっては大きな増収となります。

北海道新幹線開業で新幹線と線路を共用する貨物列車が誕生しましたが、本牧線の活用がされる場合は関東大手私鉄各社の車両と貨物列車が行き交う新たな光景が見られることとなりそうです。特に東武鉄道・西武鉄道は貨物輸送をしていた歴史も長いですので、東武車・西武車との離合はぜひ見てみたい光景です。

保安装置類の対応問題が残りますが、偶然にも東横線系統では相鉄線直通に関連してJR東日本同様のATS-P・三菱製デジタル無線の整備が進められており、これを活用することが出来れば新規開発を避けることも可能に思えます。

横浜市や関係各社がどこまで想定しているのかは定かではありませんが、将来的な延伸は神奈川臨海鉄道本牧線の活用が選択肢の1つになっていることは想像に難くありません。

筆者の想像の域を出ない……かと思っていましたが、2021年4月に公開された横浜本牧市民プールの再整備案のイメージ画像(横浜市HP・外部PDF)には、神奈川臨海鉄道本牧線に旅客列車が描かれています。ただし、このイメージ画像は横浜市が作成したものではなく、落札者である馬淵建設グループが作成したものですので、横浜市の意向と合致しているとは限りません。

根岸線と競合するJR東日本が難色を示す可能性や、衰退要因となりえる本牧通り沿線住民からの反対などの課題も想像されますが、留置線の建設を契機に延伸への議論が活発化することを期待して止みません。

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コメント

  1. Naoto Tamura より:

    2004年開業ですよ

    • 鉄道ファンの待合室 より:

      Naoto Tamuraさま

      閲覧・コメントありがとうございます。

      ご指摘・本文内に記載の通り、横浜高速鉄道みなとみらい線の開業は2004年です。
      リード部分の開業年が誤っていましたので、訂正させていただきました。
       
      今後とも当サイトのご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

      鉄道ファンの待合室

  2. Ken より:

    元本牧民として面白く拝見させていだきました。
    本牧は本当に不便なので、鉄道が出来さえすればと思っているのですが、予測では江ノ電程度の乗車人数しか見込めないとのことで、横浜環状鉄道以外にもLRTやらシーサイドライン延伸やら色々出てくるものの何も進まず歯痒いばかりです。
    かつての市電と同じ本牧通りとてっきり思い込んでいましたが、臨海鉄道もたしかにありましたね。人口的にはあまり人がいない港湾工業エリアですが、前に日経の飛ばし記事であった日石根岸製油所の廃止ないし縮小でも起これば、再開発等で一気に進むかもしれません。現に根岸製油所は古い設備で効率が悪いので、プラントの整理等の対象にもなっているようなので、可能性が少しでもあればいいのですが…