【奇跡の復活なるか】寝台特急「あけぼの」24系が秋田港で復線作業

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JR東日本完結の寝台特急として、ブルートレイン最末期まで運行されていた上野と青森を結んだああけぼの号。

列車の運行終了から5年半が経過した現在、久々に客車たちが線路上に復活してファンを賑わせています。

意外な動きをおさらいしつつ、今後の展開を考えます。

あけぼの廃止とその後

寝台特急あけぼの号は、上野と青森を結ぶブルートレインとして2014年3月まで運転されていました。

定期運用終了後も、わずかながら繁忙期の臨時列車として運行されましたが、ひっそりと終了しています。

ブルートレイン最末期まで活躍できた背景としては、国鉄分割民営化以降も単独会社での運行となっていた点が挙げられるほか、朝の秋田→青森間の区間利用などで利益率が他に比べると悪くなかったことなどが考えられます。

晩年には、田端運転所のEF81形の代走牽引や、長岡以南の牽引機変更・1年間ながらEF64形0番台がブルートレイン運用に復活するなど、関東・東北のファンを魅了し続けた列車でもありました。

使用されてきた24系秋田車ですが、日本海号で開放B寝台車と電源車が共通運用されていたほか、甲子園・天理教の臨時列車などの団体臨時列車にも時折登板していました。

晩年に様々なオタク趣味を賑わせた、団体臨時列車・ニコニコ超会議号も彼らが使用されています。

多くのファンに惜しまれながら引退したあけぼの号の客車たちですが、秋田県内の小坂鉄道保存会により電源車のカニ24-511、個室A寝台シングルデラックスのスロネ24-551、個室B寝台ソロのオハネ24-555、開放B寝台のオハネフ24-12の4両が保存されています。

そのほか、27両もの24系客車が秋田港まで甲種輸送、秋田港から大浜埠頭まで陸路により輸送されていました。

陸路の運送と甲種輸送の契約を行ったアチハ株式会社により、この27両の輸送目的が海外への譲渡であることが明らかにされていましたが、その後は4年半もの間、動きがありませんでした。

奇跡の復線作業の理由は?

そもそも、4年半も放置されていた背景としては、譲渡先の情勢変化とみて間違いなさそうです。

アジアの各国で活躍している日本の譲渡車両たちですが、政治・政策などのさまざまな要因により日本からの輸入を取りやめた可能性が極めて高いでしょう。

そもそも、譲渡話がなければ港まで輸送しないほか、譲渡計画が途絶えてなければ潮風の当たる埠頭に放置することも考えられませんね。

一方で、完全に立ち消えたとしても、既に除籍済、JR東日本の手から離れた車両です。

誰がどう処分するかについての議論に結論が出なければ、費用・手間のかかる輸送作業が再開できないことは明白です。

そのため、今後の処遇について何らかの結論が出たとみられます

考えられるのは、やはり全車両の解体ですが、一部車両を動態または静態で活用を目指した事業者・自治体などが名乗りを上げた可能性もわずかながら考えられます。

今後の活躍は期待薄だが……

今回オンレール作業が行われている24系客車たちですが、全車両を引き取って運行する事業者が新たに出てきたとは考えにくいところです。

日本国内で寝台列車が運行できる規模の路線長を持つのはJR各社くらいですが、既に客車を全廃済のJR東海と四国、今後機関車列車を無くしていくことが報じられているJR東日本、雪対策で改造必須のJR北海道は考えにくいでしょう。

残されるはJR西日本とJR九州ですが、JR西日本・九州ともに安価な夜行列車を電車改造で今後デビューさせる計画があることから、客車、それも経年車を今更導入するとは思えません

他社譲渡を選択肢としても、近年客車購入に積極的なのは東武鉄道と大井川鐡道くらいでしょうか。

特に東武鉄道では、数多くの14系の原型復元を手掛けている技術力のほか、繁忙期に「尾瀬夜行23:55」という夜行列車を毎年走らせています。

浅草~会津若松間のDE10牽引の臨時寝台特急……SL牽引……などが登場すれば夢も広がるところですが、どう考えても採算を上げるのは困難でしょう。

大井川鐡道については、片道1時間程度という営業距離に加え、そもそも納入作業をした14系・12系が未だに改造待ちとなっていますので現実的ではないでしょう。

残された静態保存ですが、既にいくつかの実績があって競合となるほか、近年はアスベスト除去の課題などもあり鉄道車両保存自体がほとんど行われていません。

こちらについても期待薄となりますが、宿泊施設として活用出来る貴重な出物となりますので、本記事を読んで興味が湧いたどこかの自治体などで奇跡の復活を遂げることを願って止みません。

12/28加筆;所有する貿易代理店によると、現在も海外譲渡を断念したわけではなく、あくまで移動……との報道もあります。本当に譲渡が実現するかもしれませんが、名古屋港の気動車群共々進展はなさそうです。

解体するにも一苦労……?

解体作業となる場合、最寄りの秋田総合車両センターか、実績の多い長野・郡山の総合車両センターに搬入したいところかと思いますが、課題もいくつかあります。

そもそも鉄路を走れるのか

潮風に晒され続けて4年。

車体・床下機器ともにダメージはかなり深刻なものと推測できます。

台車枠に損傷があるように見られる車両もあり、走行自体が出来るのかは微妙なところです。

線路に戻した以上、トレーラーを使った陸送での搬出ではなく、鉄路での移動を想定している可能性が高そうですが、どれくらい耐えられる状態なのかは疑問符が付くところですね。

どこに持っていくのか

JR東日本管内で解体の実績がある場所としては、近場だと秋田・青森、そのほかは郡山・長野となります。

先述のように、まともに走れるのかすら怪しい状態ですので、現実的な移動距離を考えると秋田総合車両センターで行われる可能性が一番高そうです

ただし、同センターの解体作業能力はあまり高くないのか、最近の解体は電気機関車がたまに行われる程度となっています。

客車の解体実績がないわけではなく、過去にはジョイフルトレイン「ゆとり」中間車などで少数実績がありますが、他の車両が長野・郡山に輸送されていることを考えると、部品取りの色合いが強い例ですね。

お隣の青森についても、編成単位で入場したE231系余剰中間車が少数解体されているのみです。

24系客車についても、他の国鉄型電車などと同様にアスベスト含有の問題を有しています。

これらの除去作業には時間と手間がかかりますので、それなりの設備が整っている場所で行うことが適切です。

秋田総合車両センターの作業スピード・実績を考えると、これらの作業能力はそこまで高くなく、24系を一気に運び込むとかなり手狭になることも予想できますので、なかなか難しいのではないでしょうか。

また、青森についてはそもそもアスベスト除去作業実績がありませんので、地元業者と新たに提携……ということも考えにくく、こちらは選択肢から外されそうですね。

走れたとしても……

今回オンレールした24系たちですが、既に除籍済となっており、JR東日本の列車として廃車回送を行うことは出来ません。

営業線を走る場合は、JR貨物に委託して貨物列車=甲種鉄道車両輸送となる可能性が非常に高いでしょう。

最も可能性が高い秋田総合車両センターの場合、秋田駅~秋田総合車両センターという区間ながら、EF510形の登板が考えられます。

ブルートレイン牽引用に生まれ、その使命を短期間で失ってJR貨物に移籍したEF510形500番台の24系牽引が叶うかもしれません

ただし、深夜帯に保線車両同様の線路閉鎖手続きを踏めば列車扱いでなく走行することも可能ですので、

この場合はJR東日本所有のDE10形またはED75形が考えられますが、この場合も東北地区でかつてみられた機関車の登板となります。

どういった形態でどこへ輸送されるかは明らかにされていませんので、今後の動向に注目が寄せられています。

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画像元ツイート紹介

今回の写真は、フォロワーの秋アキEV-E801さま(@EV801akita)より許可を得て掲載しています。

元のツイートを紹介します。

コメント

  1. 匿名 より:

    富山の某社で解体の可能性も少なからずありそう

  2. aso より:

    西日本が買い取って117系のように魔改造の末にダイヤが安定する時期限定で日本海の経路を走らせてほしい。場合によってはトライライトエクスブレスと同じ経路で頼む!