以前にJR西日本から発表された“赤帯”の521系七尾線向け編成の第一陣となるU01,U02,U03の3編成が姿を現しました。
主要機器類などの多くが設計変更されており、第一編成のデビューから13年目にして自社では初となる100番台という区分分けもされてロールアウトしています。
七尾線の新造車両が後回しになっていた背景は?
最近まで北陸方面の普通列車では、七尾線電化開業にあわせて交流電源対応工事を行った415系800番台のほかにも多くの国鉄型が残存していました。
北陸本線系統では急行型電車として製造されたのちに余剰となっていた475系などの国鉄急行型、更には寝台電車として製造されるも、急速に余剰車が生まれた583系改造の419系が活躍していました。
北陸本線では、北陸新幹線の金沢延伸・金沢以東の第三セクター移管にあわせてこれらの淘汰が急速に行われることとなり、521系が大量に製造されてきました。
521系自体は「新快速」敦賀駅延伸とともに電化区間が変更されることに合わせて開発された車両でしたが、2009年度以降に徐々に東へ運用を拡大していきました。
2015年3月の北陸本線の第三セクター化に合わせ、21編成が譲渡されています。
残されたのは、七尾線用の415系800番台のほか、国鉄急行型を両開き2扉のボディに載せ替えをしていた413系のみとなっていました。
明確な置き換え期限と、輸送効率の改善という目立った理由があった北陸本線に対して、七尾線の415系は3扉の113系譲りのボディの収容能力も高く、彼らの置き換えは後回しにされていました。
113系800番台を由来としており、113系の中でも古参グループでありながらほとんどが現在も活躍しています。
急行型の車体載せ替えで生まれた413系とともに、七尾線と北陸本線の間合い運用で活躍していましたが、以前に置き換えが告知済みでした。
もはや別形式!?仕様変更多数
今回の521系100番台の特徴として、今までの521系の設計を生かしているものの、仕様は最新の227系などに準拠している点があります。
521系では、3次車で前面デザインが225系100番台・227系に近いものへ変更されていましたが、側面ボディは223系譲りの連続窓とされるなど、独自色の強い変化を遂げていました。
今回も、新形式とはされていないものの、主要機器類が一新されています。
列車の走行音を奏でる主制御器=VVVFインバーターについては形状変更・奏でる音色も異なっています。SiC素子の使用有無については現時点で明らかになっていません。
主電動機についても、最近の流行である全密閉式が採用されているものとみられており、これに関連して電動車側面の冷却風ルーバー(通風口)の設置がなくなりました。
また、223系設計を維持し続けてきた側面の連続窓についても、遂に225系以降の分割式の窓ガラスとなりました。
一方で、521系の特徴的な雪除けタイフォンカバーなどの独自の設計も垣間見られます。
従来車はデザイン変更があっても通し番号となっていましたが、今回の赤帯521系については初めての100番台が付与されています。
機器構成が大きく変更されていますので、さすがに同一仕様とはしなかったのでしょうか。
なお、521系の番台区分はあいの風とやま鉄道の自社発注分が1000番台を名乗っていることに続く2例目となりますが、この1000番台がフルカラーLEDの採用・前面形状などで今回の100番台に最も近い存在となります。
既存車両との混結の可否は現時点では不明ですが、223系と225系の混結が可能なことを考えると、想定はされている可能性が高そうです。
減車傾向が続いていますので、予備車の共通化、車両不足時の代走などで双方での貸し借りが行われたり、青帯+赤帯の混結編成が見られる可能性は十分に考えられますね。
一方で、521系と227系の混結については設定される可能性が皆無ですので、こちらは0番台同様に想定されていなさそうです。
今後、あいの風とやま鉄道でも自社発注の521系1000番台を5編成に拡大するとしていますが、この100番台の設計変更が反映されるのか、1100番台などと更に区分されるのかも注目です。
今後の営業運転開始に期待の声・でも懸念も……
車齢50年超えのトップクラスの経年車両が日常的に走る七尾線。
大幅なグレードアップとなりますので、沿線のファンからは期待の声も聞こえてきます。
一方で、新型車両に対する懸念材料も多くあります。
従来の521系投入では、元特急型の419系や元急行型の475系列の置き換えとなっており、1両あたりの収容能力が向上することを背景に両数削減が進められてきました。
しかしながら、七尾線向けの415系800番台は、純粋な3扉の3両編成です。
このため、純粋な減車となることから、通勤・通学需要のある朝夕時間帯の混雑悪化を懸念する声もあります。
広島地区で投入されている227系も旧来の4両編成を3両編成で置き換える動きがありましたので、この流れはJR西日本管内共通のものですね。
七尾線についても、特に混雑便で実施されてきた6両編成が4両編成での置き換えとなるのか、それとも3編成連結の6両編成での運転維持となるのかが注目ポイントでしょうか。
ただし、今だに2扉3両の413系や、国鉄急行型設計そのままのクハ455などの収容能力が低い車両も少数ながら共通運用をされていることを考えると、そのまま減車とされる可能性が高そうです。
北陸本線の間合い運用を整理もあわせて進められるかと思いますので、今後の置き換え・ダイヤと運用の変化の進展も気になるところです。
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画像元ツイート紹介
今回の写真は、フォロワーのはんわライン様より許可を得て掲載しています。
元のツイートを紹介します。
コメント
全密閉式なのは主制御器のVVVFインバータでなく、主電動機だと思いますが…。
広岡リモコン江尻さま
閲覧・コメントありがとうございます。
ご指摘の内容、誤植ですので訂正と加筆させていただきました。
これからも当サイトのご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
漢字が違いますよ。
番台 と書くと 風呂屋の番台 車両の番号のは 番代 です。
ばんだい と入力して漢字変換すれば 番台 が出るのを そのまま使ってませんか?
ykさま
閲覧・コメントありがとうございます。
ご指摘の件ですが、ほとんどの方が検索で「番台」を使用しているので、こちらで記しています。
JR西日本社内では〇〇系〇〇代が正式表記だったかと記憶していますが、他サイト・商業誌などで親しまれている、国鉄譲りの番台としています。
会社によって番台と番代、系,型,形など形式表記はまちまちですが、当サイトではなるべく普遍的・その会社固定ファンが馴染みやすい表現を基本としています。
この辺りはファンの方々でもお好みはあるかと思います。
これからも当サイトのご愛読のほどよろしくお願い致します。