【E257不足で“珍運用”】新宿さざなみ号にM-111編成・あやめ祭り号にNB-18編成

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6月19日・20日は臨時列車発表時点から明らかにされていたように、「新宿さざなみ」(1,4号)を松本車両センター所属“武田菱”塗装のM-111編成9両が使用されています。

さらに今週まで運行されている臨時特急「あやめ祭り」についても、前週までと異なり通常塗装のNB-18編成が充当されました。E257系は少しばかり“車両不足”の状態が続きそうです。

役割が明確化している豊田車両センター常駐編成

2018年ごろより500番台のNB-10〜NB-12編成の3本が豊田車両センターまたは大宮総合車両センター東大宮センターを拠点に運用されており、2019年には従来の“BOSO EXPRESS”ロゴの上貼りで“SERIES E257”ロゴマークとなっています。NB-10編成は赤・NB-11編成はグレー・NB-12編成は緑色となっています。

これまで2年以上、基本的にNB-10編成が特急「富士回遊」の臨時便運用を、NB-12編成が臨時「ホリデー快速鎌倉」の運用を中心としており、土休日はそれ以外の団体臨時列車などをNB-11編成が担う(平日はNB-10,12編成も使用)体制が基本となっています。

ただし、時折イレギュラーな体制となることもあり、特に「富士回遊」の臨時便が平日にも設定されるようになると全体の稼働数が増え、機能保全(旧来の交番検査・月検査)で幕張に出入りする前後でNB-10編成が房総特急運用に入ったり、通常塗装の編成が「富士回遊」に充てられたりといった実績もあります。

2020年以降は社会情勢で大幅に運用が削減され、基本的な体制に回帰している印象です。

19,20日は各所で大活躍

新宿さざなみ号で館山に向かうM-111編成

梅雨の時期は全国的には閑散期の色合いが強く、6月の週末にフル稼働状態となることは意外にも思えます。

E257系500番台を使用する臨時列車では、特急「富士回遊」の臨時便・臨時「ホリデー快速鎌倉」は原則毎週末の運行です。

これに加え、例年6月は房総方面では、千葉県香取市営の水郷佐原あやめパーク・茨城県潮来(いたこ)市営の水郷潮来あやめ園の見頃にあわせて臨時特急「あやめ祭り」を1往復運行しています。

さらに、4月から6月は修学旅行用の臨時列車“集約臨”(各学校の修学旅行等の団体輸送を集約して輸送する臨時列車)が高頻度で運行されます。平日の運行が多いものの、土休日にも一部日程で設定されています。

2021年6月19日,20日の車両運用は、NB-10編成は「富士回遊」NB-12編成は「ホリデー快速鎌倉」のほか、NB-11編成は平日にも多く運行されている日光方面への集約臨で使用されています。

前週までは土休日に集約臨で500番台を使用する設定がなく、「あやめ祭り」にNB-11編成が使用されていました。

しかし、この週末に限り、豊田常駐3編成を「あやめ祭り」で使用出来ず、そのため房総特急の通常編成から「あやめ祭り」使用車両を捻出する必要が生じました(NB-18編成を充当)。

その1編成を捻出するため、房総特急のうち「新宿さざなみ」の1往復を松本車両センター所属の0番台(M-111編成)が充当される……といった複雑な持ち替えが実施されることとなりました。

0番台の千葉方面走行は千葉あずさを彷彿とさせるものの、編成向きや両数が異なる

季節の臨時列車発表時点で6月19日・20日のみ9両編成での運行が示されて経緯が注目されていましたが、車両運用上避けられないという背景が見えてきました。これまでE257系9両を使用した事例は数多くありますが、繁忙期の増結・増発を目的としており、車両采配の都合で実施されることは異例です。

特に「あやめ祭り」では、前面に用意されている「特急あやめ祭り」ではなく「BOSO EXPRESS あやめ」が使用され、2015年までの特急あやめ号のリバイバルのような形態となりました。

このほか、6月26日からは255系の定期検査と見られる運用変更が設定されており、土休日の新宿わかしお号は5両編成・グリーン車なしとされています。

255系が5編成配置・平日4運用・土休日5運用とされているゆえに定期検査期間に発生したと見られる動きですが、この期間中はE257系500番台の土休日所用数が増えるため、今後も引き続き波動用編成の活用が期待できそうです。

ファンに嬉しい“絵幕”で走るNB-18編成

“集約臨”最優先の理由

ファン目線では、車両数・座席数として上位互換となる0番台を日光方面の修学旅行臨時列車に充てれば、0番台の幕張車両センターへの送り込みや返却、変運用の調整などの手間が省けるように思え、一見すると無駄が多い変運用に思えます。

この週末の発着駅に9両編成の客扱いが出来ない南武線発着があるため500番台の充当が避けられない一方で、そもそもの修学旅行輸送調整の段階で185系を充てる・南武線発着の日程を調整する……といった回避が事前に可能だったようにも思えます。

この経緯は定かではありませんが、修学旅行臨時列車“集約臨”の特殊性が挙げられます。

季節の臨時列車は四半期(春夏秋冬)ごとに発表されますが、概ね半年前から調整を始めるものとされています。貨物列車や会社跨ぎの列車など、JR各社が連携して調整する必要があるため、団体臨時列車を企画する場合は遅くとも3ヶ月前と言われています。

一方で、全国の小学校・中学校が利用する修学旅行関係では、概ね2年前から調整が始められます。

大規模な学校や他校と目的地が重複しない場合は学校独自で手配するものの、それ以外の各校“相乗り”や連日同じようなダイヤで走るほとんどの臨時列車では、各学校から〇〇地区修学旅行委員会へ、その後旅行代理店やJRとの間で調整が進められる格好です。

学校単位での申し込みとせず、これらの組織が間に入って学校の人数・目的地ごとに日程を少しずつずらす調整により、往路と復路が最大限効率よく運行することとなります。

商業誌の集約臨時運行スケジュールを眺めていても、基本的なダイヤは同じながら毎日発駅と着駅が少しずつ変化しており、今回の日光方面であれば小学校の目的地への基準となる1泊2日を前提に発着駅がサイクルしていることが分かります。

修学旅行は各学校の年間スケジュールに影響を与えるだけでなく、鉄道やバスといった輸送会社、旅行代理店にとっても非常に大きな動きとなります。非常に多くの組織が絡むため、何十年もの歴史で蓄積されたノウハウこそあれど、依然としてかなりの年月をかけて実施される体制となっています。

一般的な臨時列車の調整もかなり早い印象があるものの、それ以上に早期から“集約臨”の調整が進んでいます。そのため、“先約”となっている集約臨の使用車両を優先して、季節の臨時列車を計画する時点でこれらの複雑な運用体制を前提とした設定となったものと考えられます。

なお、昨今の情勢下で修学旅行の目的地変更・中止なども相次いでいる情勢ですが、これについても使用車両の変更・定期列車混乗への変更などで最大限対応している状態となっています。

例年通り2022年度の調整が進行している最中で、2021年度の調整を直前に実施しなければならないというご時世下での関係各所の苦悩は計り知れません。

5000番台・5500番台稼働開始で解消か

現時点では輸送後の動きがない5500番台

現在は500番台のNB-09編成がOM-52編成として、0番台のM-105編成がOM-91編成として機器更新・塗装変更工事を終えて“再出発”の時を待っているほか、NB-08編成とM-107編成が機器更新工事を実施している状態です。5両・9両ともに2編成ずつが使用出来ません。

推測の域を出ませんが、2年前から1年前に2021年度の集約臨のスケジュールを組む時点では東海道線転用工事の遅れの影響が確定しておらず、既に5000番台・5500番台の使用が開始されている前提で動いており、季節の臨時列車調整時点でまだ使用出来ない状態が確定していた……といった流れがありそうです。

いずれにせよ、来年度には波動用全編成の機器更新が終了して運用入りしていることは明白で、2021年度の“過渡期”のみの動きとなりそうです。

一方で、今後も波動用編成を使用した千葉方面での運用は継続しそうです。5500番台が500番台との併結運用を想定した改造メニューとされているのも、検査時などに古巣への貸し出しをすることを見越しているからでしょうか。

遠くないうちに5000番台・5500番台が営業運転を開始し、0番台と500番台の波動用編成の消滅が想像しやすい状態です。

2021年8月14日・15日には房総方面と中央線方面でE257系9両の運用が設定されており、これにより5000番台のデビューは遅くとも2021年8月中旬となります。0番台がどちらかに使用されるのか、両方とも5000番台となるのかは1ヶ月前になれば商業誌や発売号車設定で断定できそうです。

ファン目線では、中央線カラーである0番台を中央線特急に・機器更新とともに「新宿さざなみ」表示が追加されている可能性が高い5000番台を房総特急で使用する展開が嬉しいところです。

新旧各形態が見られる今、残された未更新車両の記録を進めたいですね。

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記事内掲載写真は、フォロワーのP&Yさま(@PurpIeandYellow)・千 波さま(非公開アカウント)より掲載許諾をいただいています(5500代のみ筆者撮影)。

コメント

  1. 大宮俊樹 より:

    これ185系のC編成は使えなかったんでしょうかねぇ…