【豊田常駐初登板】今年で最後?特急あやめ祭り号がE257系500番台で運行

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毎年5月末から6月まで運行される、新宿〜鹿島神宮駅間の特急あやめ祭り号。特急「あやめ」の生き残りともなっています。

2021年度は従来の幕張車から東大宮・豊田常駐のNB-10〜12編成が担当とみられる状態で、今後の運行体制の変化が注目されます。

一般編成を使用して運行されてきた“あやめ祭り”

特急「あやめ」と臨時特急「あやめ祭り」は共に歴史が長く、このうち特急「あやめ」は成田線の電化区間延伸にあわせて1975年から2015年までの40年間、東京から総武本線・成田線・鹿島線を経由して鹿島神宮へ向けて運行されていました。

2004年からは佐原駅からそのまま成田線を経由して銚子駅へ向かう「すいごう」も吸収しましたが、年々本数は削減が続き、E257系500番台の投入で総武本線「しおさい」との多層建て列車としての運行も見られました。

一方で、「あやめ祭り」は千葉県香取市営の水郷佐原あやめパーク・茨城県潮来(いたこ)市営の水郷潮来あやめ園が見頃となる6月前後の週末の臨時特急として運行されており、E257系500番台のほか183系、485系“ニューなのはな”などが使用された経歴を有しています。

2009年度の運行から「あやめ」の臨時列車として運行されることとなって名称が消滅……と思われていましたが、2015年3月改正で「あやめ」の定期運行が終了して以降、再び「あやめ祭り」の名称が復活しています。

引き続き幕張車両センター所属のE257系500番台が使用されており、前面表示は「BOSO EXPRESS あやめ」イラスト絵または「特急あやめ祭り」文字のいずれか、側面は「あやめ」のものを使用する事例が多い列車となっていました。

本年度から波動用編成の担当に

2021年度はこれまでと使用車両が変更されており、2019年3月より特急「富士回遊」などで使用されている、豊田車両センターまたは大宮総合車両センター東大宮センター常駐のロゴマークを変更している“波動用”のグループが充当されています。出庫と入庫は日によって豊田か幕張か異なる、少し不思議な設定です。

“BOSO EXPRESS”のロゴマークこそ隠されているものの、特急あやめ号に近い形態で運行されており、ファン目線では事実上の特急「あやめ」リバイバル運行の色合いを残しています。

「あやめ祭り」表示が前面のみの収録のため、前面は「あやめ祭り」・側面は「あやめ」という表示で運行されている事例が多い模様です。

しかしながら、現在E257系では波動用編成を対象とする機器更新工事が進行しており、この工事にあわせてコーポレートカラーとなる緑色を基調とした5500番台とされています。

それまでは房総特急運用車両の外観を維持していたNB-09編成がOM-52編成となっており、これに加えてNB-08編成が新たに塗色変更をしている姿が秋田で確認されています。過去の付番規則から、OM-51編成となりそうです。

この動きは同じく波動用編成として豊田または東大宮に常駐とされているNB-10〜NB-12編成にも波及するものとみて差し支えないでしょう。

5500番台では外観が変更となるほか、「あやめ」「あやめ祭り」ともに行き先表示が収録対象外となっている可能性があります。

これは、同じく東大宮へ配置された東海道線転用編成では、東海道線特急のほかに中央線・房総方面についても収録されていますが、この際に一部の表示は収録対象外となりました。

東海道線特急用の2000番台13編成・2500番台4編成についても他線区特急への充当も考慮された設定とも捉えられますが、東海道線以外のデータもマイナーなものまで全て用意している点は不思議です。様々な線区での活躍が前提の5000番台・5500番台と内容共通化が狙いと考えることができます

なお、東海道線特急では既に「特急おだわら・特急ひらつか」→「特急しょうなん」といった仮名称が目撃されており、「特急湘南」の現行表示とされるまで少なくとも2回修正されている模様です。

初回の時点(2019年末)で幕張車の前面に用意されていた「あやめ祭り」や初日の出・初詣などの季節臨の前面表示は収録対象外とされており、2000番台・2500番台と共通のものに変更されていた場合、シンプルな「特急」表示となりそうです。

“乗り鉄”目線では走行音こそ変わりながら内装は現状維持となりそうですが、“撮り鉄”目線では魅力は大きく減少してしまうと言わざるを得ません。

一方で、2019年末時点で特急「富士回遊」、2021年初めの特急「湘南」追加とともに「ホリデー快速鎌倉」が新規で収録されています。前面表示については空き枠も多く、今後も必要に応じて追加される可能性自体はゼロとは言い切れません。

幕張車に再度戻されるとしても……

一方で、次年度以降に房総特急で使用されているNB-01〜NB-05・NB-15〜19編成の10編成に再度戻される可能性も捨てきれませんが、このグループはそもそも今後の動向が不明瞭です。

房総特急で活躍するグループについては、現時点で機器更新などの動きは発生していません。

東海道線転用の動きが始まった2019年時点でE257系は経年18年となっており、同世代のE231系初期車に比べると機器更新自体が遅めです。これ自体は東日本大震災関連の減収減益やE353系の開発遅れ等の背景が考えられるため、自然な動きでした。しばらくの継続使用が見込まれる、波動用編成の機器更新が実施されることも不思議ではありません。

しかし、もし房総特急のE257系を継続使用を実施すると仮定した場合、機器更新工事中の予備車確保に課題が残ります。

本来であれば余裕があった現在までに実施されるのが自然で、波動用編成の機器更新後の開始では185系の引退に間に合いません。

秋田総合車両センターの過去掲示にて、E257系の機器更新工事は2021年度初めまでと見られており、東海道線転用の工期が60日から80日に延ばされたことを加味しても、やはり房総特急用の500番台はそもそも機器更新工事の対象から外されていると考えることができます

房総特急では2024年度以降が255系の代替が検討されても不思議ではない(労組資料では2023年度までの使用は記載済)状態で、昨今の社会情勢下で計画が変更されなければ、E257系についてもこの時期にまとめて淘汰される(新造または他の特急からの転用)が計画されていることと考えられます。

活躍が向こう数年であることに加え、運用の余裕が少なくなったことを考えると、「あやめ祭り」を含めた臨時特急での活躍の機会はあまり期待できません。2021年度が500番台として最後の「あやめ祭り」運用となりそうです。

毎年運行されること・定期運用エリアと離れていないことなどから特別注目を受けることの少なかった臨時特急「あやめ祭り」。

新しい緑色のE257系の活躍が期待できる反面で、房総エリアで幅広い活躍を続けてきた菜の花カラーのE257系の活躍の場は大きく減少しそうですので、早めの乗車・撮影をお勧めします。

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本記事内の掲載写真は、2019年度運行分を三ノ輪さま(@MT172934)・2021年度運行分を善丸 趣味 さま(@ej4yhOSOc9QKs3w)より掲載許諾をいただいています。

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