当初の計画では5月にデビュー予定でしたが、当面延期となってしまった期待の新列車・“WEST EXPRESS 銀河”。
車両改造・各種試運転が行われていますが、最近では本番同様のダイヤを用いた試運転が始まっています。
WEST EXPRESS銀河とは?
「列車が運行する西日本エリアを宇宙に」をコンセプトに、各エリアを魅力的な星・それらを結ぶ列車という意味を込めて名付けられました。
車体カラーの瑠璃紺(るりこん)色の塗装は、西日本が誇る美しい海や空を表現しています。
最近では高価格帯の豪華なクルーズ列車がトレンドとなっていましたが、この“WEST EXPRESS 銀河”は通常の特急列車同様の価格設定と非常にリーズナブルな価格帯。
家族旅行や恋人との旅行はもちろん、1人利用も想定された構成となっており、様々な用途で気軽に利用が出来る列車となりそうです。
デビューは延期となるも、予定通り?試運転を実施
この改造を受けた117系は“M117編成”という新たな編成番号が付与され、関西地区で試運転を続けてきました(掲載写真など)。
今月に入り、山陽本線で昼行列車のダイヤと思われる時刻にて、更に既に発表されていた夜行列車での山陰方面発着の時刻でも試運転が行われています。
本来のデビュー予定日まで1ヶ月を切っていたことを考えると、最終的な営業運転に向けた最終準備は予定通り遂行された……と考えることが出来そうです。
どちらも1度ずつのみの運転となりましたが、今後も実施されるのか、それともデビューまでに何度か設定されているのか。いずれにせよ、少し明るい話題となりました。
列車の編成の紹介
従来の117系でみられた6両編成のうち、両端の先頭付随車(クハ→改造でクロに)がグリーン車・中間電動車が普通車・フリースペースとなっています。
1号車
1号車はグリーン車指定席“ファーストシート”となっており、通路を挟んで対称の構成で2名ボックスが8箇所・座席として16名定員となります。
さらにこのボックスを1つのベットとして運用出来るように設計されており、夜行便として運行する際は1人個室8席として運用されるようです。
2号車
2号車は普通車指定席となっており、女性専用の車両……ではあるものの、通り抜け自体は可能なために“女性専用座席”という呼称がされています。
簡易寝台“クシェット”として、従来列車のノビノビ座席を発展させた区画が3つ・12席あります。4人での女子旅で活用することを主に想定していそうです。
外観としては14系・24系客車時代の開放式B寝台に類似しています。
このほか、通常の特急座席より広いリクライニングシートが車両後方に14席あります。
3号車
3号車は2号車に設けられたリクライニングシートの一般席が20名定員で設置されているほか、コンパートメント“ファミリーキャビン”とフリースペースがあります。
2室のコンパートメントは“ファミリーキャビン”の愛称の通り、家族利用をメインターゲットとした半個室の座席となっています。
ベンチシート座面を広げることでベッド形状にマットレスを展開。昼行・夜行双方で利用できるように工夫されています。
4号車
4号車は、フリースペースとなっており、愛称は「遊星」とされています。
常時室内を明るくしているとともに、昼夜を問わず思い思いにお過ごしいただけるスペースとなっています。寝台特急は夜間の喋り声に配慮しないと……という従来の制約を廃することで、様々な利用可能性を広げている印象です。
また、4つのボックス席のテーブルには将棋やチェスなどのボードゲーム盤面を刻印しており、なかなか画期的なアイデアに感じます。
特産品などの紹介等も行われるようで、今後の様々な用途での活躍に期待したいですね。
5号車
5号車は2号車にも設けられた「クシェット」の一般車両で18席が設けられています。
通常の4人区画4つのほか、車いす利用対応として1区画が下段だけの1段の座席になっており、デッキの多機能トイレ・車いす対応洗面台の近くに設置されています。
6号車
6号車は、グリーン個室・フリースペースがあります。グリーン個室5部屋は、「プレミアムルーム」との愛称です。プライベート空間が確保できる個室です。車窓に対して斜めに配置されたベンチ型の座席からは、ダイナミックな風景がお楽しみいただけます。また、ベンチ型の座席の背もたれは可動式であり、背もたれを倒すことでベッド状に転換することができます。
フリースペースは、「彗星」の愛称。どなたでもご利用いただけるフリースペースで、乗務員室のすぐ側に設置しており、座席にはない「彗星」ならではの流れゆく景色がご覧いただけます。
その他設備
- フリーWi-Fi(全号車)
- 電源コンセント(全座席)
- USBポート(グリーン車の全座席・個室)
- 女性用更衣室(2号車)
- 大型荷物置場(2・3・5号車)
- AED(4号車)
- 車いす対応座席(5号車)
- 多機能トイレ(5号車)
運行区間
運行区間を紹介します。
2020年5月(当面延期)から9月
下り列車 京都から出雲市
停車駅 | 到着時刻 | 発車時刻 |
京都 | 21:15 | |
新大阪 | 22:07 | 22:17 |
大阪 | 22:21 | 22:28 |
三ノ宮 | 22:50 | 22:51 |
神戸 | 22:53 | 22:55 |
西明石 | 23:12 | 23:15 |
姫路 | 23:48 or 0:40 | 0:42 |
生山 | 6:02 | 6:34 |
米子 | 7:46 | 7:56 or 8:18 |
安来 | 8:04 or 8:26 | 8:28 |
松江 | 8:45 | 8:48 |
玉造温泉 | 9:01 | 9:02 |
宍道 | 9:15 | 9:17 |
出雲市 | 9:31 |
上り列車 出雲市から大阪
停車駅 | 到着時刻 | 発車時刻 |
出雲市 | 16:00 | |
宍道 | 16:15 | 16:16 |
玉造温泉 | 16:27 | 16:30 |
松江 | 16:37 | 17:05 |
安来 | 17:27 | 17:29 |
米子 | 17:38 | 17:48 |
根雨 | 18:25 | 18:58 |
備中高梁 | 21:25 | 22:00 |
神戸 | 5:46 | 5:47 |
三ノ宮 | 5:50 | 5:51 |
大阪 | 6:12 |
2020年10月から2021年3月
大阪から下関間を昼行特急として運行される予定です。現段階では詳細は未発表です。
利用料金
普通車指定席、グリーン車指定席 (グリーン個室以外の設備)
特急料金 ・グリーン料金
・特急料金 → 現行の料金を適用されます。
グリーン個室
特急料金とともに新規設定のグリーン個室料金が必要となります。
1人あたり100kmまで4360円、200kmまで5860円、400kmまで7240円、600kmまで8450円になる見込みです。
運行開始日
当初の運行開始日は2020年5月8日(金)でしたが、昨今の状勢を踏まえて当面の延期が決定しています。運転開始日は未定となります。
各社で看板列車の運休が続く昨今ですが、この列車についても当面の営業運転開始はなさそうです。
運転開始の折には、今までの「トワイライトエクスプレス」や「日本海」など日本を代表したブルートレインのことを思い出しながら、旅を楽しめると良いですね。
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