【グランドE233】しばらく続く?中央線グリーン車 4両連結で試運転

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2023年11月24日、豊田車両センター所属H53編成(基本編成6両)に新製グリーン車4両を連結した試運転が豊田車両センター〜新宿駅〜東海道貨物線〜国府津駅間で実施されています。

同様の試運転は13日にも実施されていますが、営業運転では見ることが出来ない“グランドE233”の本線走行に大きな注目が集まっています。

いよいよ量産が本格化

2022年7月に姿を現した中央線快速電車向けグリーン車

中央線快速電車へのグリーン車連結を目指す動きは2015年2月に公表された(外部PDF)計画ですが、2017年3月に「サービス開始時期を数年程度延期」(外部PDF)、2018年4月には2023年度末のサービス開始に向けて準備を進める(外部PDF)としたのち、2022年4月に二度目の延期が公表(外部PDF)されていますが、2024年度末以降……と抽象的な表現に留まっており具体的なサービス開始時期は示されていません。

遅れながらも線路・ホーム等の地上設備の工事は進められており、2022年7月には量産車1本目となるサロE233-1,サロE232-1が本線上に姿を現し(過去記事)H57編成の基本編成側6両に、追って同年10月にはサロE233-2,サロE232-2が落成しT24編成に組み込まれて各種試験に使用されています。

事実上の量産先行車が登場してからしばらく新造車の出場は途絶えていたものの、2023年9月には3,4ペアめの4両が、10月には5〜8ペアめの8両が総合車両製作所(J-TREC)横浜事業所を出場しています。

車両自体の製造は順調に進んでいたからか、横浜事業所では以前から大量のグリーン車が“作り溜め”状態となっている姿が以前から話題となっており、今後もグリーン車の甲種輸送がしばらく見られそうです。

“公式試運転”限定の4両連結

2023年9月に出場した4両はH53編成(基本編成側)に1ペア2両ずつ組み込まれ、別日に実施されたのち編成を解かれて休車とされています。

一方で11月13日・24日に実施された試運転は、13日はサロE233-5,サロE232-5,サロE233-6,サロE232-6の4両を、24日はサロE233-7,サロE232-7,サロE233-8,サロE232-8の4両がH53編成(基本編成側)にまとめて連結されて試運転を実施しています。これまでの車両動向からこれら一連の試運転は新製後の公式試運転とみられます。

「公式試運転」

車両メーカーからの受け取り前のテスト走行試験で、車両メーカー職員と鉄道事業者の車両部署の職員が同乗して設計通りの性能での走行が出来ることを確認することを目的に実施されています。

経路は豊田車両センターから新宿駅まで中央線(三鷹駅以東急行線)、その後は特急「湘南号」の新宿発着便と同様の山手貨物線・品鶴線・東海道貨物線経由とこれまでと同様です。

伴走用となっているH53編成は号車番号が旧来の番号のままとされており、1-2-3-4-5-4-5-4-5-6号車という試運転ならではの状態です。

“グランドE233”背景と今後

営業運転では見ることが出来ないグリーン車2ペア4両連結の編成構成は、ファンの間では“グランドE233”・“グランド中央特快”などと呼ばれています。

これは東海道・山陽新幹線で運転されていた100系16両編成のうち2階建て車両を4両連結した車両・編成の愛称である「グランドひかり」を真似た呼称です。

2000年代前半に実施された宇都宮線・高崎線向けE231系グリーン車の公式試運転でも同様にグリーン車4両連結の10両編成で試運転が続けられた際にも“グランドE231”とファンの間で呼ばれており、“伴走車”が1編成選定されてグリーン車の試運転に専念する体制も今回と同様でした。

E233系では旧来形式と比較して電動車比率が高められており、10両編成では電動車を3ユニット6両組み込んだ6M4Tの編成構成が採用されており、今回のような先頭付随車2両・中間付随車4両・電動車4両の4M6Tの編成構成は初となっています。この点から“グランドE233”が実現するのか否かは以前からファンの間でも話題となっていました。

公式試運転では運転士以外にも車両区所・メーカー双方の立ち会いが必要となることから、まとめて2編成分の実施が可能であればその方が合理的であることは容易に想像できる内容です。

そのためこれ以降の増備車両についての公式試運転も当面は同様の体系で実施される可能性が高く、単純に考えればあと20回以上(当初の製造計画より2両減少の報道あり)は同様の編成構成での走行機会がありそうです。

先述の通り事実上の量産先行車状態だった1番ペアはH57編成(基本編成側)に、2番ペアはT24編成に組み込まれたまま走行試験・訓練等に使用されていますが、最近では号車番号も12両編成を見越したものに変更されており、これらの4両と以後の増備車両では今後もしばらく役割が分かれそうです。

このほか、従来では豊田車両センター向けの新造車の公式試運転は甲府エリアで実施されることが基本的でしたが、E233系0番台のグリーン車の公式・性能確認などを目的とした試運転などは東海道貨物線で実施されています。推測の域を出ませんが、今後は基本形となるであろう4M6Tでの公式試運転を見越して中央東線の“山越え”を避けていたのかもしれません。

しばらくは同様の体制で実施されるものとみられますが、サービス開始または普通車として暫定運用を開始したあとに落成した車両は組み込み先の編成を使用する可能性も否定できません。引き続き今後の増備の動向・試験後の編成組み込みのスケジュールなどにも注目が集まります。

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