【アルバイト】E231,E233系5両付属編成のJR東海沼津発着運用が開始

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2024年3月のダイヤ改正で運転体系が大きく変更された静岡エリアの東海道本線。

JR東日本所有のE231系・E233系を使用したJR東海直通・線内完結の5両編成列車の運行が2024年3月16日のダイヤ改正初日より開始しました。

国鉄時代の置き土産?沼津直通

東海道本線は東京駅から神戸駅までの鉄道路線で、国鉄分割民営化時に東京駅から熱海駅までがJR東日本、熱海駅から米原駅までがJR東海、米原駅から神戸駅までがJR西日本に継承されました。

民営化当初は国鉄時代と同様に会社境を跨ぐ列車が数多く設定されていましたが、JR各社が独自開発の車両を投入したことや、長距離列車による遅延発生時の影響などの都合から徐々に会社跨ぎの列車は特急列車を除き減少傾向です。

2016年3月改正ではJR西日本所有車両を使用した大垣駅発着の直通列車運行が取りやめとなったことも話題となりました。

熱海駅を跨ぐ列車についても、113系からJR東日本がE231系・JR東海が313系を投入するタイミングで大幅に運転区間・本数が減少しています。

湘南新宿ラインが大増発となったことでも知られる2004年10月改正では、JR車による伊豆急行線直通運用・JR東海所有車による東京駅発着列車運用・JR東日本所有車両車による沼津駅以西直通運用が一掃されました。

その後も快速「ムーンライトながら」運行間合いの373系使用の普通列車が東京駅〜静岡駅間の1往復で設定が続き、「ムーンライトながら」臨時化・JR東日本189系に持ち替えがされた後も残されていました。こちらは2016年に沼津駅始終着に分断され、373系を都内で見かける機会は無くなりました。

これらの区間短縮の動きがあってもなお残されているのが、JR東日本所有車両を使用した朝晩の沼津駅始終着列車です。

2016年改正以降これまで9往復が運行されており、10両編成の輸送力で静岡東部の通勤通学需要を、そして「青春18きっぷ」ユーザーには乗り通しに便利な列車として人気がありました。

2023年12月には労組資料により夕夜間帯の3往復が見直し・5両編成化される旨が記載されており注目されていました。

・2024年3月15日までの直通列車 下り

列車番号始発駅始発駅発東京発熱海発沼津着
321M東京5:207:097:26
323M東京5:407:448:04
1585E-325M小金井13:5715:3717:2217:41
1891E-327M高崎14:2816:2718:2118:39
1599E-329M小金井16:0917:4819:4119:59
1931E-331M籠原17:5619:1821:1121:32
1935E-333M高崎17:5920:0221:5922:21
1943E-335M籠原20:0121:2423:1723:35
1657E-337M古河21:0522:250:180:37
土休日はJR東管内発駅・時刻が異なります / 赤太字が今回の直通対象除外部分

2024年3月15日までの直通列車 上り

列車番号沼津発熱海着東京着終着駅終着駅着
320M-1538E5:526:118:16小金井9:52
322M-1542E6:066:268:28宇都宮10:25
324M-1554E6:326:528:58上野9:05
326M-1562E7:007:199:26上野9:33
328M-1566E7:357:539:45小金井11:24
330M8:298:49小田原9:14
332M-1660E18:0818:3120:28宇都宮22:33
334M-1664E19:0319:2221:08小金井22:44
336M-1672E20:3820:5522:39宇都宮0:29
土休日はJR東管内着駅・時刻が異なります / 赤太字が今回の直通対象除外部分

2024/3改正後のE231系,E233系 沼津発着列車

2024年3月のダイヤ改正では、夕方に国府津駅始発沼津駅行きとして運行し、沼津駅〜熱海駅を2往復したのち沼津駅始発国府津駅行きの列車として戻る運転体系が組まれました。

これにより、JR東日本所有のE231系・E233系を使用したJR東海管内完結列車が2往復設定されることとなりました。

従来のJR東日本車両使用列車をそのまま置き換えるだけではダイヤ構成上1編成で回すことが出来ないため、下り2本目・3本目は従来の10両編成使用列車とは異なる時刻の列車に充てられています。

また国府津駅始発の325M・国府津駅行きの332Mは国府津駅始終着の上野東京ラインと接続をする構成で、もともと同一列車であった跡がダイヤにも色濃く残っています。

・2024年3月16日以降 JR東所有車使用の沼津発着 下り

列車番号始発駅始発駅発東京発熱海発沼津着
321M東京5:207:097:2610両
323M東京5:407:458:0610両
325M国府津16:5317:2317:415両
1431M熱海18:3918:585両
1437M熱海19:4720:065両
1931E-327M籠原17:5619:1621:1121:3010両
1935E-329M高崎17:5920:0221:5922:2110両
1943E-331M前橋19:1321:2423:1723:3510両
1657E-333M古河21:1022:250:180:3710両
土休日はJR東管内の列車番号・発駅・時刻が異なります / 赤太字が大きな変更箇所

・2024年3月16日以降 JR東所有車使用の沼津発着 上り

列車番号沼津発熱海着東京着終着駅終着駅着
320M-1538E5:526:118:16小金井9:5210両
322M-1542E6:066:268:28宇都宮10:2510両
324M-1554E6:326:528:58上野9:0510両
326M-1562E7:007:199:26上野9:3310両
328M-1566E7:357:539:45小金井11:2410両
330M8:298:49小田原9:1410両
1436M18:1018:32熱海5両
1438M19:0319:22熱海5両
332M20:4020:57国府津21:265両
土休日はJR東管内着駅・時刻が異なります / 赤太字が大きな変更箇所

東海道本線の伝統である熱海跨ぎ列車の320Mから始まる列車番号は上野東京ライン開業後もJR東海管内でのみ継承・JR東日本管内は上野東京ラインを走らない列車でのみ維持されており、今回もこれに倣った付番がされています。

また熱海駅〜沼津駅間のシャトル列車は1420Mから始まる列車番号が以前から使用されており、今回新たにE231系・E233系を使用して同区間完結となった2往復についても、JR東日本車両を使用するもののこれらの列車番号が割り振られています。

JR東海所属車両と異なり列車番号表示器が設置されているため、JR東海管内完結列車の列車番号を表示するE231系・E233系が新たに見られるようになりました。

運行初日の様子を見る

営業運転初日には小山車両センター所属のE233系U227編成5両が使用されました。

車両運用の順序は改正跨ぎの都合等による代走もあるため断言は出来ませんが、栃木県の小山車両センター所属車両が静岡県のJR東海管内完結列車に充当されている点はとても面白い運用体系です。

これまで朝時間帯に平塚駅始発で設定されていた5両編成の熱海駅行きは国府津車両センター所属車両が充当されており、小山車両センター所属車両の11号車が本線上で営業列車先頭に立つのは代走など限られた機会のみとなっていました。

前面窓の汚れの激しさが普段は先頭に立たない車両だったことを強く主張しています。

沼津駅での折り返し作業後は「熱海駅行き」として折り返します。

JR東日本の車両とJR東海の車両の「熱海行き」が並んでいながら、両方ともJR東海の列車である……私鉄では見られる光景ながら、この区間ではとても不思議な光景です。

JR東日本管内である熱海駅では、下り1本目となる325M列車は従来の直通列車と同様に下り本線である2番線、それ以外の列車は中2番線である4番線に発着しています。

JR東海車両が通常折り返しに使用されている中1番線である3番線を使用した折り返しの列車は設定されておらず、今回の列車設定にあたり新設された黄色5両(4扉車用)の乗車位置案内も設けれていません。

何らかの事情で意図的に避けている印象ですが、進路構成や他列車の設定が影響しているようにも思えず、興味深いポイントです。

国府津出庫・国府津入庫の独立運用

東海道本線の朝下り列車にはこれまでもE231系・E233系5両編成を使用した平塚駅始発熱海駅行き733M列車が下り1本設定されており、前日夜に付属編成5両として切り離した車両を平塚に停泊・翌日この列車で使用したのち熱海駅から回送で国府津車両センターへ戻る運用体系が組まれていました。

今回このような運転体系が実現したのも、この列車の運転実績があってこそとも捉えられます。

また当サイトのTwitter(現X)フォロワーさんによる目撃情報によると、今回のダイヤ改正では夕方の5両運用に使用された車両が翌朝の下り733Mに充てられる流れとなっており、日中の国府津車両センターで差し替えるかそのまま充てるか……といった独立した運用体系とされている点が特徴的です。

JR東の意向?JR東海の意向?

今回のダイヤ改正で減車とした理由は両社とも明かされていませんが、どちらかと言えばJR東海側の意向が強そうな印象を受けます。

2024年3月改正はJR東海にとって315系導入を前提とした静岡エリア全体での大規模なダイヤ改正となっており、ラッシュ時間帯の編成両数にも大きく変更が加わっています。

平日朝・毎朝見られていた211系・313系使用の7両編成以上の列車がなくなり、数多く見られていた5両編成の列車も縮小、代わりに4両編成や6両編成の列車が数多く新設されています。

通勤・通学需要が集中して上下とも乗車が多い朝ラッシュ帯と比較すると、夕夜間帯は輸送力としては10両編成だとやや余力を持て余している列車もあり、輸送力の適正化を図ること自体は妥当な印象も受けます。

沼津での停泊に絡む列車は維持しつつ、夕夜間帯の輸送力適正化を目指すのであれば削減可能な列車がこれらの3往復分でそれをJR東日本へ打診した……といった背景が想像しやすいところです。

一方で、JR東日本管内の東海道線では10両編成または15両編成での運転が大原則で、7時台後半から8時台にかけて比較的混雑しない区間に向かって運転される733Mの下り1列車のみとされています。

車両所要の最ピーク時間帯のイレギュラーな運転体系であり、自社管内で普通列車グリーン車の連結がない例外的な列車は極力設定したくないことは想像に難くありません。

JR東日本の近年の車両事情からも、コロナ禍での輸送力削減でも付属編成の運用数は概ね維持されており、列車本数自体を削減したことにより基本編成側に余裕が生じている状態でありこの状況にも反する動きです。

また、JR東日本の横浜支社が現状の輸送力を特に問題視していない印象も受けます。

もし今回のダイヤ改正の輸送力適正化がJR東日本側の意向であれば、他社との調整が発生するうえにそれなりに利用があった沼津駅発着列車より先に、東海道線からの伊東線直通列車に手直しを加える動きが生じていたはずです。

この横浜支社の現状維持志向が強く感じられた事象として、伊東線に近年新たに設定された、日中時間帯の4両編成の列車の事例が挙げられます。

2023年に伊豆急行側の意向であろう伊豆急3000系(元209系)を使用した4両編成での運行が開始されるまで、伊東線では6両編成以上という輸送力が両社間での基準となっていたことが読み取れました。

3000系が従来の8000系3両編成と同様の編成が組めず4両編成となっており、2022年4月のデビュー時点では4両編成で自社線内限定運用をしたのち、6月に8両編成を組んで試運転したのち伊豆急行としては過剰な輸送力の8両編成の列車でJR線直通を開始。

そして翌2023年3月のダイヤ改正から通常期の4両編成での運転が開始されたことなどを考えると、両社間の調整に時間を要したことが2022年3月のダイヤ改正に間に合わなかった背景事情の1つに想像される状態でした。コロナ禍の「踊り子」減便も伊豆急行からの要請……といったアナウンスがされていたように、現状の輸送力維持を望む横浜支社と導入車両の仕様から減車を望む伊豆急行の思惑の違いがあったようにみえます。

今回についてもJR両社から編成両数変更の会社間での調整過程が公言されることはおそらくないかとは思いますが、JR両社の意向の違いがありつつも走行距離精算や停泊といった現状を保つために練られた運用体系となっており、工夫したことは感じさせられます。

通常の両数変更とは異なる煩雑な調整の末の対応と推測されますので、当面はこの体制が維持されそうです。

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コメント

  1. 通りすがり より:

    文章が長いです
    最初の国鉄がとかムーンライトながらとか要ります?
    ここ読む人はそれくらいは最低限知ってると思いますが

  2. Yoichiro-Honda より:

     僕はかつて(23年前、当時は22歳で現在は45歳。)、逗子を拠点に18きっぷによる日帰り旅行として、東海道線静岡方面へ向かった事があります。
    当時は普通列車の本数も多く、便利でした。
    会社境界駅を跨ぐ直通列車も、現在よりは多く存在した頃でした。
    近況では、18きっぷ等の遠距離旅行は親に反対され、休勤日に休日おでかけパスやJR以外の東急東京メトロパス等の近距離旅行を楽しむ日がございます。