【東北新幹線救済臨】185系C4編成が快速列車で上野〜那須塩原を走行

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2021年2月13日夜に福島県・宮城県で震度6強を観測する強い地震があり、東北新幹線は架線柱損傷などのため運転を見合わせています。

東北新幹線は那須塩原駅以南で概ね1時間に1本運行が維持されていますが、上野駅〜那須塩原駅間で185系を使用した臨時快速列車も運行されました。

東北新幹線の輸送障害

2021年2月13日23:08ごろ、福島県沖を震源とする地震が発生し、福島県・宮城県で震度6強を観測しており大きな被害が発生しています。

このうち、東北新幹線では那須塩原駅と盛岡駅間の上下線で運転を見合わせていましたが、設備点検の結果、複数箇所の架線柱損傷が認められており、少なくとも14日から15日の終日の運転見合わせとなっています。

東日本大震災でも同様に架線柱の損傷があり、従来片持ちだった架線柱を修理箇所は門型のものへ変更していました。今回の地震で損傷がみられたものは東日本大震災を耐えられたものが多い模様です。

東北新幹線では那須塩原駅以南にてなすの号を運転しており、このダイヤを基にしつつ、概ね1時間に1本程度の運行となっています。

新幹線も動いているものの……

さて、今回話題となっている臨時列車は、上野駅〜那須塩原駅間で運行されました。

設定経緯などは明らかにされておらず、特に既に新幹線が運転されている区間でに運行で注目されました。

推測の域を出ませんが、やはり新幹線で運行されているなすの号の運行本数が少ないことが背景に挙げられます。

東北新幹線の車両は田端駅周辺の東京新幹線車両センターのほか、小山新幹線車両センター・那須塩原駅の留置線から出庫をすることが可能です。

一方で、深夜帯に地震が発生したため、仙台の新幹線総合車両センターや盛岡新幹線車両センターなどの北側から車両を送り込むことができない状態です。

このため、那須塩原駅以南での運行本数に大きな制約が生まれることとなります。

事態が長期化すれば、上越新幹線・北陸新幹線で運用されているE2系・E4系・E7系などを交えた運行体制が組まれるかもしれません。

これらの事情を鑑みて、輸送力が不足した場合に備える判断が下されたものと推測できます。

14日は日曜日である上に行楽需要が大きく落ち込んでいることから、実際に運転されたのは1往復に留まりましたが、15日以降は朝の上り・夕方の下りに通勤需要を多く持っていることを考えると、何らかの異なる体制が検討されているのかもしれません。

救済臨時列車のダイヤを見る

今回運行されたのは、上野駅11:00発・那須塩原駅13:20発の1往復です。

下り列車については先行する定期列車に時刻・発着番線変更をして新規設定したダイヤとなっている一方で、上り列車については東北エリアの輸送障害で空いた貨物列車のダイヤを有効活用しています。

上り列車は高速貨物列車3054レのダイヤをトレースしており、この貨物列車は札幌貨物ターミナル発隅田川駅行きです。大宮駅以北で時刻がほぼ同様です。

・下り(9409M?-)9411M

番線着時刻発時刻
上野13番線11:00
大宮9番線11:2*11:28
小山10番線12:0612:07
宇都宮7番線12:2612:27
那須塩原8番線13:02

・上り9410M

番線着時刻発時刻
那須塩原8番線13:20
宇都宮9番線13:5413:55
小山12番線14:1614:17
大宮4番線14:5214:53
上野13番線15:18

どうして修善寺編成?

使用車両は大宮総合車両センター東大宮センター所属の185系C4編成5両が充てられました。

この編成は特急踊り子号の修善寺発着のほか、湘南ライナーで使用されており、2021年3月ダイヤ改正で定期運用を終了する予定です。

5両編成は6編成配置されているものの、月曜日〜木曜日の運用数が3・金曜日〜日曜日の運用数が4となっています。夜間停泊はライナー運行の都合で横浜支社管内となっているため、日中時間帯に入庫するタイミングで車両を差し替える運用体系です。

推測の域を出ませんが、午後に回送列車として出庫予定だったC4編成に白羽の矢が立ったものと考えるのが自然です。

本来であれば波動用編成の185系・E257系を使用することが自然であり、ましてや2M3Tの修善寺編成は輸送力・車両性能を考えると不適当であることは想像に難くありません。

また、185系A編成・OM編成は踊り子号の臨時設定が多い日で、せっかく運休となった踊り子51号・52号についても元々ライナー運用の間合いとなっていることから運用数は最大数のままです。

こういった突発で決まる臨時列車にはすぐに使用できるかどうかが最重要です。

座席のリネン(ヘッドカバー)がそのまま付けられていたことも、車内案内板が修善寺発着の指定席・自由席混在であることも準備が急ピッチで進められたことによるものでしょう。

もちろん、翌日以降も運行される場合はより適任の車両が選ばれるはずです。

185系の他編成のほか、波動用・特急用で持て余しているE257系、平日は1運用のみで宇都宮線乗務員が運転に慣れている253系1000番台、同センターの651系1000番台などが考えられます。

救済臨は過去にも

異例とも言える救済臨時列車ですが、JR東日本の直近の事例だと2019年4月28日の上越新幹線停電のために設定されたことがあります。

この際には、踊り子102号で使用されていた185系OM04編成+C5編成12両を終着の東京駅からそのまま臨時快速列車9023Mとして東京駅→高崎駅間で運行されました。

東京→東大宮操車場の定期回送(回8022M)を運休としたほか、高崎駅到着後の復路は臨時回送列車(回9022M-大宮-回9020M)としています。

いずれも185系の万能さを引退直前に改めて感じさせられるエピソードとなりますが、こういった特殊任務もE257系に託すこととなりそうです。E257系が管内各所で試運転を入念に実施しているのも、今後の突発的な使用を考慮してのことでしょうか。

このほかの事例では、東北エリアでは2011年の東日本大震災の際に485系・583系を活用した福島〜仙台駅間の臨時快速の運転歴があります。

特異な事例としては、鉄道は一切輸送障害がなかった2012年の中央線の事例が挙げられます。

笹子トンネル崩落事故のため、同年12月〜2013年1月の年末年始シーズンに189系を使用した臨時快速列車・あずさ号の増発列車(あずさ99号)が運行され、自家用車・高速バスの需要を拾い大きく貢献しました。

末筆ながら、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、災害対応にあたっている全ての皆様に感謝です。

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画像元ツイート紹介

今回のお写真は、フォロワーのTKさま(@TK_ahokasu)・北関東撮り鉄さま(@kitakantou716)より許可を頂いて掲載しています。

コメント

  1. ロッキー より:

    185系0番代のC編成でも上野~那須塩原間であれば平坦線区で降雪の恐れもないので選ばれたのでしょう。本来なら波動用の200番代編成を使うところですが河津桜臨でフル稼働状態なので急な運用変更が出来なかったのでしょう。
    今後、この救済臨の運転がどうなるか興味があるところですが185系を使用すると本来の設定目的から外れて「鉄オタ」列車になってしまう恐れがあるので運転するとすれば他形式を使用するべきでしょう。
    この区間であれば昼間、尾久などに留置されているE231・E233系の間合い運用で対応することも充分可能と思います。